#50 茶黒のブツブツにスプーンを添えて…
宜しくでヤンスよ!
ザシュ、ザシュ、ザシュ…ストトト、ストトト
玉ねぎの微塵切りを披露する学校指定の
ジャージ姿の和真。
隣で和真が持ってきた国産鶏胸肉ミンチ一袋
400gで約300円を二袋を大鍋で炒めてる
雷兎も通っている学校指定のジャージ姿。
「ワタシもナニかしら手伝いたいのだが…」
キッチン前にある大きな丸テーブルの椅子に
座っているヴァンが言う。
「父さんは大人しく座っててよ、男3人だと
狭いから!」
遠まわしに邪魔って言う雷兎、側で何も言わず
玉ねぎ二玉の微塵切りを終わらせた和真。
「雷兎さん、ミンチを茶色くパサッとするまで
炒めたら玉ねぎの微塵切り入れちゃって下さい」
玉ねぎの微塵切りが入っているプラボールを
雷兎に渡した和真は、また玉ねぎを一玉取出し
薄切りにスライス、それを鍋に入れて弱火で
炒めながら冷蔵庫からベーコンとレタスを
取り出す。
レタスは一枚一枚むしり、冷水にさらしボール
に盛る。
ベーコンを5ミリ四方の細切れにして、茶色く
トロッとなってきた玉ねぎの鍋に投入。
ジュワーっと音を立て始めた鍋に 1.2リットル
の水とコンソメキューブを入れて火を強火に。
大さじ一杯の片栗粉を追加で投入。
かき混ぜながら粗挽きブラックペッパーを数度
振りかける。
「和真君、これぐらいで大丈夫かな?」
隣の雷兎さんが炒めている鶏肉のミンチを
見てくれと声をかけてくる。
薄っすらと茶色に染まった鶏肉ミンチ…
シャモジでミンチをより分けて鍋底を見ると
肉汁が少し溜まっている。
「肉汁が無くなるまで炒めたら玉ねぎ投入です」
雷兎にそう伝えかき混ぜ続けている鍋…
湯気がふんわり立ち上がり、茶透明なスープが
出来上がる。
お玉で少し掬い、小さな小皿2つにトロッと
入れて一つを雷兎の方へ差し出す。
雷兎は小皿を受け取り、フーっと一息かけて
チビリと飲む。
合わせて和真もチビリと飲む。
「「旨い!!」」
オニオンスープの完成であった。
「ワタシも味見したい!」
おねだりするヴァン。
「もう少しでカレーもできるので我慢です!」
スパンッと却下する和真。
諦めきれないワタシはテーブルから上目遣い
で雷兎の方を見る…
「我慢だよ父さん…」
隣の和真と同じにスパンッと却下する雷兎。
「雷兎さん、こっち終わったんで交代します
冷凍ご飯を4つ電子レンジでチンお願いします」
受け皿の準備も頼み交代してミンチを
更に炒める。
「ご飯少なくない?」
雷兎の問に食パンをトーストして使うのでと
答える和真。
「まだミンチしか炒めてないけど何カレー?」
普通にカレーと言えばジャガイモに人参と
玉ねぎだけどこの後に入れるのは微塵切りの
玉ねぎだけみたいだし…
疑問に思い再度問う雷兎。
「作るのはドライキーマカレーです!」
そう答えてひたすらミンチ肉をシャモジで
かき混ぜながら炒める和真。
おっ、良い感じ肉汁が無くなってパサッと
してきたと言い、微塵切りの玉ねぎ投入!
かき混ぜながら、玉ねぎが透明感を出して
きたらイエ食品社のキーマカレーのルウを
2パック8人分を投入して少し水を入れていく。
かき混ぜながら持参したレッドチリパウダーに
クミンパウダーとコリアンダーを振りかけ
小瓶から揚げてある乾燥ガーリックチップを
少量だして、混ぜる。
通常のキーマカレーよりも遥かにミンチ肉の
割合多めで作る和真のキーマカレー。
本来ならカレールウだけで美味しいのだか…
水分をかなり飛ばされたミンチ肉の味はかなり
濃厚になる為、肉の味に負けぬように
追加の香辛料で香りアップの辛味アップ。
ジュウジュウと炒めシャモジで一心不乱に
かき混ぜる和真。
強烈な香りが立ち上がり、換気扇を最大回転で
回しても追いつかないほど爆発的香りが
たち広がる。
「うわっ、凄い香りだ!!」
余りの香りの強さに僕は驚いた。
和真君の手元にあるキーマカレーはかなり
硬めみたいで、茶黒ボテッボテッのツブツブだ。
流行りの映える写真撮りは…無理なブツだ。
写真だと絶対カンチガイされそうだ。
知ってるキーマカレーと違うし…。
ガチャリとドアが開き、女子チームが帰ってきた
「「「凄く良い香り!!」」」
ミリアを支えて理恵と茉莉花がテーブルにつく。
ミリアと姉ちゃんは学校のジャージを着ている!
茉莉花は真っ白なスポーツジャージ。
「香りだけで美味しいのが分かっちゃう!!」
「これは期待しちゃうわ!!」
「期待してください、すっごく美味しいよ!!」
ミリアと茉莉花さんが期待度アゲアゲでこっちを
見てる。
姉ちゃんは凄いドヤ顔で…まぁ褒めてるから
いいかな…
俺はオーブンレンジに食パンを4枚セットして
150度で3分タイマーをかけた。
「お待たせしました〜最初はキーマカレーライス
にオニオンスープです!」
雷兎さんと俺でテーブル上に次々と配膳する。
「小さな椀に半分のご飯、少なくない?!
何か茶黒のブツブツね…
だけどこの香りが食欲をそそるわ!」
茉莉花さんが不満げに俺を見るがニカっと
笑って言い返す。
「先ずはライスから…味わってくださいね!」
和真君がニカって笑い、ライスから味わえって
言うけど…大さじ一杯位のツブツブカレー?
茶黒いツブツブ物体が放つ香りはクラクラする
位に強烈な芳香…ヤバい…唾が湧いてくる!
「「おかわり!!」」
姉ちゃんとミリアはいただきますもせず、完食。
先ずはライスからって言ったけど
いただきますしょうよ。
続いて聞こえる
「「おかわり頼む!!」」
ヴァンさんと雷兎さんが完食!
食レポ処ではない
茉莉花さんと俺は小さな椀を掻っ込む。
「ムッフ〜何これ?! 鶏肉のミンチなのに
旨味濃厚すぎ〜スパイシー…おかわり!!」
誰もいただきますしてない…
みなの目が一斉に俺を見る
目をギラギラさせながらもっと食わせろと
訴えかけている。
姉ちゃんは何度も食ってるのにナゼそっち側?
「椀はそのまま置いといて下さい…今、おかわり
持って来ますから、今度はちゃんと
いただきますしましょうね!」
そう言って俺と雷兎さんはキッチンに行くと
チンってオーブンレンジのタイマーが切れた。
「ちょっとパンを四つ切にするので大皿出して
貰えますか!」
大皿を雷兎さんに頼み、俺は熱々のサクッ
サクッに仕上がった食パンをパパッと
四つ切にする。
「ハイ、大皿!」
出された大皿に熱々のサクッサクッのパンを
山盛りに乗っけて雷兎さんに運んでもらう。
後は…追加の食パン4枚をオーブンレンジに
再セットして150度の3分タイマーだ。
俺はキーマカレーのタップリ入った鍋とお玉に
鍋敷きを持ってテーブルに向かう。
「今からお椀にキーマカレー注ぎますけど
皆でいただきますしてからだからね!」
ヴァンさんからの茉莉花さんのミリアと
雷兎さん、そして姉ちゃんに俺の順番で
キーマカレーをお椀に注ぐ。
使ったお椀を再利用で洗い物を減らす。
生活の知恵だ!
鍋敷きにまだまだタップリとキーマカレーが
入っている鍋を置き、俺は雷兎さんの隣の
席に戻り座る。
うわ~何で皆、スプーン持っているの?
皆の視線が俺に突き刺さる!?
あっ、早く号令かけろって事かな。
よし、行くぞ!!
「ハイ、いただきます!!」
「「「「「いただきます!!」」」」」
いただきますと同時に、皆の手はパンに
伸びている。
姉ちゃんが1番速かった、そしてミリアと
茉莉花さんの雷兎さんからのヴァンさん…
皆、無言でスプーンでパンにキーマカレーを
塗り付けている…何で無言なの、怖ぇよ。
キーマカレーパンを黙々と食べる面々…
次のパンに最初に手を出したのは
また、姉ちゃんだった。
正面に座る雷兎さんに見せていい姿ではないと
思うのだけど…俺の隣の雷兎さんもパンを
片手にスプーンで黙々とキーマカレーを塗る…
こちらもキーマカレーに夢中だ。
雷兎さんと姉ちゃんて似てる気がする。
皆が次々とパンに手を出す。
俺はプラボールに盛られたレタスを取り
スプーンでキーマカレーをポテッポテッポテッ
って乗っけてシャクリと食べる。
「うん、旨い!!」
キーマカレーの濃い旨味と芳香とハヒッとなる
辛さがレタスの水々しさとベストマッチだ。
そしてオニオンスープ!!
微かな苦味と玉ねぎの甘みが、キーマカレーで
ヒリついた口中を優しくリセットしてくれる。
「和真、すっごく美味しいね、私もレタスで
食べてみるね!」
ミリアがレタスを取りポテッポテッと
キーマカレーを乗っけてシャクリシャクリと
かぶりつきモグモグと咀嚼し嚥下する。
「ふっ〜う〜ん、オイひいよ〜!」
オニオンスープをふうふうして、クピクピと
飲むミリア。
「美味しくてパクパク食べちゃうよ!
痩せたのにまた太っちゃうよ…」
ちょっと心配そうに俺に言ってくるミリア。
「大丈夫だよ、高タンパクの低カロリーに
作ってあるから!」
ミンチを炒める時に油は使ってない、弱火で
ジワッと炒める事によりミンチに含まれて
いる僅かな脂質が溶け出してくる。
その脂質で炒めるからだ!
「ちゃんと考えて作ってるんだね、和真君は
料理が趣味なのかな?」
茉莉花さんが聞いてきた。
明日はキーマカレー作るでヤンスよ!
最近よく作るでヤンス。
応援ありがたいでヤンス!!




