12月15日 嫌な予感
放課後、私たちは掃除を終えて、机に座りながら話しこんでいた。
那奈「明日、持ってきてよ」
私 「那奈、雑だから嫌」
私が、最近読んだ面白かった本の話をしていたら、それを持ってこいというのだ。
那奈「なんで、そんなこと言うのよ」
私 「じゃあ、明日取りに来て」
那奈「楓の家、遠いし」
そうだ。私たちの家は遠い。こう言えば、那奈は、諦めてくれるとわかっていた。
私 「交渉決裂ね」
那奈「なんでよー。明日、病院あるし」
まだ、病院行ってるのか。大丈夫かな?
私 「また、今度だね」
那奈「えー。読みたかったなぁ」
まだ、本のことを言っている。
私 「最近、調子はどうなの?」
那奈「まぁ、普通かな」
意外と気にしていないように見せて、内心では気にしているのか?それとも、本当に気にしていないのか?私にはわからなかった。
私 「普通って、どんな感じなの?」
那奈「じゃあ、今度一緒に病院行く?」
私 「行くわけないでしょ」
なんで、病院に行くのよ。よくわからない。
那奈「じゃあ、聞かないでよ」
私 「なによ、それ。心配して聞いてるのに」
那奈「秘密ってことよ」
全く動じない那奈は、私にとって誇らしかった。
私 「どういうこと?」
那奈「知らない方がいいこともたくさんあるでしょ?」
私 「それはあるけど」
どんな時も自分を崩さずいれる強さ。天真爛漫で笑顔を絶やさない那奈は、やっぱり私の憧れの人だった。
那奈「なんでもかんでも知らない方がいいよ」
私 「そうかな?」
疑問をぶつける。
那奈「楓は深入りすることが多いからね」
私 「えー、ダメかな?」
まさか、そんなことを言われるとは思ってなかった。
那奈「ダメダメ。なんでもかんでも知っちゃうとね。関係も崩れてしまうんだよ」
そんなものなのかな?私には理解できなかった。
私 「うーん、、、、、、」
那奈「あっ、そうだ」
何か思いついたみたいだ。
私 「なに?」
那奈「もし、よかったら明日連れて行ってあげよっか?」
何か嫌な予感がする。でも、こういう時に那奈を止められたことが一度もない。恐る恐る那奈に聞いてみる。
私 「どこに?」
那奈「面白いところ」
私 「どこ?」
相変わらず、那奈は何を考えているかわからなかった。




