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支配と理解  作者: 御中御庭より


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7/34

修正 7

学園に着いて最初に通されたのは、広間だった。


式場ではない。

整列も、名前を呼ばれることもない。


机の上に、制服が並んでいる。


「順番に受け取れ」


教師が短く告げる。


濃紺に近い黒のジャケット。

立ち襟で、動きやすい作り。

シャツとスラックス。


縁取りは赤。

一年生の色だ。


全員同じ。

違いは、まだない。


着替えを済ませ、再び集まる。

胸元は、空いている。


そのまま式場へ向かう。


高い天井。

並べられた椅子。

前方に、校長と数名の教師が立っていた。


「これより、入学式を始める」


校長の声は落ち着いている。


「イースト中央魔法学園へ、ようこそ」

「ここでは、力を学び、扱い、記録する」


説明は短い。

理念は語られない。


「続いて、学園章の授与を行う」


机の上に、章が並べられる。


中央に嵌め込まれた、小さな魔法石。

色は、まだない。


名前が呼ばれる。


一人ずつ前に出て、章を受け取る。


手渡される直前、

教師が石を見る。


淡く色づく者。

はっきりと染まる者。


何も言われない。

反応もない。


ただ、渡される。


「エリオ・フェルナード」


前に出る。


章が差し出される。


教師の視線が、石に落ちる。


――変わらない。


一瞬だけ、間が空く。


教師は俺の顔を見る。

次に、名簿を見る。


確認するように、指でなぞる。


「……次」


それだけだった。


章は、そのまま渡された。


石は、無色のまま。


理由も、説明もない。


胸元に留める。

赤い縁取りの制服に、透明な石。


それが、俺に与えられたものだった。


席に戻る。


周囲の反応はない。

誰も、何も言わない。


そういう場なのだと、受け取る。


役割が告げられる。


「エリオ・フェルナード。記録補助」


「はい」


拒否も、質問も必要なかった。


式は、それで終わった。


解散の合図が出る。


「エリオ」


ミレイアが声をかけてくる。


「章、付けたんだね」


「ああ」


彼女の石は、薄く色づいている。


「変な感じしない?」


始まった、と言われる気がした。


けれど。


「まだ、よく分からない」


「そっか」


ミレイアは笑う。


「まあ、これからだよね」


今日は、章を渡された。

役割を与えられた。


それだけだ。


俺は、それを記す。

事実だけを。

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