11月15日 ソプラノ
私たちのパートは、一足先に終わった。同じパートにいた林や藤岡たちと談笑していた。那奈は、二人から離れ、私の方へとやってきた。笑顔を見せながら、ソプラノの練習をふりかえっていた。鼻歌を口ずさんでは外を見ていた。彼女が笑っているのを見て、ホントに戻ってきたんだと私もとても嬉しくなった。
私 「那奈、終わったらどうする?」
那奈「うーん。とりあえず、カフェいこ」
文化祭のパート練習を終えた私たちは、他のパートが終わるのを待っていた。
私 「いいよ。なんかするの?」
那奈「ううん。話すだけだよ」
私 「なんだよ、それ」
私たちは、笑いあった。
那奈「ハハハ」
那奈は、歌詞の紙をポケットに入れた。
私 「新谷、ちゃんと練習やってるね」
那奈「そうーだね。なんだかんだ言っても真面目だからね」
昨日は、来たなかったが、今日はちゃんと朝から来ていた。
私 「新谷と寺崎ってやっぱり仲悪いの?」
那奈「さぁ、どうかな」
二人の関係性は、よくわからないでいた。
私 「那奈は、どう思うの?」
那奈「私は、合わないとは思うかな。ハハハ」
新谷は、陰キャラか陽キャラのどちからと言えば、陰キャ。でも、高田や寺崎と対等に渡り合える陰キャなんてこの学校では彼女くらいだろう。
私 「まぁ、そうだよね」
那奈「なんだろな?なんかね。合わないんだろう」
那奈は、考えながらカバンを片づけていた。
私 「でもさ、新谷って明るいから、寺崎と相性は悪くないはずなんだけどな」
那奈「それは私も思うな。栞とか結菜だったらわかるんだけどなー」
すると、アルトの練習が終わり、指揮者の高田から解散が告げられた。
私 「でも、このクラスって高田中心に回ってるのに、寺崎にアタるのってなんか違うとも思うんだけどな」
那奈「言い合いになったからじゃないの?」
私たちも帰る準備をして、それぞれカバンを背負った。
私 「うーん。でも、もともとあんま好きじゃなかったんじゃないかな?」
那奈「それもあるのかな」
那奈は、前の方にいた高田、寺崎、林、藤岡たちに挨拶をして、戻ってきた。
私 「でも、新谷は、他の人もそんな好きじゃなかったけな、、、」
那奈「たしかに。ハハハ」
クラスのみんなに那奈が手を振る姿勢を見ながら、私たちはクラスを出て行った。




