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「明崎、これ」

「あ、ぼ、僕も」


笠原がケーキを切り分けている間に、幾つもプレゼントが差し出される。

こちらでも早速明崎は、その場で包装を開けた。


「うっそー!俺欲しい言うてたやつや!わーっ、めっちゃくちゃ嬉しいねんけど!!」


今日は数々プレゼントを貰ったが、一番嬉しかったのは須藤が渡してくれたヘッドホンだった。

一昨日、ショッピングモールの電化製品店で見ていたものだ。


「ちょうど居たしな」

「いや〜、やっぱ欲しいもんは日頃から言うべきやな」

「おい返せ」

「やーだー」


笑っていると、明崎の前に切り分けられたケーキが皿に乗って置かれた。

プレート付きで、心なしかちょっと大きい。


「あ、中身チョコスポンジや!」

「すげぇ、いちご一杯だ」

「あー、美味しそうー」

「へぇー、どこのケーキなん?」


明崎が聞いたら、奏女王がそっと言葉を添えた。


「笠原君、作ったんだよ」

「えっ……!」


びっくりして笠原を見ると、笠原は顔を逸らしてしまった。


「すごいよね〜、スポンジもクリームも一から全部作ってたもん。……笠原君も言えばいいのに」

「いや……食べてくれたら、それで良い、から」


たどたどしく答える笠原。

彼が何も言わない代わりに、周りが答えを埋めていき……


「クリームとか、均等に塗ったり綺麗に飾り付けたりするの難しいよね」

「あ〜分かるわそれ。俺も前失敗した」

「何っ!?柳田もケーキ作るのか!」

「いや1回だけだけど。ケーキ作るの、マジ大変なんだぞ。……スポンジめっちゃふわふわだけど、これアレ?作り方違う?」

「……スポンジだけ、シフォンケーキの作り方を参考にした」

「なるほど、それで!道理でキメが細かいと思ったんだよね。シフォンってメレンゲの硬さ難しいじゃん?よく作ったね」

「ありがたく食うんだぞお前ら」

「「「いぇっさー」」」


笠原がどれだけ頑張って……つまりそれだけ気持ちを込めて作ったかを思い知らされる度に。

それらは幾つもの小さな針となって、明崎の心を刺していく。

……痛い。


丸で、裏切っているみたいだ。


皆がわくわくした面持ちで見守る中、明崎はケーキを一口食べた。


「どう、だ?」


少し自信なさげに、笠原がそっと聞いてくる。


「……美味しい」


クリームは程よく甘くて、いちごの甘酸っぱさと良く合っている。

スポンジはふんわりとした、その名のごとく絹みたいな口当たりだ。

本当に、美味しくて……


そう答えたら笠原は、はにかみながらも嬉しそうに笑った。


今までだったら、明崎も嬉しく思うだけで良かったのに。

もう、素直に喜ぶことができない。



何で、こうなってもうたんやろう──



こんなに泣きたくなった誕生日は、生まれて初めてだった……




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