12月5日 学校鬼ごっこ5
学校鬼ごっこが終わってから、もう4日が経ったのか。まるで、昨日の出来事のように思い出してしまっていた。
ー12月1日ー
ちょうどみんなが出て行った後、私は、心を落ち着かせることができた。やっと終わった。心が張り裂けそうな感じがなくなっていた。横の那奈を見ると、どこか安心できる。これが、那奈のもっている力なのだろうか?
那奈と私は、ゆっくり立ち上がることにした。教壇の下に隠れること10分。長かった。
那奈「凄く緊張したね」
私 「バレると思ったよ」
足を伸ばしながら、那奈の方を見た。隠れている途中から、足が痛かった。
那奈「ホントだよ」
私 「あんなにビクビクしたの久しぶりだったな」
那奈は、時折、窓を見ながら、誰か来ないか確認をしていた。
那奈「でも、凄い楽しかったな」
私 「えっ、どこがよ」
那奈の意見に対して、疑問をもった。
那奈「なんか、騙せたの楽しいじゃん」
私 「そうかな?」
相変わらず、那奈は何を考えているかがわからなかった。
那奈「そうだよ。こんなことしないと、こんな経験できないからね」
私 「それは、そうだけど」
たしかに、那奈の言うことは一理ある。でも、全部がそうとは思わない。
那奈「楽しくなかったの?」
私 「楽しめるほど、余裕なかったよ」
驚きの顔をしながら、私を向いていた。
那奈「えー。もっと楽しまないと」
私 「那奈は、もっとビビらないと」
那奈の笑顔を見ていると、こっちが癒される。でも、誰でもいいわけじゃない。那奈だから、許されるのだろう。
那奈「人生楽しんだもの勝ちだよ」
私 「そうかな?」
学校鬼ごっこが開始して25分が経過しようとしていた。残り、25分。
那奈「そうだよ。そんな感じでいると、いつの間にか楽しめなくなるよ」
私 「何よ、それ」
25分逃げ切れば、私たちの勝ち。
那奈「私みたいに病気なってからだと、取り返しがつかなくなるよ」
私 「そうだけど」
那奈に病気の話を出されるのはキツイ。けど、死んだらもとこもないというのは事実だ。私たちは、完全にさっきまでの緊張感がなくなってしまっている。今、誰かが来たら、確実に捕まるだろう。
那奈「まぁ、楽しもうよ。みんなで」
私 「そうだね。残りの高校生活も少ないしね」
那奈「それがいいよ。毎日楽しんでたら、あっという間だよ」
私 「うん」
私たちは、いつの間にか笑顔になっていた。




