表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙のダンジョンは虚無すぎる〜モンスターも罠も配置できない欠陥ダンジョンをどうしろと!  作者: 雑草ノ魔王
ハロー ダンジョン。今日からダンジョンマスター
1/9

難しい本を読んでも頭は良くならない

頭が良くなった気になるだけ。


全面的に文章を直しました。いつのまにか変わってる!と気付いたら最初から呼んでください(強制)







「なあ、今日は何読んでるんだ?」


「…………」


通学の時間を使って歩きながら本を読んでいる僕の周りをうろちょろしながら鬱陶しい幼馴染が話しかけてくる。


「なあっ!てば、聞いてるの?光輝くーん?」


喧しく猩々(しょうじょうばえ)ように飛び回るのは、早乙女結城(さおとめゆうき)


とんでもなく女々しい名前だが男だ。


顔面偏差値B+、知能B-、カリスマC、運動A+……総合評価B+の高校生でありクラスメイトでもある。


顔はまあまあ、頭は馬鹿ではなくカリスマはないが運動は出来る方。


基本的に僕は総合評価Cランク以下の人間とは友達にならないようにしている。が彼は鬱陶しさ以外を見ればそこそこ優秀な人材だ。


いくら運動が出来ても知力が低ければ役に立たない。

学校という場所はよくも悪くも何かに尖った人間が多い。

運動会上位の人間は勉強は出来ないし言うことも聞かないが運動能力だけは高かったり、テストの点数が上位の人間はファッションセンスが皆無で理屈ばかりで言うことを聞かずそれでいて運動も出来ない。


そういう尖りすぎた人材を連れていれば自分の品格を問われるだろうし、何しろ付き合ってられない。


そんなハンドルの付いていないトラックみたいな人間はお断りだ。


そして僕の名前が二星光輝(ふたほしこうき)

キラキラと輝く二つの星のようなメルヘンチックな名前だ。



そんな僕の愛読書がマキャベリの君主論だ。


君主論は経営者のためのビジネス書だと思われがちだがそんなことはない。この本には人を上手く操り自分がいいように使われないようにする巧みな戦略について記されているのだ。


正直、経営者はともかく社会人になってからでは遅い。


僕が図書館の館長であれば学生へこの本を進めるだろう。


僕は高校生を卒業したら日本一の大学を卒業し大学院に進学、その後大手の企業に勤めるつもりだが、そんなところで終わるつもりはない。大手の企業に勤め始めてからが僕のスタートである。


それまでは全て箔付けで最も社畜などという底辺の存在で甘んじるわけがない。


いい大学を出ていい企業にはいるのがゴールではない。普通の企業に勤めて上司にいいように使われて毎日ひいひいと言っている彼らと世間からはエリートとは言われながらも過労死するまで働かせられる一流企業の会社員の何が違うというのか。


僕は少なくともそんな人生は御免である。遊ぶなとは言わない、休むなとも言わない。

勉強漬けがいいわけでもないし、運動も役に立たないわけではない。


ただ今は本を読んでいるところなのだから邪魔をしないでほしい。それだけの話である。


「くんしゅ……ろん?なんだそれ」


「1513年にイタリア人の外交官ニッコロ=マキュベリによって書かれた政治学の著書だ。イタリアとは言っても1500年代の話だから当然国の名前はイタリアではなくフィレンツェ共和国という名前で……まあそれはいいか。君主論は全26章からなる本でその名前の通り君主としてあるべきあり方や、領土の統治方法、政策、態度など現代にも通づる人間のあり方が書かれた有り難い本だよ」


「……よくわからないんだけど、三行でまとめて」


「……大人になった時に社畜としていいように使われないような人間になるための、古いテキストだよ」


「なるほど!なんか凄い事がわかった!」


「そう、よかったね。……なら僕が読み終わったら貸してあげるよ」


「い……いや、いいかな。それ辞書みたいな厚さじゃん。盾に出来そう」


「盾にできるほど分厚くないけど」


「いや、あれくらい。あの……法律の」


「法律の?何さ」


「あれ、そう!五輪書」


「五輪書は宮本武蔵の本だし、結城がいいたいのはなんでなくわかったよ。あれね、法律の盾に出来そうなほど暑い本って六法全書のことだよね?」


六法全書は本当に厚い本だ。

ショットガンの玉も防げそうな見た目をしている分厚く盾として使えそうだが、実際にやりたくはないしもしかすると六法全書より盾の方が安いかもしれない。


要は厚い分価格が高い。


「ろっぽうぜんしょ……つうのがよくわからないけど多分それだわ」


「よかったね、物事しれて。多分今日のテストに出るよ」


「え?マジ?え、テストなんてあったっけ」


「いや、現社(現代社会科)のテスト今日だって先週の授業で言ってたじゃん。ああ、聞いてなかったの。ふーん、頑張れ」


「頑張れない、光輝様どうか哀れな私をお助けください!!」


「嫌だよ、自分が準備を怠ったのが悪いよ。これは君のためを思ってのことだよ」


「いや、いやいや!俺のこと思ってんだったら助けてよ!今回のテスト落とすとやばいんだよ!

親に怒られるし、お小遣い削られるし、あとゲームも禁止になっちゃう」


「それぇ、自業自得っしょ」


騒ぎ立てる結城につられたのか何処からともなくやってきた男が話しかけてきた。


「だれ?」


さっきまでの騒ぎ方とうって変わりぽかんとした顔で男をみる結城。


結城がこういうのなら面識はないのだろう。そういう僕も彼とは面識はないが名前は知っている。


「誰じゃねぇよ!お前()、クラスメイトの顔も覚えてねえのかよ!」


やかましいな。

結城と同レベルのやかましさだ。いつから通学路はニワトリ小屋になったのか是非誰かに説明してほしいものだ。


「ら、とは失礼だね。少なくとも僕は名前わかるよ。全く早乙女と同類にしないでほしいよ」


「なんで急に早乙女呼び?」


「苗字は出席簿に書かれていても下の名前までは書かれていないからね。だから結城=早乙女だってことを教えてあげたのさ」


「へぇーー」


もっとも今の説明でその気遣いは意味なくなったどころか、"クラスメイトの名前を覚えていないのか"と問いをした彼に対する嫌味に変わったけど。


「ところで何かようかな、服部忍(はっとりしのぶ)くん」


「はっとり……ああ!思い出した忍者じゃん」


服部で忍、狙ったような組み合わせの名前に影も薄いことから名実共に忍者と言われるクラスメイトだ。

彼は忍者と言われるのを大層嫌うがそんなことを思い出せる結城ではない。

何かを考える力は悪くないが、いかんせん、記憶力が低いのがネックだ。


どうせ今頃、"忍者"くんのインパクトで今日が社会のテストだということも忘れているだろう。


「忍者っていうな!」


「はぁー?忍者に忍者つって何が悪いんだよ」


空気の読めないやつが一名。


「うっせ、ばーか!お前らなんか知るか!あっち行け!!!!!」


キレた服部は、そのまま何処かへ行ってしまった。


あんなこと言われても嬉しくない。美少女だったら可愛い……いや、女子を泣かせたとか言われて面倒なことになりそうだな。


ああ、男子でよかったよかった。


「なんだあいつ、急にキレて」


急にキレるわけないだろ。お前があんなこと言うからだ。


「そうだね、それにしても僕達と面識がほとんどないのになんで急に話しかけてきたんだろう」


「さあ?」


本当に謎である。もしかしてマキャベリの書いた君主論に書かれていたようにほかの勢力(グループ)に所属していながら近寄ってきて友達になるふりをして内部から切り崩しをしようとしてきたのだろうか。


何てやつか。結城(KY)に助けられたな。


「感謝しとくよ、お礼に社会科のノートを貸してあげるよ。現社は3限目だからそれまでに読んでテストに備えたら?」


「え、あ!いいのか!いやぁい、なんだか知らないけどラッキー!あざっす!」


「涎垂らさないでくれよ」


「んなことしねえよ、あーあなんで光輝っていつも何だかんだ言って貸してくれるのに毎回、意地悪みたいなこと言うのさ、ふつうに貸してくれたらみんなもっと彼奴いいやつだよね!っていうんじゃねえの?」


「マキャベリも言ってたんだ、君主論には、君主たるもの悪徳でなければならぬ、美徳を優先するばかり周りに舐められては本末転倒であると。要は気前よく人に何かしてあげていると人気は上がるかもしれないけど、そのうちその状況に慣れてやってくれることが当たり前になると、やってくれなくなった時にケチ扱いされたりするってことがあるから、素直に何かをやってあげるのは良くないって話なのさ」


「本に毒されすぎじゃね?」


「いや、そんなことないさ。話変わるけど、結城は今の社会の税金は高いと思うかい?」


「んー、あんまり考えたことないけど消費税が10%なのは高いと思うなー」


「知ってるかもしれないけど消費税が10%なのは世界をみても低い方なんだよ。それに日本は最近まで0%でそこから3、5、8、10と段階的に上げていったんだ。税金は高いと思うけど税がないと国は運営できないよね?国が機能しないとどうなるかといえば犯罪者は野放し犯罪を取り締まる人間はいない、火事になっても消防車は来ない、病院に行っても医療保険がないからただの風邪で何万円もお金を取られ、道路はひび割れたまま放置、橋は落ちたらそのまま。隣国が攻めてきても誰も戦う人間はいない。そんな場所になり兼ねないんだよ。それを一人一人がちょっと負担になる程度の税金を払って日々の平和を得ていると考えれば、ありがたいと思わないかい?」


「……(話が長い)でもそれが何の関係があるんだ?」


今何か言わなかったか?まあいいか。


「ここまで聞いてわからなかったかな?

国が人民の平和を支えているということに本来は感謝せねばならないのに、やれ税金の無駄使いだの誰々が汚職しただの重箱の隅を突くように騒ぎ立ててちっとも感謝していないじゃないか。友達の間柄でもこういうことは起きうるということなんだよ。だから僕は結城には言ってないけど他のクラスメイトに何か頼まれた時ジュースを奢ってくれたら、とか対価を要求しているだろう。僕をただ捻くれものと評価するに人もいるけど、僕としても意地悪をしたいわけでなくて舐められないようにしつつも、人とは仲良くやりたいだけなんだよ」


「……うーん、まあ舐められるっていう話も分からなくないけど、みんなそこまで考えているかな」


結城は直感型だからそうかもしれないけど、僕のような思考型の人間は、常に人を貶めていい顔して近づいて親身になったフリをしてグループに取り入れるんだ。

クラスでも最大派閥であるスポーツ万能でイケメンの香川くんを頂点にした女子のハーレムグループだって。

香川くんは、あんな爽やかな顔をしながら裏ではカツアゲをしているし、女はアクセサリーって人に言ってるし、自分にほの字の女子に他勢力の女子を虐めさせて、泣いているところに颯爽と現れて甘いマスクとイケメンなセリフでたらし込むし。


あんなマッチポンプしかやっていない糞でも、先生からの信頼は厚い。


悪逆非道の香川くんがいる時点で考えすぎとは思えない。


香川くんや僕のように勢力的に動いていればともかく、虎視眈眈と時を狙っている人がいてもおかしくないだろう。


「どうだろうね?もしかしたらクラス一の成績優秀者である橘さんの頭の中を覗いたら案外『ばなな』とか考えているかもしれないけど」


「それはない」


「『ばなな』とは考えてはいないかもしれないけど、まだ高校二年生だからね。思考深く考えるよりも直感的に動いてるかもしれないね。でも僕はもしかしたら、という可能性まで考えて動いているからね。人の心なんてその人しかわからないから、間抜けズラの猿埼くんだって妙計を張り巡らせて馬鹿なふりをしながら虎視眈々とグループ内で下克上を狙っているかもしれないし」


「それはない」


「猿埼がただの間抜けズラの間抜けだったとしてもさっき近づいてきた服部くんは、僕のグループに取り入って内部からグループを切り崩すために送り込まれた他勢力の工作員かもしれないし」


「そんなこと多分考えてない」


「じゃあ、なんだろうか。まさかあのような態度で友達にでもなろうとしたのかな。まさか、それこそありえない」


「いや、そんな気がしてきた」


「友達はないな。友達でも破壊工作でもないとすればさっきの短さからみて敵勢力からの宣誓布告の使者だったのかもしれない。あまりにお粗末で危うく勘違いするところだったよ。いや、それも込みだったのかな?相手に今のはなんだったのかと悶々と考えさせる情報攻撃とは。やるね。しかも社会のテスト前というのがまたいやらしいね」


「それはもうただの悪口」


「結城、今回の相手はかなり強敵だよ。もしかしたら香川くん以上の悪徳非道で冷静冷血な人間かもしれない。全く、こんな切れ者が周りに潜んでいたなんてまるで気づかなかったよ。もしも僕が困ったら結城も助けてくれよ?」


「助けるけど、そんな人いないと思う。思い出したんだけど忍者が仲良いのって猿埼だし」


「猿埼か、やはりな」


猿埼……


能ある鷹は爪を隠す


というやつか。

早く気付けて良かった。

危うくやつの外見に騙されて油断したところを突かれるところだった。


それにしても鼻くそを堂々とほじったりそれを食べたりという奇怪な行動は身から溢れる切れ者のオーラを隠す為だったのか。

猿といえば豊臣秀吉も自分を猿と呼ばれるような振る舞いをして道化を演じていたがカリスマの化身たる織田信長を差し置いて君主になるほどの知恵ものだったな。


なるほど、僕はまた一歩成長できたよ。


「考えすぎだと思う、考え直して」


結城が何か言ったような気がしたが、そんなことよりせっかくノートを貸してやったのだから、テスト勉強をやってほしいものだ。








まずは見ていただきありがとうございます。


本作は宇宙にダンジョンあるのですが、来れるもんなら来て見やがれ!の改正版です。


唐突に始まり唐突にダンジョンマスターになり意味のわからない大量の茶番を挟むことで作者も読者も内容や時系列が分からなくなっていたようなので大幅に見直しました。


とりあえず1話目からダンジョンマスターになるのは意味がわからないという指摘を受け現代日本からのスタートとなります。文章のスタイル、主人公の名前などいくつかの変更点がございます。

また原作を削除する予定はありません。また感想や意見などを頂けたら内容に反映するかもしれません。


よかったら今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ