#6 逃がすな初恋掴み取れ
閲覧増えて胸がドッキンコ〜
坂巻さんの膝枕で休息を無理やり取らされ
ながら今の状況の変化に戸惑う
どうしてこうなったのか?
記憶を探る
イチョウの樹の下で僕は告白して振られ
たけど…坂巻さんは帰ろうとする僕を引き
留めてアドバイスしてくれた
坂巻さんの言ってる事は正論
間違いなく正論
どうして僕は当たり前の事に気が付かな
かったのだろう
坂巻さんは最大の問題である、隠された
僕の素顔を見て豹変
彼氏がいると言ったのは嘘だと謝罪
僕が知らなかったクラスメートの…
同学年の女子、男子達の僕に対する
接し方のおかしさの原因を教えてくれた
きっと同学年の女子達、男子達は
坂巻さんに僕とは関わらない方が良いと
言ってるハズ
だけと坂巻さんはごく普通に
僕と接してくれた
いくら人気者の坂巻さんでも大多数の意見に
従わないとイジメられるかもしれないのに
僕は改めて坂巻さんの人としての
品格を知った
いつか坂巻さんの隣に立つ男はきっと凄い
男に違いない
胸が苦しい…心が寒い…足がカクカクして
座り込んでしまいそうだ
坂巻さんの隣に立つのは僕じゃ無いから…
でも坂巻さんにフラレてこのままじゃ
駄目だとわかった
髪型変えたいけどミリアが凄く怒るし
手詰まりだ
フラレたけど大好きな坂巻さんに縋るよ
うに呟いてしまった…それで
んっ…んっ、んっ……何してるの?
坂巻さん?
僕の記憶の回想は坂巻さんの左手で
打ち切られた
坂巻さんの指が僕の唇左下を触りまくる
どうしたのだろう?
坂巻さんの顔を見ようとした時、チラッと
胸を見てしまったけど……
良かった、気づかれてなさそうだ
坂巻さんは僕の顔を見ているけど視線は
僕の唇左下の指先に固定されている
摘んだり擦ったり、優しくカリカリと
引っ掻いたりと訳がわからない
声をかけてみよう
「しゃ、しゃ、さかまきひゃん 」
坂巻さんの指が口元を揉むから喋り辛い
坂巻さんの視線はずっと指先に固定されてる
執拗に僕の唇左下を触るけど何故?
何かあったかな…あっ、小さなホクロが
1つある
坂巻さんを見ると…何だか嬉しそうな
表情だけど段々と不安そうな表情に変わって
「ねぇ、西恩寺君…私の顔に見覚えない…」
坂巻さんの問に瞬間的に1つの答えを思い
浮かべた
やっぱりそうだった
髪もあの時と同じ長さ…大人びちゃったけど
面影はハッキリとある
とても大切なとても大事な記憶
初めて女の子を好きになった特別な日
あの時の僕が誰なのか、坂巻さんは
知りたいんだ
この答えは膝枕状態で答えるのはなんか違う
も一度声をかける
「しゃかまきしゃん、てぇ、てぇ!」
指の動きが止まらなく偶に唇の中に入りそう
非常に喋り辛い
左手で坂巻さんの手首を持ち顔から離す
ほっそりと掴みきれてしまう手首に
ドキドキする
こんなにも女の子なのに力強くて何だか
笑いそうになる
駄目だ、早く言わなければ
「坂巻さん、もう起きて良いかな?」
坂巻さんはちょっと残念そうな顔をして
少し考える様子を見せたが次の瞬間
笑顔で
「私の事をコレから理恵って呼んでくれる
なら良いよ!」
僕はフラレたはずだったけど坂巻さんは
僕との距離を縮めようとしている
だったら僕がすることは唯一つ
逃がすなチャンスを掴み取れ!!
与えられたチャンスのハードルが天元突破だ
名前呼び
何度も…何度も坂巻さんの顔見てつい胸も見て
やっと名前を呼べた
力強く言えとやり直し要求
逃がすな初恋を掴み取れ!!
「理恵さん」
僕はすかさず起き上がり理恵さんの方を向く
理恵さんも僕の名前を呼んでくれた
「何でしょうか、雷兎君!」
理恵さんと視線がガッチリと歯車のように
かみ合う
理恵さんの目は微かな不安が覗き見える
不安なんか今から吹き飛ばしてやる
「昔、坂の上公園で3人の男の子にイジメ
られてた女の子って理恵さんなの?!」
理恵さんの目が喜びに輝き次の瞬間
大号泣してしまった
ど、ど、どうすれば良いんだ
オロオロしてると後から
「ワイルド王子、胸を貸してやるんだ」
あっ、理恵さんのパパと理恵さんに
似た女性と理恵さん似た男の子がいる
「コッチのこたぁ気にしなくて良い
さっさっと胸を貸してやるんだ!!」
スマホで撮影しながら言われたが…
アドバイスは受け取ります!!
優しく理恵さんを抱き寄せて胸を貸す
そして優しく頭を撫でる
「あの男の子誰なの?」
「俺、姉ちゃんが泣いてるの初めて見た!」
「理恵が言ってた本物のワイルド王子だ」
後からそんな声が聞こえてきたが理恵さんの
強烈なハグに息ができない
あれ、デジャヴュ…
宜しく御願いしマッスル!!