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「では、改めまして……せーのっ、」
「「「「誕生日おめでとう〜!」」」」
霧ケ原の進行により、歓声に包まれながら誕生日パーティーが始まった。
序盤がホラー過ぎて泣き掛けていた明崎だったが、何だかんだ今では照れながら、こうして祝福を受けている。
「え〜どうも、17歳になりました明崎です。今日はホント、俺の為にありがとうござい」
「うしっ、食うぞー!」
「あっ、抜け駆け!」
「ねー風紀、お酒無いのお酒」
「女王様のお口に合うようなお酒はありません」
「これ美味しい〜」
「……ん〜、聞く気ないやんな〜」
まぁ、いつものノリと変わりは無かった。
メンバーは明崎を含め、合わせて7人。
それぞれ持ち寄ったオードブルの盛り合わせや笠原お手製のご馳走が所狭しとテーブルに並べられている。
上座に座った明崎の前に、笠原が料理を取り分けてくれた皿を置いてくれた。
「ありがとう。紫己が作ってくれたんってどれ?」
「俺が作ったのはこれと、これと……」
「おい明崎、笠原に感謝しろよ〜。お前居なくなってから、張り切って作ってたんだからな」
「ねぇ〜。笠原君、それ美味しい」
「良かった」
笠原は柔らかく微笑んでから、早速空になってしまった皿に気づいて回収して席を立った。
「……須藤、そのメイクどうにかならん?」
「んだよ、人が今日の昼思いついた渾身のギャグを」
「しかも昼!?」
「このメイク僕がやっったんだからね〜。何。文句ある訳?」
「あ、いえ。滅相もありません、とても良いメイクだと思います」
「分かればよろしい」
その時、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。
「はい」と出て行った笠原は、程なく益田とシイナを連れて戻ってきた。
「おっ!ケイちゃ〜ん!シイナも!」
「誕生日おめでとう〜」
「明崎、おめでと」
「ありがとう〜!」
居間は一層賑やかになる。
男子高校生に掛かれば、オードブルや料理は次々と空けられていき、笠原が一応と作っていた予備の料理にも出番がやってきた。
笠原は時々席に着くものの、すぐに席を立って飲み物を足したり皿を下げたりと1人忙しい。
余り食事をしている気配が無い。
……明崎は、さりげなく笠原の皿に料理を大盛りに盛り付けて置く。
それに気づいた奏女王は明崎と目が合うや、意味深な微笑を浮かべた。
「何や」
「いーえ?」
奏女王はクスクス笑って、再び自分のところの会話に戻った。
……何か、複雑。
それから明崎もしばらくは会話に加わって楽しんでいたが、笠原が一向に戻ってこないのが、やっぱり気になってくる。
そっと席を立って、笠原の居る台所へ行った。
流石に主役が抜ければ誰もが気づくが、笠原の元へ行ったと分かると皆してニヤニヤ笑って、さりげなく様子を窺うだけに留める。
「紫己」
洗い物をしていた笠原は、やってきた明崎を見て不思議そうに首を傾げた。
「どうした」
「ずっと動きっぱなしやん、食べよ」
「ああ……いや、皿が溜まっていたから少し洗ってただけなのだ。すぐ戻る」
「じゃあ俺も手伝う」
「アンタは主役だろ。皆が気にする」
「主役の俺が気になるから、ちゃんとご飯食べてください」
明崎がそう言うと、笠原は困ったように笑う。
「……そうだな、主役のアンタに気を遣われてしまってはな」
手に持っていた皿だけ濯ぎ切ると、手を拭いた笠原は明崎と一緒に席に戻った。




