12月9日 学校鬼ごっこ9
私は、学校鬼ごっこで使用していた生徒会室に再び来ていたのだった。
ー12月1日ー
時刻を見ると、この鬼ごっこも残り15分となっていた。私は、もう少しすれば、教室を出ていこうと思っていた。たしかに、ここにいれば安泰かもしれない。でも、ここにいても楽しくない。それは、本音だった。でも、ここからどのように動いたらいいかがわからなかった。
当然、3階や4階には、巡回として鬼がいるに違いない。そんな中で外に行っても捕まる気しかしない。どうすれば捕まらず、下の階に降りることができるか?必死に考えるけど、いい案が浮かんでこない。
もし、あるとすれば、まだ捕まっていない仲間を見つけることだ。でも、ここからそんなことが起きるはずがない。まだ捕まっていない人が誰なのかということすら知らないのだから。
いろいろ考えたら、捕まることしかイメージできない。だから、私は、捕まっていない人とどこにいるのかということを考えることにした。ピロッ!スマホの通知だ。さっき返した新谷からだった。
"まだ、捕まってないのは、沢田、中沢、那奈だよ。たしか、さっき4人と言っていたから那奈が捕まったとすると残りは私を入れて3人。沢田や中沢はサッカー部コンビだから、私とは全くの別系統になる。だから、この二人を見つけるよりも一人でなんとかする方がいい気がした。
でも、さすがだなぁ。思わずサッカー部の2人に感心してしまっていた。沢田は、言わずもがなクラスの絶対的中心。女子がBIG3の高田で回っているのであれば、男子は間違いなく沢田だ。沢田は、サッカー部キャプテン、生徒会役員、成績優秀でスポーツ万能。おまえけに彼女もいるという優れたやつだ。
そんな沢田の右腕となっていたのが同じくサッカー部副キャプテンの中沢だ。中沢も沢田に劣らず成績優秀でスポーツも万能。沢田と違うところがあるとすれば性格だ。沢田は、冷静で落ち着いているのに対し、中沢は、いつもノリがよく、誰とでもハイテンションで話しているところだ。
コンコンコン!!!やば、誰か来た。慌てて、現実世界に戻らされた。どうする?どうしたらいい?今日、最大の緊張感が走った。私は、あまりの緊張ということもあり、全く動けない。まるで、足が縛られているような感覚だった。
ダンダンダン!!!そんな私とは対照的にノックの音はだんだん強くなってくる。そして、教室の扉は、少しずつ開いてくる。もうダメだ。私は、気を落としながら目線を上げた。えっ、、、、、。扉から入ってきたのは鬼ではなかった。驚きで言葉が出てこない。




