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3

その後病院を出た明崎と笠原であったが、バスに乗って別の場所へ向かう間、話題に上ったのはやはり錦野さんのことであった。


「……迷惑なのだろうか」

「そういう風には見えへんかったけどなぁ」


この時に、どうして笠原が錦野さんを気にしていたのかも理由を聞くことになった。


「なるほど……タエさんねぇ」

「タエさんより少しお歳は上だと思うが……似たようなものだろ」

「重なっちゃった訳や」

「重なったというか。あの人……」

「ん?」


明崎が聞き返すと、「いや、何でもない」と被りを振られた。


「えーっ!ナニナニ!?むっちゃ気になるやん!」

「大したことではない、忘れてくれ」

「いやーもう!そういうのは言い掛けたら言う!」

「……俺が忘れた」

「絶対嘘やソレ!何なんちょー気になるぅー!」


駄々を捏ねて聞き出そうとした明崎だったが、笠原は結局話してくれなかった。

どういう動機でお婆さんがあんなことを言ったのか、少し不明瞭な点は残ったが。

何にせよ、笠原は丸でお祖母ちゃんが心配で見舞いに来た孫みたいな感じである。

まぁ、それ以外にどういうつもりで来ることがあるのかと寧ろ理由が見当たらない。


しかし……実はあの下りを聞いていた時、明崎と竹川は結構本気でこんなことを話していた。


「はぁ〜……あらぁスゲぇわ」

「天然タラシや……」

「何や、あいつタラシなんか」

「あの人ママキラーやで。バイト先でも超人気」

「ほほう。……あかんで、あらぁ錦野のばあさん落としに掛かっとるぞ」

「これはもしや、」

「「……恋?」」


そして話を聞いた今、明崎は結構後悔していた……

そんなふざけたことばっか言ってホントすいません。



──────



バスが目的地に到着したので、2人はバスから降りた。


「え〜っと……たっちゃん。たっちゃん何処やー」


朝、明崎のスマホにたっちゃんから遊びに行かないかとお誘いがあったのだ。

午後から暇だという。

そこでせっかくだからと医院で笠原も拾って、待ち合わせ場所にやって来た訳だが。


「あ、居った居った。おーい、たっちゃーん!」


たっちゃんは対岸のバス停でベンチに座って居た。

ちょっと寝癖気味の頭が特徴の男子だ。

笠原を連れて横断歩道を渡っていると、気づいたたっちゃんが顔を上げて──びくっと大きく目を見開いた。


ん?


妙な反応に内心首を傾げた明崎だったが、ひとまずはたっちゃんの所へ向かった。

たっちゃんは何だか驚いた様子でベンチから立ち上がり、目をパチクリさせて言った。


「あの……もしかしてさっきの」


え?


「ですよね……?先程はどうもお世話になりました」


笠原がそんな言葉を返した。


ほ?


事情が分からない明崎は、たっちゃんと笠原を交互に見る事しかできない。


「えっ……2人知り合い?」

「知り合いっつーか」

「錦野さんに持っていった花籠は、この人が作って下さったのだ」


あー、なるほど!

それで明崎も理解出来た。


「で、もしやお連れさんっていうのが」

「そうそう、この人。何や、凄い偶然やな」

「ね。どうも、沢崎 達也って言います」

「笠原 紫己です。……よろしく」

「そうやったんやぁ……笠原君ねぇ。例のお婆ちゃんどうやった?」

「喜んでくれました」


笠原は微笑んで答える。

沢崎はそうかそうか、と頷いて、


「じゃあ念願の彼女が出来た訳やな」

「いや、だからそういうことでは!」

「えっ、振られたん!?」

「違っ」


ここに来てまさかのアウェイ2回目な明崎は、目の前のやり取りでとりあえず納得したことがあった。

笠原がお婆さんに恋しちゃってるように見えたのは、どうも自分だけでは無かったらしい。

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