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#53 崩れ行く日常

仕事忙しいでやんす!

よろしくお願いしますでやんす!!


私は佐々本賢治48歳、とある食品メーカーの

営業管理職についている。

高校1年生の長男と中学2年生の次男に

小学6年生の娘、そして5歳年下の妻と仲良く

暮らしている。


次男の勇気は中学に入って直ぐに、暴力的な

クラスメートに絡まれて問題になった。


親を交えて学校で話し合ったが…関係している

他の男子生徒四人と勇気に何が理由ナンだと

聞くが、突然突き飛ばされてワケ分かんないと

口々に言い出す。

一方、悪いとされてる少年は両親に挟まれて

座っているが、真っ直ぐ勇気を見つめている。


坂巻和真と言う少年は一人で五人と

喧嘩したみたいだ…顔面が痣だらけで血が滲ん

でいる。

勇気を含めた五人もボコボコに顔を腫らして

いる。


私は勇気を見て


「お前、集団リンチしたのか?」


私の顔を見て勇気は慌てて違う、そんな事は

していないと答えたが様子が変だ。

私の声が聞こえているのだろう、他の男子の

親たちも私が危惧する事に、これは不味いと

気がついたらしい。

坂巻少年は五人の誰よりも小さく、か細く

見える。


世間一般的に五人と一人で喧嘩は集団リンチだ。

警察沙汰になったら間違いなく加害者に 

されるのは五人の方だろう。


これは不味い、半年間もラビット社に

コラボ商品を出しませんかと営業をし続けて

やっと契約が取れたのに駄目になってしまう。 


契約の中にラビット社にマイナスなイメージを

付ける様な事をすると、契約打ち切りと莫大な

違約金の支払いが待っている…コレが私の

判断を狂わせた。 


本来なら原因をキチンと喋らせて、反省を

促し謝罪が妥当だったのに私は間違えた。

なあなあで喧嘩両成敗で終わらせる方向に

強引に持っていった。


「お互い殴り合い怪我もした…喧嘩両成敗で

 良いじゃないのかな…警察沙汰になったら…」


坂巻少年は私をじっと見て立ち上がる。

前に出てくるりと振り向き両親に


「理由は言えないけど、迷惑かけて御免なさい」


そう言ってコチラに振り返り、勇気達を見て


「お前たちは絶対に許さない!!」


中学1年生の小さな子供に私は気圧された。

察してしまった。

悪いのは勇気達だと…


「コラッ、大人の話に意見するな!」


付き添いの先生が怒り出すが私は兎に角、この

場を納めて有耶無耶にするために


「良いんです先生、1対5で喧嘩して気が

 立ってるんですよ、ねえ、皆さんもそう

 思いますよね!?」


営業で使う言葉のレトリックで他の親御さんを

誘導する。

実際に誘導されるのは立場的に弱かったり

心理的に弱っている者にしか効かない。

だが今は自分の息子が犯罪者になるかどうかの

瀬戸際。


「「「「そうですよ!」」」」


有耶無耶で終わらせる事ができた。

帰る途中、勇気に言い聞かせた。


「絶対に関わるな、向こうからナニカしてきた

 ら、反撃せずやられろ!」


そうすれば勝てるんだからなって言い聞かせる。

この時、頭の中はラビット社との契約の事で

一杯だった…馬鹿な判断をしてしまった。 


そして私に負けず劣らず二人の息子は、常識知ら

ずの飛び抜けた馬鹿だった…

この時から約1年後、取り返しのつかない事が

起きる。




「おはようございます佐々本常務、何時も

 お早いですねぇ!」


清掃のおばちゃんが挨拶してくる。

私もおはよう、ご苦労様と返事を返す。

就業時間は午前九時からだが、私は何時も

午前八時に出社してデータベースのチェックと

本日の業務の指示出しを思案する。

仕事しながら頭の片隅で次の休みは家族で

出かけようと考える。

家の子供達は今日から夏休みなのだ。


ETERNAL✮Loversチョコおまけ付きは

相変らず売れ行き好調だ!

最初はラミネートキャラクタシールから始まり

最近ではライト・サイオーンの光の盾

マルチガードのミニチュア。

リエンヌの使う戦槌のミニチュア。


そして昨晩、放送されたETERNAL✮Lovers

のライトがリエンヌと光の大盾で空を飛ぶ

シーンが大反響を起こした。

勿論、光の大盾もオマケで出す。

既に工場で生産工程に入っている。


新たに出すオマケの光の盾を集めて

ジョイントすると…

マルチガード・ビッグバイインになる。

そして名場面のセリフシールも数種出す。

例えば

イ・ヤ・ダ、絶てぇぇっ離さねぇっ!!

とかなど等、集めるのに何度も買わなければ

ならない様に仕向ける。

この戦略で業務成績は右肩上がりだ。

気分良く仕事に集中していると


「佐々本常務、至急社長室までお越し下さい」


社内放送での呼び出しは非常に急を要する呼び

出しだ。

社内のどこに居ても呼び出せる様に各部所と

廊下、トイレ等に設置されているスピーカから

放送される。

つまり社内全域で私を呼び出す放送が

流れている。


「なんだ、何事だ??」


「佐々本常務が呼び出しされてるが?」


午前九時、出社してきた社員達が騒ぎ始めるが

私は社長室に急いで向かった。


社長室の扉をノックして名乗ると


「サッサと入りたまえ!!」


怒気を含んだ声が掛かり、慌てて入室する。


「失礼致します」


声を掛けて社長が座るデスクの前に立つ。

朝、出社して朝の挨拶を社長にした時は

にこやかで上機嫌だったのに…

今は私を射殺さんばかりの視線で

睨みつけている。


社長のデスクの上に封筒が2つ…


「右が君宛だ…左は我が社宛だ、両方急いで

 読みたまえ!」



私宛の内容証明郵便はラビット社からの

依頼で宗像正蔵法律事務所所属の

ラビット社顧問弁護士の八坂深雪弁護士が

製作し当方、佐々本賢治様に送ると書いてあり

捺印とサインがしてある。


「どうしてこんな事に…」


「早く読みなさい!!」


佐々本賢治様の所有する携帯電話から(スマホ)

インターネットサイトtrialtubeに

ラビット社のご令嬢を誹謗中傷する捏造動画を

上げられており、法的措置も考えております。


頭がクラクラする、いったい何が起きている?


捏造動画に関する人員全てを、午後2時迄に

佐々本賢治様のお宅に集める事。


オリジナル動画のデータを必ず持参する事


午後2時にバスが佐々本賢治様のお宅にお迎え

に上がります。

関係者全員、ご搭乗為さります様 

お願いします。

ラビット社にて話し合いの場を

用意しております。

どのような意図で捏造動画をネットサイトに

上げたのかお聞かせください。


この様に書かれており、私の所有する携帯番号

とアカウントが間違いない物で有ることを証明

する書類が1枚あった。


番号は私が保護者として貸し与えている

スマホの番号…勇気のスマホだ!!





まだまだ続くでやんすよ!!

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