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68/72

#68 もう一人いますよね…呼んで下さい!


 よろしくお願いいたします。


プルル、プルルとなるスマホの着信音。

知らない番号だが、鴨志田社長が

言ってたラビット社からの連絡だろう。


「今から江戸通りの…はい、分かりました。」


 思わずコレが夢で、今この瞬間に目が

 覚めてくれたらと願う。 

 残念ながら今現在…目が覚めている状態だ。

 悪夢でも何でも無いリアルな現実。

 

 「ラビット社からだ…江戸通りに迎えの

  バスを寄越したから乗れだそうだ…」


 嫌だ、行きたくないと泣き叫ぶ英雄の

 彼女奏と、項垂れたままゴメンなさいと

 呟き続ける朽木に放心状態で無言の鮫島。

 俺達は無理やり突き合わされたんだと

 言い続ける勇気の友達。


 「兄貴のせいだ!」


全部兄貴のせいだと言い始める勇気を

睨み返して、フザケンナお前も乗り気だっ

たクセにと言い返す英雄。 


私は怒声を上げて言い下した。


「お前たち全員が()()()()()事だ!」


口々に勝手な事を口走っていた子供等は

ビクッとして無言になる。

 

 「なすり付けなんて意味が無いぞ!」


私は親たちに行きますよと声をかけて

英雄と勇気を連れて行く。


「絶対に言い訳をするな!」


お前たちのやった事は言い訳できるもんじゃ

ないんだ。

子供たち全員にもう一度、念を押して家を

出る。


今戸神社側の我が家から江戸通りまで

徒歩3分、強烈な日差しの中を黙々と歩む。


元々、日中は人通りがほぼない場所を

ゾロゾロと歩く。


江戸通りにでると観光バスサイズの

大型バスが止まっており、黒のスーツ姿の

厳つい大柄な男性が立っていた。

右耳に何か付けている…通信装置か?


「佐々本家御一行その他で宜しいでしょうか?」


男性は名のりもせずに私達を一瞥すると


「奏さんは貴方ですか?」


突然の質問に嫌な予感しかしない。


「うちの娘が何か?」


顔面蒼白で返事をする園田夫妻。


厳つい顔が眉間にシワを寄せて腕を組み、

フーっと息を吐くと全員集めろと通達した

筈ですが、そう言って睨んできた。


「全員集めましたが?」


「もう一人いますよね…呼んで下さい!」


何を言っているのかワケが分からない?


「その子を奏さんと呼んでいる娘が

 いますよね、呼んで下さい!」


園田奏を指差し私を見る厳つい大柄な男。

まさか、まさか…私はバッと振り返り

英雄と勇気を見て、


「由香里も関係しているのか?」


「「由香里は関係ない!」」


声を揃えて言う英雄と勇気。


「貴方がたは捏造動画の確認をして

 いないのですか?」


呆れた顔の男は捏造動画のコメント欄を 

確認しろと言ってきた。


動画は確認はしたのだが見落としが

あったのか?

動画の再生回数は二ヶ月で756…784。  

嘘だろ? 

増えているぞ?

動画内容しか気にしていなかった。

コメント欄の数300超え?!

見ているうちにコメント数もドンドン増えて

いく。


「とりあえずバスに乗って下さい、炎天下の

 中で確認するもんじゃないですから。」


男に即されてバスに乗るとクーラが効いて

いて涼しい、後部座席に二人の男性が

座っている。


1人は白ジャージー姿の30代半ばの男性…

顔が強張っている?

もう一人はシックなスーツを着た恰幅の良い

初老男性だ、コチラをジッと見ている。


親たちと子供達からアッと声が上がる。

妻が富士中学の山中校長だと教えてくれた。


「こんにちは。富士中学の校長の山中です。」


愛想のない厳しい顔で挨拶をする山中校長。

コチラも挨拶を返すがニコリともしない。


「学校でネット関係に関して、やっては

 イケナイコトを指導していますが…」


今回の事は自己責任ですと言われた。 


「学校の指導がと言われる方もおられると

 思いますが、善悪は親が教える事です。」


そう言って山中校長はフゥーと深い溜め息を

つくと後部座席に座り、目を閉じた。


山中校長の言った通りだからコチラとしても

何も言えない。



「あっ、ハイわかりました伝えます。」


突然、喋りだした厳つい男は私に捏造動画を

非公開設定にしろと言ってきた。

右耳に付けている物で指示を受信している。

私達とのやり取りの会話も筒抜けなのか?


「捏造動画をアップしたスマホで

 公開、非公開の設定ができる急げ!」


厳つい男から指示される。

アップしたのは勇気のスマホ。


「勇気、動画を非公開設定にしなさい!」


勇気が慌て設定操作している間にも、動画

再生回数とコメント数が増えていく。


「急げ急げ、勇気急げ!」


非公開設定が終わる頃には再生回数1238

コメント数が527まで増えていた。


「ドンドン増えて怖いからコメント受付も

 停止にした…」


半泣きの勇気がスマホを差し出してくる。


「ごめんなさい…。」


「……。」


私は無言でスマホを受け取りコメント欄を

確認しようとしたが、厳つい男から

ストップがかかる?


「先に由香里って娘を呼んで下さい。

 コチラも暇じゃないので!」


少し、イラダチ感を滲ませた声で

険しい顔の厳つい男。


英雄と勇気は、本当に由香里は関係ない

無関係だと言ってくる。

だが呼ぶしかなさそうだ。


私は英雄と勇気を睨みつけながら

妻に由香里と連絡を取ってもらう。


由香里は弁当持参で朝8時から、塾の

夏期講習だ。

近くの言問通り沿いに塾はあるから

直に来れるだろう。


「呼んだので少し待って下さい。」


10分ほどでコチラに来られると告げて

私はコメント欄のチェック始める。



午後2時18分


 暑くなりました。


 熱中症におきおつけ下さい。


 よろしくお願いいたします。

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