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第22話 「噂と報告」
緊急会議が開かれた。
私を含め、担当教師は全員が参加している。
この場に欠けている者はいない。
議題は一つ。
先日起きた出来事について。
内容は整理されていない。
だが、共通点だけは揃っている。
通路。
生徒。
負傷の痕跡。
「血痕は確認されています」
「すでに処理済みです」
報告は淡々としていた。
色についての言及はない。
血である、という認識だけが共有されている。
「当事者の特定は?」
「できていません」
噂は多い。
だが、事実は少ない。
この学園は、型を重んじる。
感情で裁けば、規律が崩れる。
前例のない事態ほど、
前例に沿って扱わなければならない。
「学園内で完結させるのは危険だ」
誰かが言い、
誰も否定しなかった。
教頭に報告する。
それが、型だ。
事実のみを書面にまとめる。
推測は削る。
断定もしない。
危険、とは書かない。
だが、安全とも書かない。
「学園規律のみでの対応は困難」
その一文が、結論だった。
教頭は書面を確認し、宛先を見る。
王都。
形式に従い、封を閉じる。
特別な作業ではない。
誰も、何かを壊したつもりはなかった。
ただ、
いつも通りの手続きを行い、
いつもより重い報告を上げただけだ。




