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12月10日 学校鬼ごっこ10

 今日は、家で勉強することにした。図書館やカフェにも行こうと思ったが、あまり体調がよくなかった。


 ー12月1日ー


 私 「なんでいるの?」


 扉から入ってきたのは、まさかの那奈だった。なんで、那奈がいたのかはわからない。


 那奈「えー、それ言ったら面白くないじゃない」

 私 「そうかもしれないけどさ」


 それでも、那奈が来たことで一気に安堵した。


 那奈「実は、しかけがあったのよ」

 私 「しかけ?」

 那奈「うん。なんだかわかる?」

 私 「いや、全然わからない」


 私は、那奈の優しそうな目を見をていた。


 那奈「実は、鬼だと思っていた健太郎は、鬼じゃなかったの?」

 私 「えー、何それ」


 どうやら、那奈がいれば、私は、怖いもの知らずみたいだ。


 那奈「ホントだよね。たまたま入ってきたのが健太郎で他の人たちは違うところに探しに行ったからこうなってたのよ」


 想像していたのとは大きく異なっていた。


 私 「そんなゲーム、私たちはやらされてたの?」

 那奈「そうみたいね」

 私 「なんか、考えすぎて損したー」


 さっきまでの不安がどっと疲れに変わってしまった。


 那奈「でも、面白いからいいかな、私は」

 私 「私がここにいるってよくわかったね?」


 私が一番シンプルに感じた疑問だった。


 那奈「楓ってあんまり動かないかなと思ったから。5階に行けばチャンスあると思ってたの」

 私 「なるほどね」


 相変わらず、私のことをちゃんと理解している。


 那奈「まぁね。私、賢いから。テヘヘ」


 もうそろそろ終わらないのか。私は、そんな不安を胸にスマホを目にやった。スマホからの時刻は、もう3分を切っていた。


 私 「なんか、疲れちゃったよ」

 那奈「そう?私は、よかったよ。楓とこうして最後楽しい思い出できて」


 最後と言われるとなんだか切なくなる。


 私 「まだ、最後じゃないでしょ」

 那奈「そうだけど」


 この時、那奈が何を考えているか今の私たちではわからなかった。


 私 「これからの進路は決めたの?」

 那奈「ヒミツー」

 私 「何よそれ?」

 那奈「いろいろ迷ってるから」


 それはそうだ。もう高校3年の冬。どういう進路にせよ、早く決断をしなければならなかった。ちょうど、スマホのアラームが鳴り、鬼ごっこの終了の合図となった。

 

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