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#71 お客様じゃないからいいのよ…(怒)

なんとか復活しました。

遅くてすいません。


食事を終えて僕達は皆と別れ、リムジンに

乗り込み浅草に戻ってきてる。


僕達は国際通り沿いの浅草国際劇場跡に

建てられたHOTELスカイビュー玄関口で

一人の女性と対峙する。

スーツ姿の銀縁眼鏡女性はペコリと

お辞儀をして、母さん父さんに捏造動画

関係者の様子を報告。

そして坂巻夫妻と僕達にはじめましてと

挨拶。


「こんにちわ。ラビット社の顧問弁護士の

 八坂深雪です。

 今後とも宜しくお願いします。」 


八坂さんは挨拶が終わると、私達に

参りましょうと声をかけ、銀縁眼鏡を

クイッと人差し指で軽く押し上げ歩き出す。


捏造動画関係者をラビット社に招いて

話し合いかと思ったら、浅草で1番大きい

HOTELスカイビューの28階、水仙の間を

借りて話し合うそうだ。


悪意を持つ者をラビット社に入館させるの

は気分が悪い、そこでスカイビューが

選ばれたのよと茉莉花さんが教えてくれた。


「悪い事してこんなトコに呼び出され

 たら…ふふふっ…。」

 

悪そうな微笑みを浮かべる茉莉花さんに

ちょっと引く私達だった。



僕達は水仙の間に併設されている小部屋…

と言っても20畳程あるから広い。


空調も程よく効いていて、心地良い環境だ。

そして設置されている100インチの

4Kモニター三つに、水仙の間の前面からと

左右からの映像が映し出されている。


体育館並の広さの水仙の間に

用意された椅子に座る輩は全員が

項垂れ、意気消沈の状態だ。


俺とミリアは正面から映すモニターをジッと

見つめる。


最前列パイプ椅子に少年少女達がズラリと

並び座り、彼等を監視するかのように

黒スーツの大柄な厳つい男性が立っている。


「六人を除いて、皆知ってる…。」


ポツリとつぶやくミリア。


五人は俺がウソ告を阻止した奴ら…

勇気一派だ。

俺は、知らない男子二人と女子一人。

そしてモニターの中に映る一人の女子を

確認して指さす。


【三人知らないけど、園田先輩がいる…。】


低音ハスキーボイスにチェンジした和真の

一言に怒りと呆れが滲み出る。

卒業した園芸部の先輩女子。

部活動に参加せず、チマチマと嫌がらせを

してきた人だ。



「ウソ…。」


姉ちゃんが呟いて、雷兎さんに前面撮影の

モニターを見てと指さす。


「単なる同姓かと思ってたけど…ウソだろ?」


僕は理恵さんと視線を交わし、和真君と

ミリア、父さん母さん達に思っている事を

伝えた。




「この子達はなんて言い訳をするのかしら   ね?」


ジッとモニターをみながら眉間にシワを

寄せる茉莉花さん。


「何を言っても事実は変えられん!」


アヤツラのやった事は、未成年だろうと

犯罪だからなと言い捨てるヴァンさん。


「で、和真はどうしたい!?」


ヴァンさんの一言に全員の視線が俺に

向けられる。


「俺が決めてもいいんですか?」


「それだけの事をしているじゃないの。」


と微笑む茉莉花さん、そしてヴァンさんが、


「ありがとう。娘を、ミリアを救って

 くれて。」


ペコっと頭を下げ、ふいっと顔を上げて

ジッと俺を見てもう一度聞いてくる。


「で、どうしたい?」


「俺自身の為にアイツラをどうこうしたい

 って考えはありません。ミリアに対して、

 やった事の落とし前はつけさせたいです。

 ただ、できれば…」


俺は思っている事を告げる。

すると茉莉花さんと母さんは嬉しそうに

微笑み、父さんとヴァンさんは苦笑い。

姉ちゃんと雷兎さんもニコッと微笑む。


「もう、もう、もうっ!」


隣に座るミリアは、ボィンボィンと右肩の 

肩メロンにオデコをぶつける。



 「この件、ボスは坂巻和真様で

  良いですか。」


同席していたラビット社の顧問弁護士の

八坂深雪(やさかみゆき)の問いに皆が頷く。


「先程、お聞かせいただいたお気持ちを元に

 作戦を練りましょう。」


銀縁眼鏡を人差し指でクイッと押し上げて

言い放つ八坂深雪弁護士だった。


午後3時34分



午後2時30分


そろそろ由香里が来る頃だ。

コメントのチェックを中断して

私はバスの入り口に立ち、由香里を待つ。

小走りで、こちらに向かって来る由香里。


「お父さん、いったいどうしたの?

えっ、お母さんにお兄ちゃん達に奏さん?」


バスの窓から見える家族に英雄の彼女。

何がおきてるのか知らない由香里は私を

見る。


「詳しい事はバスの中で話す…乗って…」


私の表情にビックリした由香里は素直に

バスに乗り込んだ。


先ほどまで私が妻と座っていた席の前が

空いているので、ソコに由香里と座る。


私達が席に座ると厳つい男は運転手に

出発と告げ、バスが動きだした。

私は何があったのかを由香里に伝えた。

由香里は勢い良く席を立ち、2つ後ろの

席に向う。

英雄と勇気が座る席だ。


「お兄ちゃん達…なんでそんな事したの…

 ウソだよね…」


掴みかからんばかりの由香里だが

厳つい男から声がかかる。


「走行中、危ないから席に座ってくれ

 嬢ちゃん。」


厳つい男の声に妻が由香里を抱きしめ

隣に座らせた。


「佐々本さんはコメント全部見たのかい?

 まだなら、見といたほうがいいぞ。」


厳つい男はそう言うと前を向いてしまった。

私は急いでコメントのチェックを再開した。



だだっ広い会場で、誰ひとり喋る事無く

パイプ椅子に座っている。

バスの中でさえ、子供のやった事なのに

大袈裟にし過ぎだとブツブツ言っていた

鮫島父も蒼い顔して一言も喋らない。


皆、ビビりまくっている

呼び出された場所がHOTELスカイビュー。

浅草で1番有名で大きなHOTELなのだから。


「そろそろ待たされて一時間だが…。」


私の後ろに座る鮫島父がポツリとゴチる。


「2時に迎えると言われただけだ。

 待たされる時間が長い程、西恩寺さんの

 怒りが大きいと理解しろ。」


私の発言に鮫島父は口を閉じてうつむく。

こいつが話し合いの最中に1番失言を

しそうだ。


私は段々と痛む胃を擦りながらコメントの

チェックを続ける。


全て読み終える頃には4時を過ぎていた。

ガチャリと音がして、前面左端のドアから

若い男女が入って来る。

若い女は、


「兄さん、交代しに来たよ。」


「おうっ、ちょっと軽く食べてくる。」


「マジで軽くにしといて下さい、夜は

 身内での親睦会やるので!」


おうっと返事を返して厳つい大柄な男は

若い男女に軽く手を振るとドアから

出ていった。




作戦会議も終わり、八坂さんから1つだけ

気をつける点を教えてもらった。


「話し合いは録画するので暴言を吐いたり

 荒々しい行動はしない様にお願いします。」


そう言って銀縁眼鏡を人差し指でクイッと

押し上げる八坂さん。


壁掛け時計を見ると4時を過ぎていた。


「ずいぶん待たしましたね…。」


俺がそう言うと、


「気にする必要は無いわ。

 お客様じゃないからいいのよ…(怒)」


っと茉莉花さんが言う。


確かにそうだ




宜しくお願いします。

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