#64 いざゆかん大楼飯店
お待たせしました。
「10分後に1階表口に集合なっ!」
柳監督が今日は、旨い麻婆豆腐が食える店に
連れて行くと言っていた。
僕達4人は古堤さんを先頭に控え室に
向かう。
「麻婆豆腐か…参考になればいいなぁ。」
ボソリと呟くムサシ。
自身の作る麻婆豆腐…ナニかが足らないと
思い続けている為にでた一言。
ムサシの何気ない小さな呟きが
聴こえたらしい。
えっ、みたいな感じでムサシを見る
ライト。
「変わってるよ、ムサシの作る麻婆豆腐。」
美味しいけど下拵えに時間が掛かるのが
問題なんだよねって言うマッチョメ。
「え~っ食べたいよ、食べたい〜っ!!」
ムサシにお姫様抱っこされてるリエンヌは可愛らしくおねだりする。
「明日の晩ごはんに作るよ、今日仕込んどけば間に合うから。」
そう言ってニカッと微笑んだムサシ。
控え室前で古堤さんは、社長に報告が
ありますので失礼いたします、また後ほど
と言って去っって行く。
控え室に入り和真君が頭、どうしようと
僕に聞いてきたけど…どうしよう?
「まだそのままで良いのでは?」
頭のチョンマゲ?って言うか、ヤシの木かな。
外すのに時間かかりそうだから保留しよう。
「ところで、理恵さんのポンチョの下は?」
流石に発売前のマッチョメポンチョを
人前に晒すのは不味いと思うよ。
何故か理恵さんは顔を赤くして、僕を見て
ウンしょって言いながらポンチョを脱いだ。
「エイっ!」
可愛く声を上げて腰に右手をあて、クイッと
腰を僅かに捻りモデル立ち。
ポンチョ丈が膝上まであって、生足しか
見えてなくて、ショートパンツだろうと
予想していたけど…そう…ショートパンツ
なのは当たりで、上着…ソレって僕のだよね?
赤のTシャツの前面に、縦に黒字で墨子凛と
書かれた気愛だぜぇぇぇがお胸で超立化。
背中に肉&パワーと書かれたTシャツって
僕のだよね?!
ショートパンツはBLACKジーンズなので
赤のTシャツがマッチしてる。
そして、艶消しブラウン色の、編み上げ
サンダルブーツがベストマッチだ。
ダボダボのTシャツ下袖を右側でキュッと
結んで着てるけど…僕のだよね、Tシャツ?
理恵さんは不安そうに僕を見る。
安心してください、めちゃめちゃ可愛です!
「茉莉花さんが、これを着なさいって…」
雷兎君の顔がメチャクチャ赤くなってる。
耳も真っ赤…そんなに破壊力あるんだ、今の
格好。
昨日のお母さん達との話し合いで、私の
彼氏Yシャツは破壊力あり過ぎだから、慣らし
をしないと雷兎君がぶっ倒れるって言われた。
「フングウゥゥ…」
変な唸り声をあげて、産まれ立ての子鹿の様に震えながら膝をおさえて前かがみになる雷兎君。
下げていた顔をクイッと上げて私を見ると、
「かわいい…可愛すぎる!」
雷兎君のかわいい…可愛すぎる発言に私も
フグぅと唸り、膝をガクガクさせながら
必死に立つ。
☆
「直ぐに着替えるね。」
ミリアをそっと座敷の縁に下ろして
俺は急いでムサシウェアとハーレムパンツ?
を脱いで、ボクサーパンツ1丁姿になる。
ダメージ加工のインディゴブルーストレッチ
ジーンズを履きベルトを止める。
そしてTシャツだけど、特別なTシャツを
着る。
アメリカから輸入された物で東京上野の、
とあるお店でしか販売されていない一品。
このTシャツもボディラインをビチっと
表す。
生地が厚めだけど収縮性が高く、着崩れが
しない。
今日、用意したのはカーキ色の奴だ。
ちょっとアメリカ陸軍ぽいっ感じ。
Tシャツは、我が家のGYM会員の小磯さんが
教えてくれた。
「和坊も彼女が出来たら、夏はコレ着たら
いいぞ!」
「ちょっとナルシストぽくないですか?」
「チゲぇよ、これはな、連れてる彼女を守る
物なんだぜ!」
小磯さんは大学二年生の細面のナイスガイ。
GYM歴3年の銀縁眼鏡の似合う男だ。
「良い女は男が寄って来るもんなんだ。」
それを阻止するために、このTシャツを
着るんだと言う。
「視覚心理って奴だ。」
「何です、視覚心理?」
「毒々しい色したキノコ食べたいと思うか?」
小磯さんの問いに、食べたくないですと
返すと、
「しかめっ面して唸ってる猫とか犬に触り
たいか?」
「怖いから触りませんよ?」
「何故そう思った?」
「見た感じです…あッ?!」
「ソレが視覚心理って奴なんだよ。」
要は彼女の隣に、逞しいとハッキリわかる彼が
入れば良いのだと小磯さんは言う。
「冬場は厚着するから駄目だけど、薄着の
季節は有効だ!」
俺は小磯さんの教えを今日から実行する。
☆
「ふぁっ?!…」
ワタシは必死に口元を手で抑えるけど、声が
漏れてしまう。
大好きな男の子の着替えを、ワタシは目の前で
見ているのだ。
堂々とパンツ1丁になり、気にせず着替える
和真のメキメキボディに視線が吸い寄せられる。
朝も見たのに胸のドキドキが止まらない。
スマホで撮影したいけど、絶対にダメ。
グッと我慢して脳内ホルダーに貴重な情報を
刻み込む!
私が読む漫画にでる男達はトランクス派…
でも、和真はトランクス派じゃなくて
ボクサーパンツ派!
そしてカーキ色のVネックTシャツの
胸がど〜んと張って目立ってる…
しゅ、しゅごい!
☆
1階表口に、先程のメンバー全員がそろった。
西恩寺家と坂巻家に、古堤さんと霞さんも
合流してけっこうな人数だ。
「直ぐそこだ、出発進行!」
柳監督を先頭にゾロゾロと歩く事1分、上野
表通り建ち並ぶビルの1つに到着する。
たった1分といえ、白銀髪の大柄な外人男性を
台車でガラガラと運ぶのは人目を引く。
しかも台車を押しているのは理恵さんの
お父さん…デカくて筋肉モリモリだから、
着てるスーツがパツパツ。
めちゃめちゃ人目を引く。
そしてお姫様抱っこで和真君に
運ばれるミリア。
そこら中の人達がコッチをチラチラ見てる。
少し離れて歩いている小鳥遊姉弟。
小鳥遊さんは帽子とサングラスで変装中。
以外と目立ってない…濃ゆいキャラが何人も
近くにいるからだろうな。
「車じゃ駄目なのか?」
ヴァン父さんの問に隣を歩く母さんが、
「すぐ其処なんだから台車で良いじゃない。」
「坂巻さんに迷惑かけてるし…」
「どぉってこたぁないですよ。うんっ、乗りたいのか? 良いぞ、代わり番こな。」
子役の3人の子達がヴァン父さんの乗ってる
台車に乗りたいみたいだ。
代わり番こにヴァン父さんと一緒に台車に
乗って、ガラガラと運ばれていく。
楽しそうだ。
あの子達、初めてあった時は厳つい顔の
ヴァン父さんと柳監督のサングラス姿に怯えて
いたんだよなぁ。
今じゃとても仲良しで、それを微笑ましく見て
いる小角さん。
こんな感じで僕達は目的のビルに着いた。
10階建ての全ての階が飲食店で、目指すは
最上階の中華大楼飯店。
午後1時3分
宜しくお願いします。




