#54 ラビット社の愉快な仲間たち
ブックマークありがとでやんす!!
雷兎と理恵が活躍するのは
夏休み明けでやんす!!
ヨチヨチ歩きのヴァンさんを、俺と雷兎さんの
二人で支えてラビット社内に入る。
続いて、ミリアを支えて茉莉花さんと姉ちゃん。
続いて父さんと母さんがが離れない様に続く。
2階まで吹き抜けの高い天井…知らない天井だ。
逃げちゃだめだな、事前に連絡が入って
いたんだろうな。
広いホールみたいな場所に沢山の方達が
一直線に前方に向かって左右に並び、花道を
作っている。
突き当りのエレベーターの前を塞ぐように
ツルツル頭の黒いサングラスに、同系色の黒い
作務衣に雪駄の巨漢が腕を組んで立っている。
雷兎さんが小さな声であの人が柳監督って
教えてくれた。
「…ムサシ、ど派手にキメちゃって!!」
後ろから茉莉花さんのゴーサインが掛かる。
ヴァンさんを雷兎さんに任せて前に出る。
【拙者、ムサシ・ガンリュウと申す、縁あって
ラビット社に身を預ける事に成り申した。
宜しく頼み申す!】
そう言って俺は
す〜っと息を吸い、胸を膨らまして
右掌を左胸に被せるように叩きつける
ドッパーァァァンっと鳴り響き、音がホールに
広がっていく。
予想以上に鳴り響いたけど良いよね。
そして一言
【神拍】
ETERNAL✮Lovers 仲間と国造り編に
ちょこちょこと挿まれているムサシ外伝
ライト達に出逢う前のムサシの活躍が
書かれている。
ムサシと2年ほど行動を共にした姉弟の
商人が、ムサシと別れてから商売先の先々で
ムサシの活躍を語る話だ!
そしていま演じた神拍は、魔人襲来で
恐慌状態に陥った人々をムサシが
正気に戻した技だ。
俺のはタダの打撃音だけどね!
「マジすげぇーリアルムサシだ!」
「いや~ん、ムサシの筋肉すご〜い!!」
「ムホっ、胸の谷間に挟まりたいぜ!」
「誰だ?! いま言った奴??」
「「「「声が渋い!!」」」」
「「「「カッコいい!!」」」」
本当は挨拶だけだったけどインパクト弱く
感じたから、神拍やっちゃった。
柳監督が俺をジッと見てる…やるか!
「ヴワァァ、ごんな大勢の人前で挨拶なんて
恥ずかぢい〜よぅ〜」
汚い高音で宣い、俺はサッと
ヴァンさんの横に戻る。
社員の方々は口々にマジでムサシじゃんと言い
ここから見える柳監督の口角が上がっている。
茉莉花さんは俺に上出来っとサムズアップ。
続いて、マッチョメ出番よっと声を掛ける。
俺はマッチョメに言う!
「場は温まってる、ド〜ンと行こうマッチョメ」
ムサシ、絶対に神拍の練習してるね!
じゃなかったら一発であんな音が出るわけない。
皆さん、メチャクチャ盛り上がっちゃってるよ。
ハードル高くなってるなぁ、温まり過ぎだぁ~。
行くよ、行きますよ…やってやります!
ライトの側に居る為にやる!!
マッチョメになってやる。
タタタッと前に出てぴょんとジャンプしながら
エイッと右拳を打ち上げて
「あたしマッチョメ〜ヨロシクねっ!」
タンっと着地と同時にポニーテールがぷるんと
揺れる。
短めだけど、本来はマッチョメの挨拶が先で
台本はここ迄で、直ぐにムサシの挨拶なんだけど
順番変えたから間が空いちゃうよ。
私もアドリブちゃうしかない!
「盗賊共め、ゆるさないぞ〜ア・タ・シの
拳が叫んでる! お前等ボコれと叫んでる!
全員ボコボコだぁ~!!」
ポンチョをひるがえし、ジャブを繰り出す。
速く速く速くボボボーボボボーっと繰り出し
叫ぶ!!
「滴り穿て! 拳雨!! 」
「俺には見える、ぶっ飛ばされていく盗賊が!」
社員の一人が言う
「バッカ野郎っ、俺だって見えてる」
もう一人の社員も言う。
「った〜こ、俺も見えてんだよ!」
初老の男性社員の言様に
女子社員の多数が呆れて言う!!
「私たち、全員見えてるよ、ほら見てよ
13人目がぶっ飛んで行くわ!!」
皆さん、幻覚見ている…好き過ぎて見えてるんだ!
「「「「頑張れっマッチョメ〜!!」」」」
「「「「負けるな〜マッチョメ〜!!」」」」
ノリの良い社員達が盛大にマッチョメを
応援しまくる。
恥ずかしいけど、恥ずかしがっちゃあ駄目だ!
社員の皆はETERNAL✮Loversが…大好きなんだ
う〜ん、そろそろ終わらそう。
徐々にスピードを落とし、ふらふらしながら
両手でお腹を押さえる。
そして立ちすくみ
「ウッウ〜ン、おっお腹すいたよ〜!」
っと言った途端。
「社員食堂に招待するぞ、何食べても良いぞ!」
「オヤツに持ってきたチョコクッキーあるわ!」
「弁当半分、分けてやるよ!」
「お巡りさんここです、マッチョメを
食べ物で懐柔しようとしてます!!」
次から次へと食べ物で釣ろうとする社員達。
社員の皆さん、ノリノリだ。
私はありがとうって、手を振って茉莉花さんと
リエンヌの元にササッと戻った。
「よっしゃー、これで停止してたプロジェクト
動かせるぜぇ〜うぉぉぉ!!」
柳監督の雄叫びが響く!!
じゃあ、行きましょうと上機嫌で言う茉莉花さん
正面に居る柳監督の方へとあるき出すが…
「ウッ、フグッ、ンハッ、ヴフッ、アグっ」
俺と雷兎さんに支えられて歩き出すヴァンさん…
筋肉痛で、一歩毎にうめき声を上げる。
苦痛に顔を歪めながらも、前に進もうと
必死にヨチヨチ歩きをするヴァンさんに、俺は
出来る事を全力で手伝う事にした!
【ライト、後は拙者にお任せを!】
俺はヴァンさんをヒョイっとお姫様抱っこした。
「フグヴゥ、なっ何をする? か、ムサシ!?」
【時が立ち申す、拙者に任されよヴァン殿!】
俺はヴァンさんをお姫様抱っこして前に
歩き出すと
「うぉぉぉ、すげぇパワーだムサシ!
マッチョメも凄いぞ負けるな!」
左側にリエンヌをお姫様抱っこしたマッチョメがいた。
お姫様抱っこされてるリエンヌの表情は
般若面の様になっていた。
「ダメだよ、そんな表情ムサシに見せちゃ…」
マッチョメが諫めるが
「だって、私の場所におっさんが…(怒怒)」
怒りの余りにヴァンさんをおっさん呼ばわり
するリエンヌ、そして
「シャー❨怒❩、シャー❨怒❩、シャー❨怒❩」
威嚇と共にヴァンさんに怒りの3連突きを
叩き込むリエンヌ
3連突きの2連はヴァンさんに突き刺さる。
そして最後の一突きは俺の脇腹にビスッと当たる
「アヒンッ、イダダダア!」
「アヒンッ、イダダダア!」
奇しくも俺とヴァンさんの悲鳴は同じだった。
「か、ムサシ逃げろ!!」
ヴァンさん今、和真って言いそうだったよ。
逃げろって言われても無理だ。
ヴァンさんとミリアの体重差と姉ちゃんの
パワーを考えると…良くて互角だ。
つまり逃げ切れない!!
考えろ俺、考えろ俺。
得意のオセロで鍛えた、高速思考で導き
出す答えは…
【拙者にとって、とても大切な方の父君なのだ
辛抱してくださらんか?】
どうだ、これで駄目ならヴァンさんの分も
突かれまくろう。
一瞬で般若面から完熟トマト、潤々した目で
「ふぇっ、とても大切な人…でもそこは私の…」
目をグルグルさせながら考え込むリエンヌ
「台車持ってきて貰ったわよ!」
茉莉花さんの声に振り向くと若い男性社員が
台車を押して来た。
「ヴァンこれに乗って、ライトが押して!」
茉莉花さんの機転で台車を出してもらった。
そして…
「ムサシはリエンヌをお願いね…」
茉莉花さんの発言にビックリした。
だってキャラ的に相思相愛なのはライトだから
ここでムサシとリエンヌが、イチャイチャして
良いのだろうか??
時刻午前10時15分
感想欲しいでやんすよ!
感謝感激キイィィィィィィ…イヒッ




