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最強魔法使い、追放される。――貴方の居場所は、ここではありません

作者: かきのたね
掲載日:2026/03/07

「すまないが……貴方を我がパーティから追放する! カレンさん、脱退手続きをお願いします!」


「かしこまりました」


 どういうことだろうか……。私は間違いなく最大の功労者であった自負がある。それだというのに、なぜか私が追放される流れになっているようだ。仲間の補助こそ必要としたが、それを補って余りある戦果を魔法で示してきたのだ。

 受付嬢も、追放を疑問に思わずに手続きを開始する。淡々と処理が進み、私の脱退の処理は完了してしまった。

 故に、私は抗議した。なぜ、私を追放しようとするのかと。先ほどの戦闘では魔法により、多数の敵を一度に屠っていた。我が魔法が無ければ、もっと戦闘は長引き、苦戦をしていた事は自明であろう。

 もちろん、味方に被害を与えるようなことはしていない。繊細なコントロールにより、多数の魔物の急所を打ち抜くことで、素材も無駄にはしていないのだ。

 そのことを伝えると、こう反論が返ってきた。


「ええ、確かに間違いはありません。ですが、それを行うために、貴方が座った車いすを誰かが常に押し続ける必要がありました。例え攻撃力があったとしても、車いすで現地まで行く必要があり、戦闘においても自分で逃げられない貴方は非常に危険な立場にあります。よって、連れて行くのは望ましくありません」


 なるほど、一理ある。パーティのメンバーには負担を強いる自覚はあった。とはいえ、私は結界も張れるので、ちょっとやそっとの攻撃では問題はない。これについても抗議したが、そういう問題ではないと切り捨てられてしまった。


 だが、私の活躍はそれだけではないはずだ。街での買い物では、全額を我が資産で支払い、経済面でも支えてきたはずだ。私の人脈を使い、様々な苦境も乗り越えてきた。それなのにどうして追放をしようというのか?


「パーティの物資はパーティの資産から支出するのが望ましいです。貴方に頼りきりになると、パーティの運営としては健全とは言えません。人脈についても同様です」


 そうか……私からの経済的な援助は不要なのだな。小さな頃から見ていたクレスが、パーティのリーダーとして立派な成長を遂げている。その事実に目頭が熱くなるが、それとこれは別の話である。

 それでも、追放されるまでの理由になっていない。何故、そこまでして私を追い出そうとするのだ!?


「そこまでって……いい加減にしてくれよ、爺ちゃん! 一体、何歳だと思ってるんだよ! 101歳だぞ!?」


 ひ孫のクレスが叫ぶ。


「爺ちゃんが強いのは知ってるよ! でも、爺ちゃんが魔物を全部倒しちゃうと、俺達が何も経験を積めないじゃないか! 買い物だってそうだ。爺ちゃんが、俺達への小遣いだーって全部払っちゃうと、何のためのパーティかわかんないよ! もう婆ちゃんを呼んだから、お願いだから家でのんびり過ごしてくれ」


 流石に私も、これには反省した……。ひ孫可愛さに何もかも自分がしていた事で、このような思いをさせていたとは……。

 クレスがギルドの入り口を指差す。

 私は目を疑った。そこには、三年前の冬に亡くなったはずの、我が愛しの妻が立っていたのだ。

 ……ああ、お迎えか。やはり無理をさせた報いか。すまない、待たせたな……。視界が滲む。最愛の妻がこちらへ歩み寄ってくる。彼女は慈愛に満ちた笑みを私へと向けていた。


「お父さん……また、私のことをお母さんと勘違いしているのね? ギルドの皆様、ご迷惑をおかけしました。お父さん、行きますよ? お父さんが大好きな、カボチャの煮付けが待ってますよ」


 こうして、私は我が愛しの妻()に車いすを押され、しおしおと家路についた。……はずだった。


 後日、車椅子からジェット噴射を出しながら空を飛び回り、魔法で弾幕を張る事で、笑いながらドラゴンを撃ち落とす老人が目撃された。


「フハハハ! 自ら歩けぬのが問題ならば、空を飛べれば問題あるまい! クレスよ、今ゆくぞ!!」


 ……これはまた別の話。

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