6
「皆、困ったことがあったら遠慮無く言うやん。どんな下らん事でもさ。そんでええねんで。一番困ってる君だけ弾かれるなんておかしいやんか」
「………」
「もっと我儘言ってくれたらええのに。君の我儘なんか、全然困らへんよ」
「……だ…」
「ん?」
笠原が小さく、何か囁いた。
聞き取れなくて明崎が聞き返すと、笠原はふるふると首を横に振った。
「何て?」
もう一度、ほんの少し声を強めて聞いたら、笠原は躊躇った様子で口にした。
「……嫌われたら……やだ…」
「……なんちゅーこと言ってんの」
これこそ苦笑いである。
「もうー」と呆れた声を上げて、明崎は笠原の耳元まで口を寄せた。
「大好きに決まってるやんか」と囁けば、笠原がびっくりした様子で、泣き濡れた顔のままこちらを見た。
明崎は何食わぬ顔で、微笑みながら笠原を真正面から見つめる。
「──……!」
目が合った瞬間。
笠原を何とも言えない恥ずかしさが襲った。
顔にたちまち熱が集まる。
「もっかい言ったげようか?」
真っ赤に顔を染めた笠原に明崎が意地悪く聞くも、堪らず笠原は首を横に強く振った。
「何、言って……」
「全くねぇ〜。ホンマ何言うてんのかなぁ、この人は。こっちの台詞やし」
「だって、」
「嫌う訳ないやんか。こんなええ子、嫌う方がアホや」
恥ずかしげも無くハッキリと言い切った明崎を最早、直視出来なかった……
「さて〜。その他心配事を言うなら今やけど。……もう無い?今は思いつかへん?じゃあはい、終了〜。紫己君が大好きでしたってことで終了〜」
「ちょっ、」
強引に話を打ち切られて、笠原は慌てて声を上げた。
「いや〜。俺、そんな紫己君に早速提案を持ち掛けたくて」
「……提案?」
提案とは、一体……?
意外な言葉に驚く笠原に向かって、明崎は1つ頷き話し始めた。
「奏女王に相談するの、どうかなって思ってん」




