#52 new world 始まりの一歩
宜しくお願いしますでヤンス!
「勉強法って色々とあるんだけど、数学の
公式の解き方を自分の好きな曲で替え歌を
作って覚えると忘れ難いよ!」
って雷兎君が言い、替え歌を披露してくれた
のが一時間半前の事。
分からないトコロは雷兎君の導き指導で理解を
深めて解いていく。
粛々と夏休みの宿題が進み、時刻は9時30分。
今日の勉強会はここまでにして、出発の為に
ジャージから着替え様と話していると
コンコンとノック音。
僕がどうぞって声を掛けると
「は~い、お邪魔するわね!」
母さんが入ってきた。
手に2つの袋を持っていてこちら…理恵さんに
近寄り、大きい方の紙袋をズイッと差し出す。
「理恵さんは上着にコレを着てちょうだい!」
差し出された紙袋を理恵さんは受け取り
「今、見ても良いですか?!」
良いわよ、見てちょうだいと言う母さんの顔
何故かドヤ顔?!
「うわ~っ、マッチョメのポンチョだぁ~!」
驚き喜ぶ理恵さん…
可愛い、ちっちゃくぴょんぴょん飛んで
ポニーテールがブルンブルンゆれる。
ジャージの胸部も…ゲフンゲフン
大喜びの理恵さんが持つ、モスグリーンの
ポンチョは魔大陸でライト達が初めて
マッチョメに出会った時に
薄汚れたマッチョメが
着ていたポンチョなのだ!
「母さん、それって9月末に発売予定が未定に
なったマッチョメのポンチョだよね…
どうしたのソレ?」
発売未定品を持ってきたけど良いのかな?
僕の疑問を母さんは、アンタ何言ってんの?
的な表情で切り返してくる。
「昨日の内に9月末、発売決定したわよ?
だってココにマッチョメが居るじゃない!」
マッチョメとムサシの声優が見つからず、色々
とストップしていた案件が昨日から動き出した
って事を教えてくれた。
「昨日のマッチョメとムサシのやり取りと
ライトとリエンヌが絡む声劇やったじゃない。
アレね、スマホのボイスメモで録音したのを
昨晩、柳監督に送ったのよね」
っと母さんが事も無げにサラリと言う。
ヤバい、昨日はカラオケに夢中になってしまい
サンプルボイスの事を忘れてた…けど、母さん
が送ってくれて助かった!
柳監督からの返事って…聞くのが怖い…
だけど
「カッ、カッ、監督は何だって?」
僕は絶対気に入ってくれると思ってるけど…
「早く連れてこいって煩いわよ!!」
柳監督からのメールを見せてもらう、ヤバい…
直ぐに連れてこい!!
ど素人なんだろうが、関係ない位にガッチリ
噛み合った声だ。
直ぐ連れてこい、1秒も無駄にできんぞ!
「僕達の時よりヒートアップしてるね…
理恵さん、和真君…頑張れ!!」
柳監督の熱量怖いんだけど…わかるんだよなぁ。
やっと、ピース…駒かな。
揃ったんだ!
スタッフとラビット社の皆が、爆盛り上がりに
なるのが予想できちゃうな。
「和真君はコレに着替えてね!」
茉莉花さんが、もう一つの袋を俺に差出して
くる。
受け取り中身を出すと…
「うわっ、ムサシの服ですか?」
藍色のハーレムパンツぽいパンツに上着が
極めて細い麻縄ぽい物で編まれたノースリーブ
裏地にメッシュが貼られ肌触り抜群、サラッと
している。
胸元は深いV字が鳩尾まで入り…和真君の盛りに
盛り上がった胸筋の筋が丸見えになるヤツだ。
「ちょっと小さくないかな?」
僕はノースリーブ?を見て呟いた。
丈は逆に少し長いけど、サイズがどう見ても
小さく見えるんだけど…
「大丈夫よ、着ればわかるわ!」
鼻息荒く言う母さん…んっ、隣を見ると和真君が
ジャージとTシャツ脱いでパンイチに
なってるじゃないか!!
「ムッフ〜ゥ、ムッフ〜ゥ、ムッフ〜ゥ」
超鼻息荒く呼吸をする真っ赤な顔のミリアが
目をカッと見開いて
パンイチの和真君をガン見してる!
頼むから少しは恥じらえミリア!!
それに和真君も恥じらってくれ
堂々とし過ぎだよ?!
あれっ、理恵さんは…いた、左端の姿見の前で
ポンチョを着込んで映る姿に見入ってる。
可愛らしいな…
えっ、ファイティングポーズからのうわっ凄い
ジャブの連打だ…もしかして拳雨
うん、そっとしておこう。
和真君は何事も無いかのように、イソイソと
ハーレムパンツ(バルーンパンツとも言う)を
履き、なんだか小さめで丈の長いノースリーブ
を着る?!
「すごく伸びますね、ジャストフィットだ!」
和真君の言う通りに…
エグいほどジャストフィット。
ピチピチパンパンにジャストフィット。
ムキッとした肩から腕
筋肉の形がクッキリと分かる。
盛り上がった胸の谷間のギシリっとしたキン筋
が見えてメチャクチャかっこいい!!
「ムサシの為に皆で力を合わせて作り上げた…
紫玉の逸品…本当は貴方達の分もあるのよ…」
いつか着る事を考えといてねっと、僕とミリア
に言う。
そして和真君にまだ袋の中にムサシの袋が
入ってるから普段着と靴を
入れときなさい、あんた達も準備しなさいと
言って部屋を出ていった。
「急がないと後、5分で出発だ!」
和真君はミリアをサッとお姫様抱っこして
理恵さんと隣の部屋まで行き、戻ってくると
着替をサッとムサシ袋に着替をいれて背負う。
僕も準備万端だ!
「靴も入れとけって言ってたけど、履いてく
靴はどうする?」
僕のサンダル履いてく? って言うと
「きっと玄関にムサシの履く、編み上げ
サンダルブーツが用意されている
はずです!」
自信アリげに和真君が言う。
部屋を出て理恵さんとミリアと合流する。
ミリアはスキニーデニムジーンズに上が
ちょっとゆったり目の茶色のサマーニットだ。
理恵さんは上がマッチョメポンチョで中は
分からないけど、ひざ丈まであるポンチョの
下から生足見えてるから多分、ショートパンツ
かな?
スッと近寄り、サッとミリアをお姫様抱っこ
する和真君。
もはや当たり前の光景だ!
「さぁ、出発だ!」
「ミリア、そこ押さえてて…」
今、母さんとミリアの二人がかりで和真君の
頭頂にウィッグを付けてムサシヘアーに
改造中なのだ。
因みに場所は、我が家の所有する純白の
リンカーンリムジンの中である。
只今、上野のラビット社に移動中なんだけど
なかなか、ムサシヘアーが決まらない。
「うん、コレならOKね!」
和真君の頭頂やや後部でヤシの木みたいに
髪の毛が白い紐で纏められている。
武士のちょん髷をイメージした髪型だ!
今、僕たちの前に東の島国から武者修行で
世界を旅する若き拳豪ムサシ・ガンリュウが
爆誕した…コスプレだけどね。
「和真君に理恵さん、コレ挨拶の台本」
茉莉花さんは俺と姉ちゃんに1枚ずつ紙を
渡してきた。
サッと目を通す…うん、覚えた。
姉ちゃんも覚えた様だ。
「ゴメンね、恥ずかしいだろうけどバ〜ンっと
ど派手に挨拶してね!」
って言う茉莉花さん。
ここ数ヶ月間、マッチョメとムサシの声優が
決まらず、社員と製作スタッフが意気消沈。
元気づける為に演じて欲しいとの事。
「和真君はアノ声で渋くお願いね、理恵さんは
兎に角、元気っ子な感じでお願いするわ!」
あ〜ん恥ずかしいって姉ちゃんが言うから
俺が先に挨拶する事になった。
そしてラビット社に到着し、玄関入口に
リムジンを横付けしヴァンさんを雷兎さんと
俺が支えて降りる。
「今、この瞬間から貴方達はライトにリエンヌ
そしてマッチョメにムサシになった!!」
くれぐれも忘れないようにと茉莉花さんから
言われる。
「おはようございます、西恩寺さん!」
「おはようございます坂巻さん!」
既に来ていたお父さんとお母さんが
挨拶を交わす。
私と和真をチラッと見てそして
「理…マッチョメとムサシをよろしく
お願いします!」
お父さんとお母さんは揃って頭を下げる。
「頭をお上げください、マッチョメとムサシは
ラビット社の救世主なんです」
そう言って茉莉花さんはここだと何なんで
参りましょうと即す。
守衛さんに見守られながらラビット社玄関を
くぐる。
この瞬間、私たち姉弟は声優と言う新世界への
一歩を踏み出した。
読んで頂きありがたいでヤンス!!
コレからも宜しくでヤンス!




