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支配と理解  作者: 御中御庭より


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6/34

修正 6

出発の日は、あっけなかった。


荷物は少ない。

必要なものは、すでに決められていた。


何を持っていくか、ではない。

何を持たされるか、だ。


村の外れに、馬車が来ていた。

学園へ向かうためのものだと、誰もが分かっている。


説明はない。

質問も受け付けられない。


「名前を呼ばれた者から、乗れ」


それだけだった。


呼ばれ、返事をして、前に出る。

その繰り返しで、人は並び替えられていく。


俺の番も来た。


名前を呼ばれた。

返事をして、馬車に乗った。


それ以上でも、それ以下でもない。


揺れ始めた馬車の中で、村が遠ざかる。

見慣れた景色が、小さくなっていく。


誰かが泣いていた。

誰かが笑っていた。


俺は、どちらでもなかった。


ミレイアは、外を見ていた。


「ねえ」


急に振り向く。


「学園って、すごいところなんでしょ」


答えを期待しているというより、

言葉を外に出しただけの声だった。


「そうらしいな」


「楽しみ?」


少し間があった。


「分からない」


それは本当だった。


馬車は止まらない。

途中で降ろされることもない。


道中、簡単な説明だけがあった。


規則。

区分。

役割。


どれも、覚える前提で語られる。

理解するかどうかは、考慮されていない。


「質問は?」


誰も手を挙げなかった。


挙げる理由が、見つからなかった。


夕方、建物が見えてきた。

高い壁と、整えられた構造。


学園だった。


門の前で、再び名前を呼ばれる。

順に降ろされ、並ばされる。


「ここから先は、学園の管理下に入る」


そう告げられた。


意味は、説明されない。

だが、境界線だけは明確だった。


足を踏み出す。


それで、終わりだ。


戻るという選択肢は、

最初から置かれていない。


夜、与えられた部屋で、ノートを開いた。


白いページに、今日の出来事を書く。


移動。

説明。

到着。


黒いページは、見なかった。


閉じる前に、ふと思う。


ここに来た理由は、

まだ、言葉にならない。


ただ一つ確かなのは、

もう、元の場所には戻らないということだけだ。


灯りを消す。


外は静かだった。


学園での生活が、始まる。

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