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Beelze  作者: 芥
序章 始業編
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第一話 入学式へ

初投稿です!

今年高校生になるので稚拙な文章だと感じるかもしれませんがお手柔らかにお願いします

前人類の中で選ばれたものだけが得られる異能 「MPA」

特に黄色人種やミックスに発現しやすいと言われている個人が扱う超常現象の総称だ。

ごくたまに条件を揃えれば無機物にも宿るそれは、人間の潜在的な欲求やトラウマを具現化した性悪の権化である。


今までは表面上認知されなかったこのMPAの存在が隠しきれなくなり世に明るみになると、世界は大混乱に陥り異能を利用した犯罪者が急増するに至る。


そしてここ、東京都飯田原でもまさに異能を行使した残虐な行為が行われようとしている。



「嫌だ!!!!!!いやだぁぁぁぁぁぁああ」


金切り声の断末魔が退廃した手術室の中で響いた。

鈍器が骨を無情に砕く音が静かに響く。


「ひぎゃぁぁぁぁ!!!」

「もうしません!!許して!!ゆるして!」


手術台の上で何度も懇願するが、徐々に声は小さくなっていく。


「ふふ」


血痕に光が反射して、白衣の男の口角が上がる。


4月6日 森閑学園(しんかんがくえん)大通り


道はずっと続くかに思われた。翔駒(しょうま)はまるでこの道がこの先続く自分の進路の輝かしさを暗に示しているものなのかもしれないという妄想に陥った。


こんな錯覚が起きるのも、温暖化により早咲きしていた桜がちょうどこの日満開だったからだろう。翔駒はそう確信していた。


一人で登校するという行為がここまで寂しくて緊張するものだとは予測していなかった。

小石を周囲の生徒に気付かれないように蹴りながらただ黙々と前に進む。

それにしても、朝飯を抜いたからか知らないが翔駒は甚大な空腹感に襲われていた。

このままじゃ校門に着く前に行きだおれになってしまいそうだ。

『あの桜まで10秒以内に到着できなければ即死』

そう自身に縛りを設けながら、ただ無理やり足を前後に動かし続ける。


どれくらい歩いただろうか。ふと、先程乗っていたバスにスマホを忘れた気がした。慌てて背負っていたカバンを肩から外して来た道の反対側を向きながらしゃがんで中身を漁る。その様は周囲の生徒が見れば明らかな挙動不審だろう。


ふと、振動を感じてパッチポケットに手を突っ込むとスマホを発見した。翔駒(しょうま)は安堵の溜息をつく間もなく、目の前から声をかけられた。


「ねぇ、ズボンのチャック…空いてるよ?」


顔を上げると、青がかったショートヘアの小柄な少女が膝に両手を置いて覗き込むようにこちらを向いているのがわかった。


「あっ!え?!あ、ほんとっすね!アハ、ありがとうございます!へ、へ」


最悪だ。

よりによってこんな大切な人生の門出の日に、初めて家族以外からかけられた言葉が社会の窓だなんて。


羞恥により耳たぶが赤く染まり、冷静になろうとしても制御が効かない。

恥ずかしさに今にも走り去りたくなった。でも、彼女はイタズラっぽく笑い、


「そしたらさ!私、一人だし一緒に登校しない?朝からずっと喋ってないの。」


予想外だった。まるで、ストレートがくると顎を守って身構えていたら意識外から不意打ちでフックを食らったかのような感覚だった。


「…え?……俺と…?」


呆然としながら、必死に脳内で言葉を探り声を捻り出す。


「あのさ!アタシ白玉茜(しらたまあかね)。白玉までが名字で、あかねが名前なのね。君は??」


「お、おれは榊翔駒(さかきしょうま)って言います!榊までが名字っす!」


興味津々、といった目つきで見つめてくるので反射的に答えてしまった。

自分の言った言葉を思い返して彼女の自己紹介を無意識に模倣していたことに気付くと、またしても羞恥で顔が赤く染まる。


「ねぇ大丈夫…?顔真っ赤だよ?りんご病?」


「いや、これは違うんで大丈夫です!」


「そう?ならいいんだけど…」

「てかさ、登校時間早くない??アタシ全然この調子で毎日間に合う気しないんだけど…」


「そう…っすよね。俺も朝ご飯抜いて来たんで結構キテるかもしんないっす」


「大丈夫〜?この後普通にずっと座るし寝ちゃあかんよ??」


言葉のひとつひとつに純粋さが滲み出ている。

いつのまにか手を繋がれている。

空腹感が嘘のように消えていた。まるで魔法でも使われたような感覚だった。

何年ぶりか忘れてしまっていた。


俺は、女子と、手を繋いで校門をくぐった。


だが、この頃翔駒は考えもしていなかった。

この時既に、魔の手が自分達とすんでのところまで迫っている事を。




僕の名前は間宮優希(まみやゆうき)。

今日も今日とて花見日和だなー!!

そんな呑気なことを考えながらも入学式ということで気分が高揚しているのは確かだ。

なにせ、僕の通う森閑学園は偏差値60ちょいの青春主義高校!

校則も他校と比べればだいぶ緩くて、まぁ僕は勇気もないし陰キャラだからやらないけど髪を染めてる人もチラホラいる感じかな?

僕は毎回電車で登校するからわからないところもあるけど、学園周辺はすごい雰囲気の出たデートスポットや絶景スポットがいっぱいあるんだ!

コミュ障の僕に友達ができるかはまだわからないけど…1人でも気を抜いて話せる人ができればそれで及第点かな。


僕は最近よく物忘れをする。

妙に不自然な物忘れだ。物置いてきちゃったなーとか、飼ってるトカゲの餌やり忘れちゃったなーくらいの。

それだけならまだいいんだけど、何か"凄く重要なこと"を忘れている気がする。


さっき友達のこと考えてたけど、そう。僕はこの飯田原からそう遠くない土地に住んでいる。

僕の中学生時代の友達がな、な、なんと2人…3人も森閑学園に入学するのだ!

ひとりめ、正井賢人(まさいけんと)くんは僕と同じくらいの身長の子。普段話しかけると「あ"?」とか言ってくるけど、根はすごく優しい!

すごい…一目見たら鋭い目つきとギザギザした犬歯が目立って、なんだろ、俺様系?みたいに思われる節もあるけどほんとに優しいんだ!

ふたりめは釘井昌宏(くぎいまさひろ)くんです!185㎝くらいある僕と正井君と比べても超長身!おっとりしてて表情も変わらないから、普段何考えてるかわからないけど何か困ったことがあるとここぞとばかりに僕たちを助けてくれます!

さんにんめは…白玉茜(しらたまあかね)さん

彼女はクラスの人気者で、美人だけどどこか抜けてるところがある人!

僕と他校に行っちゃった雲原宗吉くん、茜さんの3人でよく外食とか遊びに行ってたなー

でも凄い2人とも美男美女だからその中だと僕が周りから見れば相当浮いてたのは自分でもよくわかってる…

宗吉くんに関しては凄いピアスとかつけてて、なんかこう、ミステリアスな感じ?メロウ?悪く言うと…地雷系みたいな感じで、本人からよく聞くけど家庭環境が少し悪いみたい。でもすごく優しい人です


正井君たちとクラス同じだといいなー、絶対同じがいい!総合と進学に分かれてるんだけど、僕たち3人とも進学だし。

こんな僕に構ってくれる人って人生通しても数名しかいないもん!

あー楽しみだなー!共学だし、初日に思わぬ出会いが


【あるといいな】


あるといいんだけどなー!ま、天と地がひっくり返ってラグナロクが始まろうとそんな事は起こらないだろう。

あ、ちなみに今のラグナロクっていうのはズバリトレージングカードゲーム『アソビキング』のアニメ内で起きた最終戦争のこと!

僕が人生において誇れることは数少ない友人と『アソビキング』だけかもしんないなぁ


さて、このチェーン店舗を右に曲がってと。ここの橋か

ん…?!

何あれ…複数人のコワモテな人達が急いで橋を渡ってる

うわっ!追いかけられてるんだ!

あ、ひとりコケて捕まっちゃったみたい…変なケースを持ってる、重そうだなぁ

…え?!凄い蹴られてるよ!これって暴力沙汰?!

やばいやばい、どうしよう…

てこっち来た!!


「オラ待てガキ!!」


「おい!そいつ囮に使え!」


「OK!」


えっなになに…腕掴まれてる?!

すぐそこに絶対カタギじゃない人が3人もいるよぉ!

どうしよう、逃げないとこれ…入学式初日なのに!


「近付いたらこのガキをぶち殺す!!」


え?!え?!え?!

く、首元に刃物?!やばいよやばいよ!!

つ、冷たい…っていうか痛いこれ


「そいつ殺して何になるって言うんだ」


後から追いかけてきた人が追いついたみたい

そ、そうだよ…僕殺しても意味ないよ


「お前らんトコのシマで死人が出たら嫌だろ?」

「なぁ、見逃してくれよ?な?ほら、」


「…」


「圭さん…でしたよね、お願いします、俺等別のとこで商売するんで」


「…」

「俺は兄貴に1人残らず殺すように言われてるんだよ」


「い、いや!!俺等実はケミカルじゃなくて!その、はい!」

「混ぜ物したんは俺らじゃないんすよ」


怖い…一体何の話をしてるんだろう


「飯田原でカタギに獲物向けた時点でお前らは死が確定してるんだよ」


黒服の若々しい人がなんか力んでる…

3人の人達、凄い焦ってるみたい。どうしよう…僕ここで死ぬのかな?


「秋元さん、こいつら殺してしまって構いませんよね?」


いいなぁ、あのスマホ最新型の機種じゃん…ってそんなこと考えてる場合じゃない!

僕、このままじゃ脅しじゃなくて本当に殺されちゃうよ!


《構わへん》

《早う殺せ》


うわっ?!?!

男の人のおしりの辺りから凄いウニョウニョした触手みたいなのが飛び出してきた!!

何これ?!夢???夢じゃないと困るよ…!


「や、許して…ひぎっ!」


あれ?!僕の首にナイフ突きつけてた人お腹刺されちゃってる?!お腹刺されちゃってるけど死んじゃわない?!


「ケヒヒヒヒヒヒ!!半グレ風情が粋がるなよ!!」


「この厨房があああ!!」

「ふぐっ…」


ま、また刺されちゃってた…どうしよう、やばいよこれ絶対…

僕こんなの警察に事情聴取されても何言えばいいかわかんないし…

てか凄い血の量…息してるよね?してない?


「おいクソガキ」


「は、はい!!」


「輝、消せ」


『…』


あれ、電柱の奥に誰かいる?

あれって宗吉く

あっ…?!なんだこれっ!頭が…割れるっ!

なん…なん…だ!?





やっと着いた〜!!

途中まで歩いてた道忘れちゃったりして大変だったけど、ちゃんと着いてよかった!

今日から毎日この道を通るのかあ、大変だなあ


うわぁ〜、凄い風情のある道…桜がいっぱい咲いてるよ

プライベートで正井君たちと来たいな、ここ


あ!茜さんだ!青髪の男の人と話してる…?

あの人誰だろう…優しそうな顔だけど、あ!赤面してる!チャック開いてるの教えてもらってたんだ〜


おーい!!

…?茜さん、今こっち見たよね?


あれ…僕のこと忘れてる?

そんな筈ないんだけどな…ん〜~…まいっか!

そんなことより早く登校して正井君たちと話さなきゃ!

クラス同じかな〜入学式長引かなきゃいいな

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