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11月24日 余韻

 昨日の文化祭は、17時まであったが、今日も学校。受験生の私たちにとってはややしんどいものがあった。それでも、なんとか切り替えて、みんな学校に来ていた。

 昨日の合唱コンクールでは、やっぱり3年3組がそのまま優勝を決めた。私たちの出番は、14番目と遅かったが、3組の強さを見せつけられると、どこかビビっていたように感じた。私たちも、一生懸命練習したが、優勝という目標は叶わなかった。3組が強かったというのもあるだろうけど、練習量の差もあるだろう。

 新谷と寺崎がモメてしまったことにより、他のクラスより練習を始めるのが遅かったというのは紛れもない事実だった。優勝した3組は、11月頃には、すでに練習準備をすすめていたのだった。

 私は、さほど優勝への思いもなかったし、悔しいという気持ちもなかった。だから、なんとも思っていないというのも事実だった。私がクラスに入ると、やっぱりどこか重たい雰囲気を感じた。指揮者の高田、伴奏の西野もどこかガッカリしていたようだった。それでも、那奈はいつもの明るさのままだった。クラスに入るなり、大きな声で笑っていた。

 いつものように、高田や寺崎、林や藤岡たちが前の方で話をしていた。私は、右端の自分の席に向かっていた。


 那奈「楓!!」

 私 「おはよう」


 ダッシュして、私の近くまでやってきた。持っていたカバンを机に置き、那奈の方を向いた。


 那奈「おはようー」

 私 「相変わらず、元気だね」


 カバンの中から、教科書を取り出した。


 那奈「当たり前じゃない。楓、全然元気ないよ?」

 私 「朝は、テンション低いよ。いつも」


 朝から、那奈の高いテンションについていけなかった。


 那奈「そう?」

 私 「そうだよ。那奈が気づいていないだけだよ」


 気づいてないのは、どっちだよ。自分の中で悶々としていた。


 那奈「そりゃあ、昨日優勝できなかったんだし、余計テンション上げないと」


 髪を触りながら、那奈は答えた。


 私 「みんなテンション低いし、無理に上げる必要ないんじゃない?」


 私も那奈につられるように、髪を触っていた。


 那奈「みんな低いからこそ上げるんだよ?」


 たまに、深いことを言ってしまう那奈は、よくわからない。


 私 「えっ?」


 椅子をひいて、私の前の席に座った。


 那奈「みんながテンション低かったらずっとそのままでしょ?誰かが、変えてあげないと」


 那奈の言葉は、妙に説得感があった。

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