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12月1日 学校鬼ごっこ

 窓から見える景色は、普段見ていた景色とは異なっていた。普段、こんな高いところから、グラウンドを見たことはない。


 那奈「楓、こっち来て」


 私は、那奈の呼ばれているところまで歩いて行く。那奈は、いつものように笑顔で声を出している。そして、那奈を囲うように、周りにもたくさんの人たちがいた。

 12月に入り、周りのみんなも本気度が上がってきた。BIG3の高田は、受験勉強に集中しているのか、時々学校にすら来なくなっていた。クラスの委員長、寺崎は、朝一番早く来て、一番遅く帰るという生活。男子の沢田は、一日12時間という超ハードスケジュールをこなしながら、サッカーの練習にも顔を出していたのだ。

 私からしたら、彼らたちは、異次元すぎて参考にならない。自分のペースで今日も生きることを考えていた。それにしても、今日も那奈の元気な姿が見れて嬉しい。ただ、那奈が元気になればなるほど、みんなが彼女のところにやってくる。そうすると、どんどん私の那奈がとられていく気がして、虚しくなっていく自分がいた。復帰してきた那奈をできるだけ、サポートしていたつもりだった。私のおかげだけでないけど、今では、完全に復帰前と同じ状態だった。

 今日は、総合の時間にみんなで「学校鬼ごっこ」ということをしていた。この遊びは、なんとも不可解だった。こんなの学校でしていいのか?と思うくらいだった。この遊びは、サッカー部の沢田が考案したもので、勉強の切り替えにと先生に申し出たみたいだった。ルールは、5人の鬼から40分間逃げ切るというものだ。寺崎、林、西野、定本、辰巳が鬼で、残りの生徒はみんな逃げていた。

私は、誰か来ないか後ろを見ながら走っていた。この学校には、3年間いるけど、こんなところあったかな?よくわからずに困惑していた。私たちが来ていたのは、家庭科室2というところだった。2ということは、1もあるのか?そんなにいらないだろう。余計なツッコミが脳内を駆け巡る。すると、前方から大きな声が聞こえてきた。鬼がいたのだろうか?一番先頭を走っていた高田は、二手に分かれるように指示を出した。私は、近くにいた那奈と一緒に左方向に。一方、先頭を走っていた高田、藤岡、佐々木たちは右方向へと曲がっていた。さすがに、私の息も上がってた。部活をしていなかった私にとって、これだけ走らされるのはキツい。前をいく、那奈の背中が少しずつ遠くなっていくのだった。

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