第4話主人公の自覚
誤字脱字、矛盾点などがございましたら教えて頂けると幸いです
西城は気絶した護衛さんを背負いながら、歩みを進めている
目の前には、マサムネちゃんが歩いている
「マサムネちゃん?これはどこに」
「テルマ・マサムネです。テルマと呼んでください」
「テルマ、これはどこに向かってるんだ?」
「ムフ!」
テルマ・マサムネから謎の鳴き声が発せられた
「やめて下さい。呼び捨ては」
「・・・ごめん。テルマさん?」
「ちゃんでいいです。ほんと、呼び捨てはやめて下さい」
西城の中で、テルマ・マサムネちゃんのイメージが大きく変わっていく
最初に出会った時は非常に怖い存在
2度目に出会った時は弱気な少女な存在
3度目に出会った時は冷徹な存在
そして、今はただの可愛い敬語系美少女な存在、
先ほどの彼といい、人格が複数ある人が多いのかと、西城は疑問に思った
そんなことを考えている途中で、テルマちゃんの足が止まる
「ここです」
「・・・家?」
西城の目の前には、大きな大きな家があった。恐らくだが
「寮?」
学園の寮であることが伺える
「あなたが住む家です。私も住んでます」
「俺が住む家?え?どういうことですか?俺、契約してますよ。別の賃貸」
「ああ、それはもう解約されていると思います。私も同じことをされました」
「その通り!」
ガシっと誰かの腕が西城の肩を掴む
「学園長ですか」
「離して下さい」
西城が少し強引に学園長の腕を払う。西城は学園長が少し苦手に感じている
理由は単純。ヤバそうな人だから。己に不利益を振りまいてきそうだから、そんな理由だ
ヤバそうな人というのは色々と種類がいるが学園長は面白さで何かを起こすタイプだ
そう西城は考えている。考えが合っているかはまた別だが
「実験生物を手元に置かないバカはいないよ。おっと、言い間違えた。貴重な実験生物だったな」
「人を実験生物呼ばわりしないで下さい」
「呼ぶよ。私は」
学園長は女性だ。きっちりとしたスーツを着ている女性だ。容姿も良い女性だ
男ならば綺麗だと答える容姿だ。肉付きも良い女性だ
だが、西城の目には恐ろしい者として映っている
「・・・・」
「これをあげよう。背中にいる貧乳娘の笹裕理ちゃんに渡してあげて」
「書類?」
「強制指令の書類だよ。彼女は君と一緒にここに幽閉する」
「!!!」
頭上から重さを感じたと思うと、地面と西城の頬がくっ付く
「私はね。権力が欲しいんだよ」
「!!」
周りの地面が少しずつ沈む。西城の体が少しずつ軋み始める
「これは私の研究なんだがね。女と男の肉体の違いは知ってるよね?」
何をされているのか、西城は理解していない。知覚できていない
「男と女、純粋な肉体だけを見た場合、女は男に勝てない。殴り合いで勝てない」
「・・・・」
テルマちゃんは静かにそれを眺めている
「だが、魔法とインシュブルという科学で解明されていない。不思議な力により、その常識は改変された」
学園長の話は聞いているかの確認もないまま、続く
「魔法、インシュブルを入れた場合男は女に勝てない。そう改変された。つまり、力を持った女性が上に立つ資格が出来た。私はそう思っていた。私が上に立てると確信していた」
重さが一段階、強くなる
「老害共の爺たちが邪魔をしなければ。分かるか?地位を奪われまいと、力もない、寿命もない、薄汚い容姿をしている者達が、、私の邪魔をしている。許せると思うか?許せないよな!!」
重さが一段階、強くなる
「お前は男でありながら、魔法と使用できる。インシュブルを使用できる。お前が活躍する度に、私の権力が遠くなる。老害たちの権力が強くなる。だから、幽閉する。お前の力を私の研究材料にする。老害共の力を注がれた、お前を利用する。死は与えない。生も与えない。植物のようになれ」
重さが無くなる
「・・・・」
西城の意識は薄れていた。自身の上にトラックが乗っている感覚に近かった
ただの人間ならば、ここで動けないだろう。ただの男ならば、動けないだろう
「断る!!」
「状況が分かってるのか?」
「理解してる!やり方を変えろって言いたい!!!」
西城が重さで潰れた肺を酷使しながら、叫ぶ
「やり方?これの「俺があなたを上に立たせる!!」
学園長が首を傾げる。心底理解できていない様子だ
「権力も無い。前までただのどこにでもいる、男だったお前が?私を上に立たせる?」
「笑えるだろ?だけど、閃いたんだよ。あなたが言ってる老害、叩けば埃が出るタイプだろ」
「上に立ってる奴らはそんなものだろう」
「俺が老害を叩く」
学園長に西城は視線を向ける。目を合わせる
「俺を生かせ。死を与えるな。俺が老害たちを倒す。蹴落とす。だからゴッポ!!」
ゴポ!っと音が鳴ったと思うと、西城の口から血が吹き出す
「・・・・・」
「俺に賭けてくれ。俺は男でありながら、力を持ってるんだろ?」
ダラダラと口から血を垂らしながら、西城は説得を試みた
「・・・いいだろう。だが、ムカつくから寝とけ」
「は?」
頭だけにとんでもない重さを感じたと思うと、西城は意識を失った
最後に見たのは、悪魔と思える程邪悪な笑みを浮かべた、学園長だった




