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無ーい!

二の腕から下の袖と裾口がふんわりしたデザインが特徴のVネックの薄いブラウスに、デニム生地でサイドに刺繍の入ったミニスカート。

意外とほっそりした脚は真っ黒いタイツで覆われている。

びっくりするほど似合っていた。

そのブラウスから薄っすら透けて見える腕が、何故かふっくらして見える胸元が、正に女の子的な何かを匂わせていてヤバい。

元から緩くちゃに癖付いた髪は、更に毛先をふんわりエアリーに整えられていて、服装と相まって所謂ゆるカワな雰囲気を演出していた。

そして、顔は──


「どう見ても違うだろう……」


非常に気まずげに顔を逸らされてしまったが、明崎はさっきのでしっかり見ている。


ファンデーションの効果で滑らかな質感を見せる頬にはそっとピンクのチークを差し、唇には艶のある紅が薄く塗られている。

そのぷっくりした唇の感じが何ともセクシーであった。

ただでさえ量の多い睫毛は、上下マスカラを使用してさらにぱっちり。

極め付けは、シャンパンゴールドを主体とした落ち着いたアイシャドウに真っ黒いアイラインで縁取られて、その中に収まった瞳である。

普段から不思議と吸い込まれそうな綺麗な黒瞳をしているのに、化粧をした途端、一度見たらあっという間に虜になってしまいそうな、そんな魅力的で恐ろしい引力まで宿してしまったのだ。

お化粧スゲェ。


「関西人。正直な気持ちを言ったらどうかな?」

「……むっちゃカワイイです」


丸っきり、美少女である。



──絶世の美少女である。



奏や鳥潟の女装を見て「可愛い」と軽く思ったことは確かにある。

けれど、笠原の場合は何というか……違う。


ちょっと赤面してしまうくらい、「可愛い」。

本気で「可愛い」。


「ってことだから、安心して写ってね笠原君」

「……写真!?」


そうして連れて行かれた撮影スペースには、これまた華麗な美少女に変身した鳥潟が居るではないか。


「鳥潟ー。直前で申し訳ないけど、変更ね。笠原君とツインでよろしく」

「えっ……!?」


鳥潟もまさか笠原が女装して、しかも撮影を共にするとは思わなかったのだろう。

驚いて大きな目をパチクリさせているが、そんな鳥潟に奏は、


「もちろん、超絶可愛くやっちゃって」


と、笠原が灰になりそうな注文をしたのである。

──そんな訳で、オンナノコ向け姉妹雑誌『キャラメル・マキアート 9月号』の表紙は、美少女鳥潟が美少女笠原にとびきりの笑顔で抱きついている、愛らしく破壊力抜群な百合フォトで飾られたのだった。

笠原はクールビューティーが売りだが、びっくりしてる素の表情が逆に新鮮味があったらしく、そのまま使われている(それでも可愛いから凄い)。


「笠原君!もっとくっついて!」

「これ以上は……」

「もっと!そのおっぱいが潰れるぐらい!」

「なっ……!?」

「ぅおわー!やめたげて!紫己君その辺ピュアやからやめたげてぇ!」


──と、いうのが、人工皮膚を手に入れたことのあらましであった。

「タダより高いものは無い」ということわざがあるが、何と言い得て妙なのだろう。


そしてキリオ君発狂エンドはどのみち確定である。


そう思う明崎は、遠い目で賑やかな撮影現場を眺めるのだった。


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