11月12日 追跡
受験勉強も半ばに入ってきた。私は、東京の大学を第一志望としていた。合格率は、50%。なんとも言えない数字だ。
ー11月11日ー
私たちは、教室を出て、靴を履き替えた。
私 「こっちであってるの?」
那奈「あってる」
校門を抜けると、八代北側と八代南側に大きく分かれていた。新谷は、八代北中出身だから、左へと曲がった。
私 「連絡した?」
那奈「したけど、今のところ返信ないね」
私たちは、信号が変わるのを待ちながら話していた。那奈は、返信がないことにどこか寂しさを感じている様だった。
私 「そっかぁ」
那奈「でも、ホナもさ、バカじゃないと思うから、いつまでも学校に来ないなんてないと思うんだけどね」
那奈の言う通りだ。新谷は、誰にも物怖じせず話すことができるからトラブルは多い。でも、何かを途中で放り出す様な無責任なことはしない子だった。
私 「私は、蒼井の方が気になるな」
私がずっと気になっていたことだ。
那奈「どういうこと?」
私 「この前までは、心配してたのに、ここ二日間は、何も言ってこなかったんだよね」
那奈「ふーん」
那奈は、ニヤけながら返事をした。
私 「その返事の様子じゃあ、何か知っているっていうにもとれるけど?」
那奈「どうだろうね?フフフ」
私たちは、信号を渡り、さらに一直線に進んでいく。
私 「知ってるんだったら、さっさと教えてよね」
那奈「知らないよ。何も。でも、一つだけわかったことならあるよ」
私 「何それ?」
那奈「楓って、私がいない間に変わったよね」
那奈は、嬉しそうに笑った。
私 「どういうこと?」
那奈「私が休んでたにも関わらず、ホナは毎日連絡くれたんだよね」
私が休んでいる間、新谷も連絡を送っていたんだ。
私 「えっ?」
那奈「しかも、私は未読無視してたのにね」
確かに、あの時は、私も連絡を送り続けていた。でも、いつしか連絡がこなくなり、那奈に連絡するのはやめた。だが、新谷は違ったらしい。
私 「‥‥」
やっぱり、新谷はすごかった。
那奈「その毎日の連絡の中に、楓のこともたくさん書いてあったんだよね」
私 「なんて書いてあったの?」
那奈「うーん。直接聞いてよ。私が言うと怒られるから」
私 「なによれ!」
那奈「まぁまぁ」
私たちがじゃれあってるうちに新谷が住むマンションに到着した。