高いものは
「せっかく綺麗なんだからさ。いっそ見せちゃえば?」
奏の軽口に笠原はとんでもないとばかりに首を横に振った。
「勿体無い」と笑った奏は一度席を立って、何やら肌色ばかりを集めたカラーチャートを持ってきた。
それを笠原の頬に当てて、肌の色と番号をあれこれ見比べる。
それでも要した時間は5分程度で、次に席を立った時には人工皮膚のシートを持ってきて、使用方法や注意からシートの境目の誤魔化し方まで、丁寧に指導してくれた。
奏にしては、かなりの優しさである。
「君は色白いからね。持ってる分で間に合って良かった」
ちなみにこの人工皮膚は、元々知り合い筋に需要があったから持っていたものらしい。
「本当にすまない。恩に着る」
「いいえ」
「これは、幾ら程するのだ?」
「お金はいいよ」
「「えっ!?」」
信じられない言葉に、2人揃って驚いてしまった。
特殊メイクに使うような代物である。
それなりに値だって張るに違いないのに……
「その代わり手伝って欲しいことはあるかな」
あ、ヤバイ。
それを聞いた途端、明崎の中では180度ガラリと見立てが変わった。
しかし気づかない笠原は、話に踏み入ってしまう。
「俺に出来ることなら、何なりと」
うわぁああ、それ言ったらあかんてぇ!!
「ふふ。……うん。君達っていっつもタイミング良いよねぇ。じゃあ、」
早速お願いしようかな。
──笠原がメイクルームに連れて行かれて、20分経った。
多分これは、そういうことだろう。
きっと「プア」の撮影関係なのだろう。
いや〜、あの人大丈夫かなぁ〜、何か変なことされてなきゃええけど……
明崎が入り口周辺でやきもきうろうろとしている内に、メイクルームのドアが開いて奏が出て来た。
続いて恐る恐る部屋から出てきた"美少女"の姿に──明崎は床に崩折れて悶絶することになった。
「おぁあああっ……!」
何でそうなるんやぁああっ!!!
「関西人が可愛いってさ。良かったね〜笠原君」
「ぅ……」
丸っきり、女の子である。




