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関西へ

話が決まると、そこからあっという間に事が進んでしまった。

滞在期間は3週間。

しかも関西方面へ行くのは初めてだ。

タエさんに事情を話せば、快く「行っておいで」と勧められ、当面のお金まで振り込んでくれた。

明崎の所で世話になると聞いて、安心したそうである。

それでもバイトで稼いだお金もあるので、タエさんのお金は取っておくことにした。

食費類はちゃんと自分で持つつもりだ。


こうしてテストが終わった途端(笠原の順位は総合1位であった)、慌ただしく退去準備が始まり、明崎と一緒に荷物をまとめて。

──気付けば。


『大阪。大阪です。ホーム内大変混雑しております。お降りの際は──』


笠原は明崎と共に関西・大阪の地に降り立っていた。

2階に作られた乗車ホームが10以上もあり、大阪を中心とするように各方面へ向かうのだ。

明崎と笠原はそこから一度改札を抜け、駅構内の土産売り場がずらりと並ぶ通りを歩いている。

普通のコンビニからカフェなどの飲食店も沢山あるし、駅から直接オフィスタワーや大型のショッピングモールに繋がるように出来た仕組みも、大きく人の流れに作用しているのだろう。

その為に利用者が非常に多く、通路にも何処にも人が溢れていた。

大きな駅は歩き慣れない笠原にとって、東京の主要な駅もそうだが、大阪駅の構造も丸で迷路のようである。

途中何度か雑踏に呑まれそうになったり、土産物にちょっと気を取られている内に今度は明崎を見失いそうになったり……とにかく迷子になりそうだった。

はぐれたら最後、明崎と笠原の名前が駅全体に高らかに読み上げられる訳で。

それだけは、ごめんだった。

しかしそんな笠原の心配など他所に、明崎は勝手知ったる我が家の如く、どんどん駅の中を突っ切って行く。

降りた時に「大阪やー!ただいまー!」とはしゃいだ様子だったから、慣れた場所なのだろう。

ちなみに明崎に言わせれば、大阪駅の構造などまだ簡単な造りのようで、一番複雑な造りをしているのは京都駅だと言われた。


「あ、見っけた〜」


明崎がある土産売り場で足を止め、中に入った。

何でも、槇から頼まれた買い物があったようで、その品物目当てにわざわざここまで来ていたのだ。

後をついて行ってみると、「これピヨちゃんが好きやねんて」と明崎は言いながら、目当ての箱を手に取った。


「……”面白い、変人”?これ北海道の"白い……"、」

「それ以上言ったらあかんで?」


お土産のネーミングにまで、大阪人のギャグ精神は反映されるらしい。


「ちょっと待っといてな」


明崎が会計を済ませるまで、近くの陳列棚を見ながら待つ。

そうすると、あちこちから聞こえてくるのが関西弁だ。

駅を降りた瞬間から、辺りは関西弁に溢れていた。

内容もよく聞こえてくるのは、声が大きいからだろう。

若い人も、歳を取った人も皆そうだ。

そして笑い声も絶えない。


……明崎のルーツが分かる気がしてきた。


「お待たせ〜」と帰ってきた明崎は、笠原を連れて再び道を逆戻りしていく。

元々、大阪駅の用事自体はこれだけである。

これから2人が向かうのは、ここから東に向かった先。

古都・奈良である。


「奈良って」

「あ〜、大阪に比べたら全っ然田舎やで。……でも、紫己は気に入りそう」


つまりは明崎が中学時代までを過ごした、故郷だ。


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