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1月15日 共通テスト

 試験開始3分前。前方にいた試験監のテスト説明が一通り終わり、開始の合図をじっと待っていた。まさか、こんな気持ちでテストに望むとは思ってもいなかった。昨日まで、ずっと曇っていた心がすっきりと晴れ渡っていた。この試験会場には、同じクラスメイトも何人かいた。寺崎、辰巳、土井、そして、世田。みんな仲がいいというわけではなかったので、特に話をすることもない。とにかく、自分のことだけに集中したかった。

 私の先は、教室の前方の方。常に試験管から見られる位置だ。決していい気持ちはしないが、気にしていても仕方がない。前は見ずに試験開始の合図を静かに待つしかなかった。開始まで残り1分。私は、1教科目の国語の問題用紙と解答用紙がセットになった紙の注意書きをずっと見つめていた。私の受験番号は、"2087"。これを名前の横に書かないと0点になる。これだけは気をつけないと。静寂を破ったのは、試験監の声とともになるチャイムだった。わずか10秒ほど。しかし、私にとっては、とてもゆっくり聞こえたのだ。会場内は、一斉に鋭い鉛筆の音が鳴り響いた。こんなにも音がするんだ。

 私が想像していた数倍の音が聞こえてくる。これは、寝る前とかだったらやめてと言わんばかりだろうな。思ったよりも、心に余裕があったのだ。開始して1分くらいだろうか?受験生に手を差し出すように、受験番号と名前を書くように説明し始めた。みんな書いていると思いきや、1人や2人は書いていない人がいるんだろうなと思っていた。私は、早速漢字の問題を解き始めた。思ったよりも難しくなく、スラスラ解けている。教室内は、緊張した空気というよりも殺伐とした雰囲気という方が近いのかもしれない。みんなここまで勉強してきたのは、この日のためのものだ。受験生は、必死な様子で試験を解いていく。

 今日は、鉛筆3本に消しゴム2つを机の上に置いていたのだ。消しゴム2つなんて絶対いらいないけど、もしものためと思って開始10分前に置くことに決めたのだった。私の横には、淮南高校の制服を着た女性が座っていた。彼女は、ゆっくり1問1問解いているように横から見て感じる。ただどこか解答用紙に書く姿勢が鋭さを感じる。なんか、うまくたとえられないけど。少し、他の人とは違う。そんな感じだろう。蛍光灯の明かりは、まるで私の周りを照らすかのように他の人に注意が向いてしまう。ダメだ、こんなんじゃ。昨日のことをふりかえりながら、もう一度心を入れ直したのだった。

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