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波江高校は全寮制とはいえ、生徒の大半が本島の神奈川県内に本来の家がある。
又、島内の他の2校も殆どが県の人間だ。
フェリーを使えばすぐに会って遊べるのもあり、明崎は本島に帰っている友人たちから遊びに誘われた。
メッセージを受け取ってから、早速出かける支度をした明崎だが、玄関を出る段階になってもとうとう笠原の姿を見ることはなかった。
……あれ。
でも笠原のスニーカーはある。
もしかして家に居る?
確認したい衝動に駆られたが、それだとフェリーの出航時間に間に合わない。
明崎は自分のスニーカーを履くと、壁に掛かったヘルメットとスクーターの鍵を取り、家を出た。
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「明崎ー」
「おー、翔ちゃーん」
呼ばれた先はカラオケチェーン店だった。
明崎が行くと既に何人かが集まっていて、早速口々に「おめでとう」と声を掛けられ、ふざけて抱き着かれた。
「翔ちゃん」と呼んだ友人・宮野は、「誕生日おめでとう〜」とプレゼントをくれた。
「ありがとう!何やろ?開けていい?」
「ってもう開けてるじゃん」
言いながら貰ったプレゼントの袋を既に開け始めている明崎に、宮野は苦笑を浮かべる。
「……え、何これ!カッコいい!」
「明崎に似合うかなって、思って」
「めっちゃ嬉しい!ありがとう!今から履きたいぐらいなんやけど、あ〜!明日から履く!」
聞くと宮野のプレゼントは、有名なメーカーの限定版スニーカーだった。
それで明崎が「そういえば」と思い出したのは、前に靴屋に行った時、店頭に飾られているのを見たという記憶。
確か色違いだったと思うが、カッコいいと思っていたのだ。
「大事にする」
「おう……」
満面の笑みの明崎に対し、宮野の顔には照れたものが浮かぶ。
事情の知る一部の友人たちは、こっそり後ろで囃している。
「最初誰行くー?」
「じゃ俺いくー」
明崎への祝福が終わると、当然ながら始まるカラオケ大会。
まさにお祭り男が、歌っても踊っても合いの手を入れても活躍する場所である。
明崎が参戦すれば、カラオケ大会は非常に気持ちよく盛り上がった。




