1月7日 3学期
冬休みが終わり、高校の校門からはいろんな生徒から元気な声や笑い声が響き渡っていた。新学期の幕開けと言えば聞こえはいいが、私たち3年生にとってはそんな余裕はなかった。ちょうど朝会が始まる音が鳴り響く。生徒たちは急いでそれぞれのクラスに散っていく。私も慌てて教室に入った。もう既に、先生は入っており、そこの机に教科書やノートが積まれていた。私の周りにいた生徒たちは、迫り来る共通テストに向けた緊張と久しぶりに会えた友だちとの興奮と入り混ざっている様だった。
みんなは、どんな気持ちでここにいるのだろうか?
期待に胸を膨らませながら、3学期を楽しみにしているのはほんの一人握りなんだろうけど。私は、外から窓に差し込む陽光が、教室を明るく照らしていた。私の机の上には、鞄がのっていた。鞄についてあるキーホルダーは、那奈からもらったものだ。これを見ると、なんとなく3学期も頑張れそうな気がしたのだった。
先生「じゃあ、今からホームルーム始めるぞ」
生徒たちは、先生の方を見つめた。
先生「まずは、明けましておめでとう。元気してますか?」
私は、こくりと頷いた。冬休みは、小野田たちと会ったのが一番の思い出だ。けど、それ以外はずっと、勉強ずけだった。
先生「17日の共通テスト。まずは、そこを目指してる頑張ろう」
生徒たちは、みんな小さく頷いた。
先生「じゃあ、まずは冬休みの宿題から出してくれ」
1番後ろにいた生徒は、順番に宿題を回収し始めた。私も机の上に置いておいた宿題を渡した。
先生「1時間目は、先生が休みになってしまったから、自習になる。わかったか?」
生徒からは大きな声が上がった。私も嬉しい。今さら、先生の授業を聞いたからといって、何か変わるわけではない。それよりも、自分がやりたい教科を自習で勉強している方がマシなのだ。今日、私は共通テストの過去問をする予定だった。
先生「2時間目からは通常の授業になるから気をつけろよ。明日は、テストだからな」
そうだった。明日は、テストだった。さっさと共通テストなんて終わればいいのに。そしたら、もっと楽ができる。私は、そう思った。黒板に字を書く先生を見つめていた。3学期が始まり、生徒たちは自身の進路先がどうなるか不安と戦っていた。
先生「じゃあ、チャイムが鳴ったのと同時に、自習スタートだ」
私は、勉強道具を机の中から出した。




