11月28日 定本健太郎
私は、数学の問題を無心に解き進めていた。でも、この4番の問題は、難しすぎる。筆箱から、消しゴムを出して、プリントに書いた文字を消し始めた。
ー11月27日ー
那奈「うわー、美味しそう」
店員が持ってきたのはアツアツのオムライスだった。
私 「ホントだね」
那奈「他にも聞きたいことあるの?」
私 「うん」
那奈「なに?」
私 「なんで、高田は、那奈が病気だったの知ってたの?」
これは、私が聞きたい一つ目の質問だった。私は、那奈にスプーンをわたした。
那奈「あっ、真波知ってたんだ」
私 「那奈は、言ってないの?」
私は、目の前のオムライスと睨めっこしながら、那奈の話を聞いた。
那奈「楓に言ってないのに、真波にいうわけないじゃない」
私 「そっかぁ」
那奈のこの言葉を聞いて、どこか安心した自分がいた。
私 「じゃあ、なんで知ってたの?」
那奈「うーん。あっ、、、、」
那奈は、何か思い出した様子だった。そして、話出さずにオムライスを頬張った。温かいオムライスから湯けむりがたっていた。
私 「どうしたの?」
那奈「もしかしたらだけど、定本くんから聞いたのかも」
定本健太郎。同じ、4組の生徒。彼とは、5月に深く話した。ちょっと変わっているが、誰からも人気で、クラスの人からも愛されていた。男性版の那奈みたいな子だった。
私 「定本?」
那奈「うん。定本くんは、私の病気のことを知っているの」
私 「えっ、何で知ってるの?」
再び、嫉妬に変わる。やっぱり、自分より那奈のことを知っている人がいるのは嫌だ。
那奈「たまたまね。定本くんに出会ったの、病院で」
私 「へぇー。そうなんだ。いつごろ?」
那奈「えーっとね。4月の終わりかな、、、。たしか」
そんなことが4月末にあったんだ。全然知らなかった。
私 「私も知りたかったなー」
那奈「そう、言わないでよー。たまたま会ったんだけど、定本くんあんまり話さなかったんだ」
定本くんが話さなかったのは、那奈が可哀想だからとか頼まれたからとかではない気がする。彼自信が、那奈がどう思うかとか感じたからだったんじゃないかな、、、。
私 「話すと思ってたの?」
那奈「うん。だって、真波や美桜から毎日のように連絡きてたから」
那奈のオムライスは、もう半分ほどなくなっていた。




