みつけた
遠い昔、神社で小石を拾った。それは、とても丸く綺麗で不思議で何か特別なものに感じた。幼い私は見付けた喜びと嬉しさで胸がいっぱいになりどうしょうもなくそれを母に見せたくて握り締めたまま来た道を戻った。いつもなら玄関に入って靴を脱がないと行けないが今は祖父母の家に来ているのでそのまま縁側に向かった。
「ママー!」
見て見てと差し出した手の先には母ではなく縁側に腰掛けた祖父だった。首を傾げる相手の隣に座りキョロキョロと部屋の中を見渡しながら母の居場所を尋ねるとちょうど夕飯の支度を始めたところだと告げられ肩を落した。一番最初に見せたかったのに、とやり場のない気持ちを足場の砂利に乗せ踏みながら擦っていると祖父はその手の中に持っているものを掬い上げまじまじと見た。
「この石っころ綺麗だなぁ、どうしたんだい?」
私は共感してくれた祖父に凄いでしょう綺麗でしょう私が見付けたんだよ!宝物にするんだと興奮気味に捲し立てた。祖父は笑いながら、そうかそうかと全て肯定するように褒めてくれた。宝物なら大事にしないとな、どこで見つけたんだ?と聞かれて少し悩んだ。まだあそこに、これみたいなのがいっぱいあるかも知れない。そしたら一番良いものを取っておいて、ママとおばあちゃんと…パパ!とおじいちゃんにあげよう。そうしょう。きっと喜んでくれる。
「やっぱり秘密!」
この計画がバレないよう口を隠すように手で抑えたけど私は楽しみが増え嬉しさが隠しきれなくて笑ってしまった。知ってか知らずか何故か分からないけど祖父も笑っていた。