約束
※残酷な表現が苦手な人は少し覚悟して読んでください。
―笠原志乃16歳、笠原財閥の長女。
長男の和也、ニ男の祐也、三男の雫、四男の征也。
そして、長女の志乃。16年間男として育てられてきた、男性が見たら“女”に、女性が見たら“男”に見えてしまうらしい。
着物を着ていて、声が低かったら性別が分かるはずもない。
一人称は“俺”どちらか分からなくなった。
「征也兄様、行ってまいります」
「いってらっしゃい。志乃」
―俺は、三男と四男が話しやすい。
『志乃、おはよう。ちゃんと寝た?』
―狐村悠太16歳、稲荷神社の跡取り息子。悠太の兄弟は2人兄弟らしい。
長男の遊、次男の悠太。下に弟の遊紀がいたが病気で亡くなった。
服装は着物と洋服の両方を着る。
一人称は“僕”と“私”ただし、“私”を使うのは臨時巫女の時のみだ。
「寝たよ。お前は心配しすぎなんだよ。悠太」
『だって、志乃が心配なんだもん』
「俺の心配よりも自分の心配しろよ」
『…うん。分かったよ志乃』
―学校では、俺は物珍しそうな目で見られる。
「ね、ねぇ。笠原さんはどうしていつも着物なの?」
「動きやすいし落ち着くから」
「…そっ、そうだよね。ごめんね」
―分かってるなら聞くなって。
『何話してたの?まさか、さっきの女子達…志乃に悪口とか言ってないよね?』
「…(コクン)」
俺は、頷くことしかできなかった。
『ならいいんだ。僕は、志乃のこと心配なんだよ?』
(まさか、この前アイツ等と戦ったとは思えないくらい回復力が強いな)
「…分かってるって」
―俺は、アイツとは違う。悠太はまだ人を殺したことはない。
でも…俺は、もう何人も人を…殺している。
「…の、しの。志乃!大丈夫?!」
―ここは、何処だ?見覚えがある場所だ。
『志乃!本当に大丈夫なの?肩から血が出ていたから…』
「…冷子と悠太か?大丈夫だ。」
「もう、無理しないでよ?アンタ…魘されていたわよ?」
“俺は…人殺しなのか?…分からない!分からないよ!”
―あの言葉の意味は、なんだったんだろう。
―コンコンッ
「…失礼する。入っても宜しいか?」
「…入れ。梓だろ?」
「分かっていたのか、驚いたな」
『…志乃。僕達、席を外してるから』
「…悪い。冷子、悠太」
冷子は、“大丈夫”といって部屋を出て行った。
「…で?話はなんだ」
「先程、本部から連絡が来たんだが…この辺りに稲荷神社があるだろう?」
「あぁ、悠太の家だ。それがどうしたんだよ」
「これに見覚えは、ないか?」
渡されたのは、いつも神社を掃除していた巫女さんがつけていた
青い蝶がモチーフの髪留めだった。所々壊れている。
「これがどうしたんだ?悠太の家で働いている巫女さんの髪留めだ」
「これを…遺体の女性が身に着けていたんだ。昨日殺害されたらしい」
―殺された?あの人が?嘘だろ?
「残念ながら、嘘ではないよ志乃。犯人も分かっている、こいつだ」
信じられなかった。その写真に写っていた人物が、殺人者だったなんて。
「…セガワ…カズマ…なんでこいつが?」
―俺の意識は、そこで途切れた。
この小説は、少し残酷ですが見るひとによっては、残酷には見えないかもしれません。