表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/75

11月21日 廊下

 文化祭まで、後2日となった。


 私 「昨日、大丈夫だった?」

 那奈「全然、平気だよ」


 昨日は、私たちが保健室に行く前に自力で戻ってきた。しかし、カバンだけすぐ取って病院に向かった。


 私 「ホントかよ」

 那奈「ホントだよ。信じなさい」


 いつもの那奈の眼だ。


 私 「急にいなくなるから信じれないよ」

 那奈「もう、ホントに私が好きなんだから」


 照れくさそうに、私の方を向いた。


 私 「うるさい!」

 那奈「つらくなったら、ちゃんと言うからね」


 今の那奈を見ていると、前と同じことにはならないように感じた。


 私 「うん」


 私のテンションも上がった。


 那奈「それより、ホナどんな感じ?」

 私 「普通に合唱練習してるんじゃない?」


 那奈は、新谷のことが気になっているみたいだった。


 那奈「そっかぁ」

 私 「心配してるの?」

 那奈「もちろんだよ。この前みたいに勝手にいなくなった困るからね」

 私 「たしかに」


 返事とは裏腹に、新谷がどうなるかなんて興味がなかった。私には、那奈がいればそれでよかった。


 那奈「真紀は?」

 私 「うーん。どこだろ?」


 あたりを見渡すが、彼女らしき人物はいなかった、


 那奈「見てないの?」

 私 「いや、さっきまで見てたよ」


 教室の窓から、廊下を見たが全く見えない。


 那奈「そうなんだ。どこ行ったんだろ?」

 私 「私、見てくるよ」


 私は、教室を飛び出して、廊下に出てきた。昼休みということもあり、他の生徒もたくさん廊下で話をしている生徒がいた。しかし、二人の姿は見当たらない。どこにいるんだろ?


 高田「どうしたの?」


 後ろから声をかけてきたのは、高田だった。少し動揺したがひるまず話した。


 私 「山川と蒼井見なかった?」

 高田「ああ。トイレにはいなかったよ」


 トイレにいないとなると、グランド側ではなく、非常階段の方か?


 私 「あっ、そう。ありがとう」

 高田「うん。それより、那奈は大丈夫そうなの?」

 私 「まぁ、なんとかね」

 高田「もっと、ちゃんと声かけなよ」  


 高田の目は真剣そのものだった。


 私 「‥‥‥」


 もしかしたら、高田も彼女がいなくなったことが悲しかったのかもしれないな。


 高田「近くで見てないと、またいなくなっちゃうよ」

 私 「わかったよ」


 首を縦に振り、私は歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ