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「ぎゃあああああああああああっ!!!」
堪らず悲鳴を上げた明崎の耳に、ぎょっとしたような「うるせっ」という声が聞こえた。
その声で、ピタリと悲鳴を止めた明崎。
「え、あ、え……え?」
半泣きの状態で、恐る恐る隣を見遣る。
と──
「……あれ?」
今し方まで死んでいたはずの須藤が、何故か身体を起こしてこっちを見ていた。
明崎は唖然として、須藤の顔を凝視した。
「何で……?」
「いや、気づけ。ガチで救急車呼ぼうとしてんじゃねぇよ」
「嘘、待って。……死んどったんちゃうの?」
「勝手に殺すな」
須藤は頭から血を流しているはずなのに、何故かピンピンしている。
事態がさっぱり飲み込めない。
そんな明崎の耳に、何処からか「ぶはっ」と誰かの笑う声が聞こえた。
方角的には、明崎と笠原の部屋がある方だ。
「ぶ、くくく……」
「はははっ……!」
「おーい、行くぞ〜」
「鳥潟、料理運ぶのを手伝ってくれるか」
「うん」
ちらほらと話し声がした後、やはり襖の開く音がして、賑やかに何人かがドヤドヤ出てきた。
「明崎ーお疲れ!おめでとうー」
「関西人面白いっ……やばいっ……!」
「あはははははっ……ははっ……!」
「いつまで笑っているのだ、アンタら……」
上から、まず明崎の傍にやってきた笑顔の柳田と、爆笑しながらよろよろ出てきた奏女王と霧ケ原、そして呆れたように奏達を見ながら居間の電気を点けた笠原。
鳥潟も居る。
明崎はポカンとしたまま、彼らを眺めた。
「……何?これ」
「ドッキリ」
「はっ?」
何食わぬ顔でそう答えた須藤は、明かりを点けてもやっぱり青白い肌をしていて、頭から血を流している。
……よくよく見ていたら、それは特殊メイクだということに気づいた。
「誕生日おめでとう」
ニヤッと悪戯っぽく笑った須藤に、すっかり失念していた言葉を掛けられた。
周りも次々に「おめでとう」と声を掛けて、ぞろぞろと居間を出て2階に上がっていく。
……驚かされっぱなしだった明崎は、そこで漸く我に返った。
そして「やれやれ〜」と立ち上がって最後に出て行こうとする須藤の背中に向かって、明崎は堪らず叫んだ。
「ふ……普通に祝われへんのかボケェーーッ!!」
「はっはっはっはっ」
それすらも須藤に笑ってあしらわれてしまった。




