11月20日 保健室
今日も文化祭の練習は続いていた。
私 「新谷、那奈は?」
新谷「あっ、なんかさっき保健室行ったよ」
那奈が保健室に行ったことを知らなかった。
私 「えっ?」
どういうことだろ?
新谷「そんな心配しなくても大丈夫だよ」
私 「う、うん」
私が動揺してるのが周りに伝わったみたいだ。私は、教室の扉の方へ歩き出そうとした。
新谷「何するの?」
彼女の一言で冷静になった。
私 「何って言われてもな」
私は、髪の毛を触りながら、返事をした。
新谷「大丈夫だって」
私 「ホント?」
新谷の言うことが信じられない。
新谷「真紀!」
蒼井「ん?」
話を聞いていた蒼井が近くへとやってきた。
新谷「那奈、そんな体調悪くなさそうだったよね?」
どうやら、那奈がいなくなった時、蒼井も見ていたみたいだ。
蒼井「うん。ちょっと頭が痛いってくらいじゃない」
新谷「わかったでしょ?」
新谷は、私を説得しようと必死だった。急にいなくなった那奈を見ているせいか、なかなか新谷の話に耳を傾けることができなかった。
私 「うん」
新谷「気になる気持ちはわかるけど」
私 「戻ってきそうなの?」
今日は、合唱練習の各パートを初めて合わせるということもあり、アルトパートの女子生徒たちが続々クラスの中へと人が入ってきた。
新谷「いや、無理じゃないの?」
私 「そっかぁ」
そうだよな。そんな簡単には無理だよな。
新谷「うん。練習終わったら、カバン持っていってあげに行こうよ」
保健室。そんなに遠くない。自分に言い聞かせて、気分を上げた。
私 「そうね」
新谷「大丈夫だって。何もないって」
私 「ホント?」
新谷の言う通り。でも信じられない。それだけ、那奈がいなくなったことは、私に大きかったということか。
新谷「ホントって言ってるじゃない?」
私 「だって、新谷あてにならないもの」
新谷「えっ、ヒドっ」
さらに、男子生徒たちもクラスへと入ってきた。
蒼井「ヒドイのはホントだよ」
新谷「いやいや、おかしいでしょ」
蒼井「ハハハハ」
私たちは、顔を見合わせた。
私 「わかった。じゃあ、那奈を心配しないようにする」
新谷「それでいいよ」
私 「わかった」
高田が、合唱の練習を示唆した。




