11月18日 即レス
那奈「楓、こっち手伝ってよ」
私 「うん」
ちりとりを持っていた私は、那奈の方に向かった。
那奈「楓って、深雪から連絡きた?」
私 「あっ、来たよ」
先日、私のところに深雪から連絡が来ていた。
那奈「行くよね?」
私 「うん。今のところ、そう考えてる」
普段、話すことはないけど彼女は嫌いではなかった。
那奈「あと、誰が来るのかな?」
私 「なんか、宝来と世田を誘ってるんでしょ?」
那奈「そうらしいね」
どちらも、那奈は仲がよかった。
私 「絶対、来ないと思うけどね」
那奈「そうかな?」
私 「だって、宝来なんて学校すら来ないんだから」
宝来海斗。元サッカー部に関わらず、学校に来たがらない。それでも、サッカーも勉強も人並みにできた。
那奈「まぁね。でも、ちゃんと伝えたら来ると思うんだけどな」
那奈は、自信がある様子だった。
私 「那奈が伝えたら来るかもね」
那奈「ホント?」
自信を確信に変える様に聞き返した。
私 「うん。来そう」
那奈「えぇ、やってみようかな」
集めたゴミを私のちりとりに入れようとした。
私 「深雪とは、連絡取り合ってるの?」
那奈「時間がある時はね」
私 「私、全然連絡とれてないんだよね」
那奈「なんで?」
全然、やりとりが続かないからだ。
私 「私、あんまりスマホ触らなくてさ。使ってもさ目が痛くなるから即レスしないんだよ」
自分で言うのもあれだが、ほとんど即レスをすることはなかった。
那奈「ああ。たしかに。だから、返してくるの遅いんだ」
私 「そうよ」
那奈「知らなかったな」
最近、さらに目の疲れがひどかった。
私 「でも、世田だったら来てくれそうだけどね」
那奈「なんで?」
ほうきを持ちながら、話した。
私 「だって、暇そうじゃない?」
那奈「そんなことないよ」
私 「そうかな?暇でしょ。何もしてないし」
世田は、暇だろう。
那奈「もう、楓は何もわかってないんだから」
私 「えっ?」
那奈「優斗は、何もしてないんじゃないよ。迷ってるんだよ」
私は、ゴミが入ったちりとりを、ゴミ箱へと入れる。ゴミは、きれいに吸い込まれていく。
私 「そうなの?」
世田を語る那奈は、我が子を語る様なお母さんだった。




