表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/234

2

「あのお婆ちゃんって」

「解決した。……悪い。心配を掛けさせた」

「そっか、解決したんや。良かったわ〜」

「ああ……」


でも。

いつになくギクシャクして、会話が途切れがちになるのは。

きっと……


「団之介、あの」

「……心読めるって話?」


笠原から切り出そうとしたら、明崎に先を言われた。

ちょっと驚くが、そうかと思い直す。

今も笠原の心を読んでいるのだ。


「……槇さんから聞いてる通り。俺のこと以外で、紫己が何考えてるのかまでは分からへんから」


明崎はバツが悪そうな表情で言った。

槇の家に初めて来た、あの日から明崎はこうして笠原の気持ちを聞いていたのだろう。

明崎に対して思うことが、全部筒抜けになっていて、これからも聞かれることになると思うと……


恥ずかしい。

少し、困るかもしれない……


ふと、止める間もなく湧き上がった思いだった。

それすらも明崎には聞こえてしまっていた。


「──俺かて、聞きたくて聞いてる訳ちゃうよ」


その硬い声で、ハッと笠原が自分の気持ちを自覚した時には遅かった。

明崎も自分の放った言葉に動揺したようで、視線を彷徨わせる。

けれど、それもほんの一瞬のことだった。


「……団、」

「ごめん」


笠原の声を遮って、明崎は顔を背ける。

それから彼が背を向け、再び自室に消えるまで。

頭の中が真っ白になってしまった笠原は、声を掛けることができなかった。


こんなことになってしまうなんて……


たった今本人から心が読めると聞いたばかりなのに、不用意にもあんなことを考えてしまったのが悪かった……いや、そればかりはどうにもできない、と笠原は思い直す。

心までコントロールするのは無理だ。

そうは思っても、明崎から拒絶されることなど一度も無かった笠原の気持ちは、酷く揺れている。


避けられてしまったら、どうしよう。


もしこのまま、明崎に嫌われてしまったら──


駄目だ、と無理やり明崎のことを頭から追い出す。

彼に聞こえてしまう。

考えないようにしなくては。

明崎に聞こえないように。



何も……



──────



夕飯時になり。

槇や宙とは話すものの2人では会話しようとしない明崎と笠原を見て、槇はすぐ察することになった。


こじらせた……?


"槇さん"


独り言として思った言葉は、明崎にしっかり伝わっていた。


"大丈夫"

"……まぁ、そう言うなら"


介入するべきでは無いだろうと考えて、槇は敢えて見守ることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ