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プロローグ 貧乏令嬢は婚約者に婚約解消をプレゼントする

よろしくお願いいたします!

「お誕生日おめでとうございますトリスタン様。私、今日はあなたに最初で最後の、そして最高のプレゼントをご用意しましたの」


アネットはその日、

自分に出来る精一杯の真心を婚約者であるトリスタン・ハイドに贈ろうと決めていた。


そして今、彼の幸せを願う気持ちを込めてトリスタンに告げる。



「トリスタン様。私との婚約を解消しましょう」


言えた……!


とうとう言った。


アネットはこの言葉を泣かずに言えた事に安堵した。


こんなにも胸が苦しくて息が上手くできないほど辛いのに、笑顔でこの言葉を贈れた事に安堵する。


対するトリスタンは大きく目を見開いてこちらを見ていた。


『きっと思いがけないサプライズなプレゼントに感動しているんだわ……』


やはりトリスタンへの最初で最後の誕生日プレゼントはこれにして正解だったとアネットは思った。


高価なプレゼントを贈れない自分でも、


今までのお礼を込めて最高の贈りものが出来たのだ。


アネットは泣きたい気持ちを抑えて精一杯の笑顔で告げた。



「あなたはどうか。本当に愛する女性と幸せになってください」








────────────────────


本編は時間が遡ってスタートします。






引き続き本編投稿します。

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