11月9日 登校
昨日は、不安で眠れなかった。今日、那奈が学校に来るかが気になって、、。高田の発言とは、裏腹に那奈は、来ていなかった。時刻は、12時30分を過ぎようとしていた。私は、いつものように、一人で母が作ってくれた弁当を食べていた。気になるのは、那奈だけではなく、新谷もいなかった。あれから、新谷にはまだ連絡をしておらず、那奈が登校するか待っていた。
すると、後ろの扉が開く音が聞こえた。後ろにいた、寺崎や林が騒いでいた。私もゆっくり振り返る。そこには、私がずっと待ちわびていた顔があった。そして、すぐさま私の方に近づいてくる。ダメだ、、、苦しい。いろんな感状が湧き上がってくる。自分が自分じゃなくなるようだった。私は、よくわからなくなり、机に俯いた。
"おはよう"。私が、机から伏せた顔を起こすとそこには、いつもの彼女がいた。目から、一滴の涙が滴り落ちる。
那奈「どうした?」
私 「どうしたじゃなぁい、、、」
上手く言葉が話せない。この日をどれだけ待ったことだろうか。彼女には、会うのは約6ヶ月ぶり。
那奈「ごめんね、フフ」
私 「うん」
那奈「今から、屋上行こうよ」
私 「わかった」
私たちは、教室から出て、階段を上がっていく。
私 「今まで、何してたの?」
那奈の顔を真っ直ぐ見た。
那奈「病院よ。検査長引いちゃってね、、、」
私 「そうなんだ」
やっぱり、私が思っていた通りだった。
那奈「でも、他の人から聞いてると思ったよ」
私 「他の人って?」
那奈「うーん。定本くんとか真波とか」
確かに、この二人から前情報はあった。
私 「二人は、知ってたの?」
那奈「知ってたっていうより、偶然知ったっていう感じかな」
私 「どういうこと?」
二人もたまたまなのかぁ。
那奈「定本くんも真波も、たまたま私がいる病院に来たの」
私 「うん」
那奈は、段々私より前の方を歩く。
那奈「二人が来たのはね、私の友人のお見舞いだったの」
私 「友人?」
那奈の腰の辺りを見ながら返事をした。屋上の扉を開けると冬寒い風が吹いていた。
那奈「たぶん、楓は知らないと思うんだけど、八代南中の子なの。私もたまたまその子と仲良くなってね」
私 「そうだったんだ」
私たちは、屋上においてあるベンチに座った。