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プロローグ
世界に否定された、と思った。
中間管理職という立場は、便利で、曖昧だった。
上からは結果を、下からは不満を向けられる。
どちらの言い分も理解できてしまうからこそ、
俺はいつも、その場を丸く収める言葉を選んだ。
衝突を避け、誰も傷つかない結論を探す。
理解しているふりをして、踏み込まない。
それが、正しい大人の振る舞いだと信じていた。
あの会議でも、そうだった。
沈黙が流れ、全員が分かっていた。
このままでは誰かが壊れる、と。
言うべき言葉は、確かにあった。
でも俺は、それを選ばなかった。
事故だった。
誰も悪くなかった。
それでも世界は、あっさりと俺を切り捨てた。
薄れていく意識の中で、考えていた。
俺は、本当に人を見ていただろうか。
理解しようとしているふりをして、
責任から距離を取る言い訳にしていただけじゃないのか。




