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「あのお婆ちゃんって」
「解決した。……悪い。心配を掛けさせた」
「そっか、解決したんや。良かったわ〜」
「ああ……」
でも。
いつになくギクシャクして、会話が途切れがちになるのは。
きっと……
「団之介、あの」
「……心読めるって話?」
笠原から切り出そうとしたら、明崎に先を言われた。
ちょっと驚くが、そうかと思い直す。
今も笠原の心を読んでいるのだ。
「……槇さんから聞いてる通り。俺のこと以外で、紫己が何考えてるのかまでは分からへんから」
明崎はバツが悪そうな表情で言った。
槇の家に初めて来た、あの日から明崎はこうして笠原の気持ちを聞いていたのだろう。
明崎に対して思うことが、全部筒抜けになっていて、これからも聞かれることになると思うと……
恥ずかしい。
少し、困るかもしれない……
ふと、止める間もなく湧き上がった思いだった。
それすらも明崎には聞こえてしまっていた。
「──俺かて、聞きたくて聞いてる訳ちゃうよ」
その硬い声で、ハッと笠原が自分の気持ちを自覚した時には遅かった。
明崎も自分の放った言葉に動揺したようで、視線を彷徨わせる。
けれど、それもほんの一瞬のことだった。
「……団、」
「ごめん」
笠原の声を遮って、明崎は顔を背ける。
それから彼が背を向け、再び自室に消えるまで。
頭の中が真っ白になってしまった笠原は、声を掛けることができなかった。
こんなことになってしまうなんて……
たった今本人から心が読めると聞いたばかりなのに、不用意にもあんなことを考えてしまったのが悪かった……いや、そればかりはどうにもできない、と笠原は思い直す。
心までコントロールするのは無理だ。
そうは思っても、明崎から拒絶されることなど一度も無かった笠原の気持ちは、酷く揺れている。
避けられてしまったら、どうしよう。
もしこのまま、明崎に嫌われてしまったら──
駄目だ、と無理やり明崎のことを頭から追い出す。
彼に聞こえてしまう。
考えないようにしなくては。
明崎に聞こえないように。
何も……
──────
夕飯時になり。
槇や宙とは話すものの2人では会話しようとしない明崎と笠原を見て、槇はすぐ察することになった。
こじらせた……?
"槇さん"
独り言として思った言葉は、明崎にしっかり伝わっていた。
"大丈夫"
"……まぁ、そう言うなら"
介入するべきでは無いだろうと考えて、槇は敢えて見守ることにした。




