11月19日 煽り
昨日に続き、合唱練習は続いていた。
高田「那奈、最近どう?」
那奈「うん。大丈夫だよ」
休憩中に、指揮者の高田はソプラノパートの私たちのところにやってきた。相変わらず、今日も高田の髪はツヤツヤしていた。私の髪とは大きな違いだ。
高田「そっかぁ。安心だよ」
那奈「ありがとうね」
那奈は、とても穏やかな目をしていた。
高田「いえいえ。那奈が来るまで大変だったんだから」
那奈「えっ、どういうこと?」
ドキッとさせられた。あの日のことを高田から晴れてくるとはな。
高田「ねぇ、山川さん?」
私 「う、、、うん」
上手く言葉にできない。
高田「いろいろあったのよ那奈」
那奈「そんなの言われると気になるじゃない?」
たしかに、あの日のことはあまり言えない。
高田「ダメダメ、ひみつ」
那奈「えー」
"那奈"。向こうから、寺崎や林たちが呼んでいた。那奈は、文句を言いながら、前に向かった。机の椅子に座りながら那奈の姿を見ていると、高田が話しかけてきた。
高田「まだ、言ってなかったの?」
私 「何が?」
那奈は、いなくなったが、変わらず私に話しかけてきた。
高田「あの日のこと」
私 「なんで言わなきゃいけないのよ」
相変わらず、私を煽ってくる話し方は、あの日のままだった。昔から、こんな感じだったのかな?
高田「あっ、、そう」
どこか寂しそうにしていた。
私 「なに?」
弱みを出さないように強めに言い返した。
高田「いや、意外とおとなしいんだね」
私 「どういうことよ?」
高田「那奈がいなかったら、あんなに怖かったのに」
どうやら、那奈がいる時といない時で、私の態度が違うといいたいのだろうか?
私 「それ、どう言うこと?言いようによったら、ケンカ売ってることになるけど?」
机の角を持ちながら、高田を見つめた。
高田「そんなこと言ってないよ、怒んないでよ」
何を言っていいかわからない。
私 「‥‥‥‥」
私は、話せなかった。
高田「別に、山川さんに恨みがあるわけじゃないし」
私 「じゃあ、なんで突っかかってくるのよ?」
高田「突っかかってきてないよ。暇なのよ」
私 「は?」
話が噛み合わない。
高田「山川さんみたいに、あんま関わっていない人と関わりたいのよ」
高田が何を言いたいのか全く理解できなかった。




