表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/75

12月15日 嫌な予感

 放課後、私たちは掃除を終えて、机に座りながら話しこんでいた。


 那奈「明日、持ってきてよ」

 私 「那奈、雑だから嫌」


 私が、最近読んだ面白かった本の話をしていたら、それを持ってこいというのだ。


 那奈「なんで、そんなこと言うのよ」

 私 「じゃあ、明日取りに来て」

 那奈「楓の家、遠いし」


 そうだ。私たちの家は遠い。こう言えば、那奈は、諦めてくれるとわかっていた。


 私 「交渉決裂ね」

 那奈「なんでよー。明日、病院あるし」


 まだ、病院行ってるのか。大丈夫かな?


 私 「また、今度だね」

 那奈「えー。読みたかったなぁ」


 まだ、本のことを言っている。


 私 「最近、調子はどうなの?」

 那奈「まぁ、普通かな」


 意外と気にしていないように見せて、内心では気にしているのか?それとも、本当に気にしていないのか?私にはわからなかった。


 私 「普通って、どんな感じなの?」

 那奈「じゃあ、今度一緒に病院行く?」

 私 「行くわけないでしょ」


 なんで、病院に行くのよ。よくわからない。


 那奈「じゃあ、聞かないでよ」

 私 「なによ、それ。心配して聞いてるのに」

 那奈「秘密ってことよ」


 全く動じない那奈は、私にとって誇らしかった。


 私 「どういうこと?」

 那奈「知らない方がいいこともたくさんあるでしょ?」

 私 「それはあるけど」


 どんな時も自分を崩さずいれる強さ。天真爛漫で笑顔を絶やさない那奈は、やっぱり私の憧れの人だった。


 那奈「なんでもかんでも知らない方がいいよ」

 私 「そうかな?」


 疑問をぶつける。


 那奈「楓は深入りすることが多いからね」

 私 「えー、ダメかな?」


 まさか、そんなことを言われるとは思ってなかった。


 那奈「ダメダメ。なんでもかんでも知っちゃうとね。関係も崩れてしまうんだよ」


 そんなものなのかな?私には理解できなかった。


 私 「うーん、、、、、、」

 那奈「あっ、そうだ」


 何か思いついたみたいだ。


 私 「なに?」

 那奈「もし、よかったら明日連れて行ってあげよっか?」


 何か嫌な予感がする。でも、こういう時に那奈を止められたことが一度もない。恐る恐る那奈に聞いてみる。


 私 「どこに?」

 那奈「面白いところ」

 私 「どこ?」


 相変わらず、那奈は何を考えているかわからなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ