11月10日 幸せ
今日も那奈がいる。それだけで、贅沢な気持ちになった。
ー11月9日ー
私たちは、ベンチに座って、ひこうき雲を見つめた。
私 「てっきり、もう帰ってこないと思ったよ」
これが、ホントの気持だった。
那奈「何よそれー、帰ってきてほしくなかったの?」
私 「もうちょっと、いてもよかったんじゃない」
"早く帰ってきてほしかった"なんて、恥ずかしずきて言えなかった。
那奈「もう!」
私 「ハハハハ」
那奈が横にいる幸せは、何にも変えられない。
那奈「でも、連絡しなくてごめんね」
私 「謝るのが遅いよ」
那奈「フフ」
イタズラな顔をしながら答えた。
私 「何があったの?」
那奈「うーん。話すと長くなるけどいいの?」
那奈は、額に手を当てながら、考えていた。
私 「特別にね、聞いてあげる」
本当は、聞きたくて聞きたくて仕方がなかった。
那奈「病気がわかったのは、3月ぐらいなの。でも、なかなかよくならくてね」
私 「そっかぁ」
那奈の顔を見ながら話を聞いた。
那奈「で、5月頃になっても変わらなかったから、別の病院を探してたの。そしたら、さっき言ってた定本くんの友だちに東京の病院紹介してもらって」
さって言ってた子かぁ。
私 「東京行ったのは、いつ頃なの?」
那奈「大体、6月半ば頃かな。それで、7月に手術して、8月からリハビリ開始したの」
それじゃあ、、、。
私 「8月にリハビリしたんだったら、もうちょっと早く戻ってこれたんじゃないの?」
那奈「そうだね」
私 「‥‥‥」
何か、那奈は言いたそうだった。
那奈「でもね、、、、」
那奈は、これ以上話さなかった。
私 「どうした?」
那奈「思い出すと泣けるな、ハハハ」
相当思うことがあったんだろう。那奈の顔から笑顔がなくなった。そして、、、
私 「つかったよね」
那奈「病気はつらくはなかったんだけどね、、、、、。みんなぁとあえないのが、、、、」
話し出したと同時くらいに涙が溢れでる。溢れる涙をこらえながら、話続けるが、那奈の顔は、涙でくしゃくしゃになってしまう。
那奈「もう、むりかとおもって、、、でも、今日、かえでに会えて本当に生きているんだって実感したの」
私は、那奈の体後ろから抱きしめた。ずっと、那奈が帰ってくるのを待っていた。アナタに会えて本当によかった。




