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12月28日 注文

 残り3日。私は、いつものように勉強をしていた。


 ー12月26日ー


 扉が開くと、あの日のような眩しい光が私の目に飛び込んでくるような感覚があった。那奈は、全体を見渡した。そして、私を見るとニッコリはみかんだ。しかし、それは束の間。すぐに、小野田の方に向かった。開口一番が小野田に向かって声をかけたことに納得がいかなかった。そこは、私でしょ?少しイラッとしてしまった。というより、小野田に嫉妬しているのかもしれない。

 二人が楽しそうにしているのを見つめるしかなかった。寺崎と林が那奈の座る位置を指示した。那奈は、世田の目の前。私の横に座ることになった。そして、藤岡からメニュー表が渡ったのだった。那奈は、いつもと違う感じがした。気のせいだろうか?どこかいつもよりテンションが低いように感じた。そんな低さを補うかのようにテレビの声が聞こえ始めた。ふりかえると、尚也がつけたみたいだ。

 コンコンコン。扉が叩く音がした。店員だ。烏龍茶を持った店員が入ってきた。ありがとうございます!寺崎や小野田は元気よくお礼を言い、那奈の飲み物や食べ物を注文しだした。


 那奈「ね?来たでしょ?」

 私 「遅すぎるでしょ」


 メニュー表を見ながら、私の方を向いた。


 那奈「そんなことないよー」

 私 「どう見ても遅刻してるじゃない」


 那奈は、あっけらかんとしてしていた。


 那奈「まぁ、30分くらいは許容範囲だよ」

 私 「来ないと思ったよ」


 私のことをどれくらい思ったのか。


 那奈「病院長引いたからね」

 私 「なんで?」

 那奈「前の人の診察が長かったからね」


 本当だろうか?


 私 「そうなの?」

 那奈「うん。病院ってよく遅くなるじゃない」

 私 「そうだね」


 たしかに、病院は思い通りの時間に診察されることは少ない。


 那奈「あっ、私ピザ食べたいな」

 私 「ピザ?」

 那奈「うん。美桜、ピザ食べたーい」


 遠くから、美桜が返事してくれた。


 私 「私は、グラタン食べたい」

 那奈「いいね、食べよ」

 

 美桜!グラタンも注文して。那奈の声が響き渡る中、尚也はテレビに野球中継を見ていた。試合は、8対2で讀売巨尋が勝利した。蜂谷隆が2本のホームランを放ったそうだ。蜂谷隆は、俺たちが住んでいる長野県の道和高校を卒業してプロ入りしている選手で、俺たちは一度は耳にしたことのある名前だった。

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