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迷宮主ノ物語  作者: 宇多川
0章
2/8

01始まりの日

誤字脱字あったらおねがいします

 星海暦0777年4月1日、午前3時。


 緊急速報。


 迷宮の心臓であるダンジョンコアの起動を、迷宮観測局が確認。



 ダンジョンコアは、ステラ大陸内の国から迷宮主を選ぶため無作為抽出を開始。


 観測者は、ダンジョンコアの起動と8人の迷宮主が選ばれることを発表。


 同時刻、迷宮種の血を引く怪物モンスターの活発化による被害を確認。冒険者、探索者、傭兵、狩人ハンターは活動開始。



 70年ぶりの迷宮復活に、世界の歯車は動か始める。



ーーーーーー


 星海暦0777年4月1日、午前6時。


 ステラ大陸北東に存在する 多種族国家、イリス連邦。首都から、北に100キロにある村。



 リリス村。人口400人。周囲は山と森林に囲まれ、周辺には原生種と迷宮種の多種多様な怪物モンスターが生息し、怪物モンスターによる災害が多い歴史がある村。

 


 私は大容量のバックパックを背負い、リリス村のバス停に降り立つ。



 首都からここまで、おんぼろなバスで3時間。私の体は、荒い運転と爆睡のせいで疲れていた。


「実家に帰るだけなのに腰も尻も痛いし、余計に疲れたな」


 と、私は体を伸ばす。そして、がらんとした村を見渡す。


「相変わらず、何もなく平穏な村だな」


 と呟き、村外れにある実家へと歩き始める。


 村の外れにいくにつれ道が狭くなり、半壊した民家が視界に入る。さらに進むと、倒壊した民家が確認できる。

 壁につけられた鉤爪の跡から怪物による被害だと、理解はできる。が、被害を出し復興しないというのは、村に拠点をおく冒険者や探索者、傭兵や狩人ハンター、兵士の怠慢だと私は考える。


 そんなことを考えながら歩き、実家に着く。すると、実家の玄関に黒毛の男性が立っている。


「おはようございます。わたくし、迷宮観測局観測者のヒスイと申します」


「おはようございます。迷宮観測局のヒスイさん、ですか。何か、私にご用で?」


「本日、わたくしがこちらに来た理由。それは、望月紫さん。貴方、迷宮の心臓ダンジョンコアの無作為抽出により迷宮主に選ばれたことを伝えに来ました」



 そう告げられた私は、口を開けぽかんとするしかなかった。




ーーーーー


「つまり、その迷宮主に私が選ばれたと?」


 「はい。もう一度確認しますが、迷宮の心臓ダンジョンコアによる無作為抽出によって、8人の迷宮主が選ばれました。その内の1人が、望月紫もちづきむらさきさん、14歳。男性。本人で、間違いありませんね?」


 ヒスイの言葉に、私は驚きと戸惑いの表情を見せる。


「あ、ああ。本人で間違いないです。けどこれは、何の冗談ですか?」


 と、目の前の観測者であるヒスイに話す。が、ヒスイは、真面目な表情をし手に持っているケースを私に向け開く。その中には、握りこぶしほどの青色の球体が入っている。


「冗談ではありません。この、ダンジョンコアは紫さんを無作為抽出で選びました。我々は、これを渡し迷宮主と迷宮を観測するのが仕事です」と告げる。


(現実のようだ。拒否権もなさそうだが、聞いてみるか)


 私は、ヒスイに質問する。


「拒否権は、ありますか?」


「ダンジョンコア選ばれた以上、ありません。我々の記録でも、拒否したらダンジョンコア自体が強制的に選んだ者の中に吸収され暴走したあげく爆散したという記録されています。ですから、拒否はおすすめしません」


 質問の答えがヒスイから返ってきた。


「はぁ、わかりました。それで、迷宮主っていうのは、何をするんですか?」


「基本的に、迷宮ダンジョンの管理、運営です。前任者達は迷宮を拡大し人類侵略をした結果、討伐されたと記録されています」


(管理、運営か。迷宮主として人類側からも他の迷宮主からも目の敵にされるだろう。しかし、拒否権がない以上私のやりたいことしたいことを探すのもありだな)



と、考えている私を見つめるヒスイ。



「紫さんは、他の迷宮主様と違って喜ばないのですね。他の皆様は英雄になるとか、特別になれたとか、色々喜んだと報告がありましたから」と、ヒスイは言う。


「まぁ、正直に言ったら喜ぶことではないと思いますよ。

 迷宮によって得られる富や名声なんてものには、興味ないですし。


 迷宮や迷宮主を敵視する連中、富や名声を得ようとする連中を相手にしなければならないのですから、喜びより面倒くさくて生きるの大変になるなって思いの方が強いです」



 と言って、頭をかく私。




 (せっかく、実家に帰って来たのによりによって今日。迷宮が復活し、私がその1人に選ばれるとはな)とため息を吐く私。




「では、迷宮の心臓であるダンジョンコアとこの携帯端末をどうぞ」と言ってダンジョンコアと携帯端末を差し出すヒスイ。まず私は、携帯端末を手に取る。


「これは?」



「迷宮主専用の携帯端末です。登録された迷宮主だけが使える機能が搭載されています。本格的な迷宮の設定は、ダンジョンコアを設置後。あと、電話、ショートメッセージ、SNS、検索機能があります。必要なんでどうぞ」



 私は、ヒスイの前で携帯端末を起動する。起動後、設定画面を開き迷宮設定を押す。


「まず、できる迷宮の設定しますね」


第1項目

下の2つから、選んでください。なお、迷宮を作る際は村や都市などから最低限10キロ離れてください。

・地下迷宮

・地上迷宮



 (地上迷宮は、侵略ってイメージでかなり恨まれそうだ。地下迷宮のほうが防衛に向いてそうだし、防衛の方がやりがいがある。だから、地下迷宮だな。)


地下迷宮を選択し第2項目が出る。


第2項目。大型1体、中型1体、小型2体合計4体の怪物モンスター、動物の中からランダム抽選。


(ランダムか。何が選ばれるか、ちょっと不安だな)


私は、抽選ボタンを押す。


大型:がしゃどくろ×1


中型:河童×1


小型:狼×2


 と言う結果になった。


第3項目、地下迷宮を選んだ方のみ、地下一階フロア。

・砂漠/山岳

・森林/墓場

・荒廃した市街地




 (地下一階なら、森林だな。大型怪物は地上に配置するとして、他は森林の方がよさそうだ)


 と、森林/墓場を選び携帯端末でできる範囲内での設定が終わる。


 《迷宮外で活動する場合、体内にサブコアを入れ、迷宮外で活動できる職業を見つけると良いでしょう。では、迷宮の場所を決め迷宮を作りましょう。設定おつかれ様でした》と表示される。その後、他の機能が表示される。


・ダンジョンショップ/怪物販売、道具販売など。

・サブコア/迷宮主を中心に範囲20メートルから1メートルの迷宮領域とする。範囲内にいる生物から微量に生命エネルギーを徴収し、DPダンジョンポイントに変換する。

・地図、電話、ショートメッセージ、SNS、検索機能の表示。


 「機能、こんなもんか。次は、本格な迷宮の拡張のために設置場所か。今決めるのでヒスイさん、村や街から最低10キロ離れた場所に候補ありますか?」


「待ってください。今から地図を出して候補になりそうな場所、印つけますね」


 と、地図を取り出しヒスイは悩みながら候補に丸印を書いていく。


迷宮候補

北に25キロ地点:天然洞窟/廃鉱山/近くに廃村あり

南25キロ地点:熱帯林/近く廃村あり

東15キロ地点:無人島/廃漁村あり/大小の湖多数

西15キロ地点:荒野/怪物多数



(この候補なら、北だな。もし迷宮の力で鉱物資源の生成可能な場合、人を迷宮に呼べるし防衛にも適している。南は、地下1階層を森林にしたから選ばない。東は、防衛にはいいかもしれないが人を呼ぶには不向きだ。西は、資源に乏しい可能性あるし怪物モンスター多数で下手したらこちらがやられる)


「北の天然洞窟にします。では、ダンジョンコア受け取りますね」


 と、私は最後にダンジョンコアを手に持つ。すると、ダンジョンコアが体内に吸収され体内を移動し胸部に露出する。


《迷宮主、望月紫を登録。迷宮になる場所へ、ダンジョンコアを設置してください》


 ダンジョンコアから無機質な声が聞こえ、私は今日、迷宮主になった。

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