11月21日 廊下
文化祭まで、後2日となった。
私 「昨日、大丈夫だった?」
那奈「全然、平気だよ」
昨日は、私たちが保健室に行く前に自力で戻ってきた。しかし、カバンだけすぐ取って病院に向かった。
私 「ホントかよ」
那奈「ホントだよ。信じなさい」
いつもの那奈の眼だ。
私 「急にいなくなるから信じれないよ」
那奈「もう、ホントに私が好きなんだから」
照れくさそうに、私の方を向いた。
私 「うるさい!」
那奈「つらくなったら、ちゃんと言うからね」
今の那奈を見ていると、前と同じことにはならないように感じた。
私 「うん」
私のテンションも上がった。
那奈「それより、ホナどんな感じ?」
私 「普通に合唱練習してるんじゃない?」
那奈は、新谷のことが気になっているみたいだった。
那奈「そっかぁ」
私 「心配してるの?」
那奈「もちろんだよ。この前みたいに勝手にいなくなった困るからね」
私 「たしかに」
返事とは裏腹に、新谷がどうなるかなんて興味がなかった。私には、那奈がいればそれでよかった。
那奈「真紀は?」
私 「うーん。どこだろ?」
あたりを見渡すが、彼女らしき人物はいなかった、
那奈「見てないの?」
私 「いや、さっきまで見てたよ」
教室の窓から、廊下を見たが全く見えない。
那奈「そうなんだ。どこ行ったんだろ?」
私 「私、見てくるよ」
私は、教室を飛び出して、廊下に出てきた。昼休みということもあり、他の生徒もたくさん廊下で話をしている生徒がいた。しかし、二人の姿は見当たらない。どこにいるんだろ?
高田「どうしたの?」
後ろから声をかけてきたのは、高田だった。少し動揺したがひるまず話した。
私 「山川と蒼井見なかった?」
高田「ああ。トイレにはいなかったよ」
トイレにいないとなると、グランド側ではなく、非常階段の方か?
私 「あっ、そう。ありがとう」
高田「うん。それより、那奈は大丈夫そうなの?」
私 「まぁ、なんとかね」
高田「もっと、ちゃんと声かけなよ」
高田の目は真剣そのものだった。
私 「‥‥‥」
もしかしたら、高田も彼女がいなくなったことが悲しかったのかもしれないな。
高田「近くで見てないと、またいなくなっちゃうよ」
私 「わかったよ」
首を縦に振り、私は歩き出した。




