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もう1つの心配事



ぎゃわぎゃわぎゃわぎゃわ


「セーミがー。セミがー、あー!セミが鳴いてるよーっ!!」


所変わって。

学校を出た明崎達は、狂ったように鳴き喚く蝉の声を聞きながら、うだる様な暑さの中帰路に着いていた。

テスト期間が終われば、後は三者面談ぐらいなもので、学校には実質3週間も通わないことになる。

それにテスト期間なんかは1日が2限、3限と少ないから尚のことである。


ぎゃわぎゃわぎゃわぎゃわ


「あ゛ークソ黙れクソ蝉共ぉっ!僕を殺す気か!?殺す気なのかぁ!!?」


そして早くも霧ケ原発狂である。


「お前の殺意がうるせぇわ」

「もうさー!夏ってなんなの!?何故夏が存在する必要がある!?いらないじゃん!やだもー早く家帰りたい。クーラーがんがん効かせてアイス食べたい」

「……キリオ君そんなに夏嫌いやったっけ?」

「嫌い。夏滅びればいい」

「それは転じて、全生物滅びろと取るべきか?」

「うん」

「面倒臭ェ。お前が滅びろ」


霧ケ原は夏が非常に苦手である。

それ故に夏の間、特に外出中は不機嫌になるし、夏バテもしやすいし、とにかく部屋に引きこもりがちだ。

去年、明崎が寮部屋に遊びに行った時も、部屋のカーテンは全部締め切られて、1mmも光を通さない様に沢山の洗濯バサミで隙間という隙間を封じていた。


……あれは流石に引いたわ。


そういう明崎は夏男である。

夏が近づけば近づく程、やたら活発になって動き回る。

生まれも夏なので、生粋の夏男でありお祭り男なのである。


そして意外な所に夏嫌いな人物がもう1人。


「………」

「さっきから何も喋ってへんけど、大丈夫?」


ずっと黙々と歩いていた笠原である。

彼も夏は相当苦手らしく、まず口がいつも以上に重くなる。

それでも今は何とか頷いてくれた。

どうも身体の構造上、コントロールも何もしないでいると失う水分量が多く、脱水症状を起こしやすくなるらしい。

そのため彼も、汗を掻くようなことをなるべく避けたがる傾向にあった。


夏の楽しみを知らないなんて……


明崎にしてみれば、正に人生の半分を損しているといって過言ではない。


「どっか涼しいトコ行くー?」

「あ?」

「え?」


笠原に言ったつもりが、何故か須藤に反応されてしまった。


「どしたん?あ、君らも行きたい?」

「家帰らねぇとか言わないよな?」

「え?何で?」

「いや、お前。テスト」

「いや〜、俺そこまで順位求めとる訳ちゃうしなぁ〜。遊び一択」

「お・ま・え」

「それマジで言ってる!?」


今度は霧ケ原にまで反応される。

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