#45 初めての…
お待たせでヤンスよ!
「それでは隣のベンチプレスに移動です!」
すぐ横のベンチプレス台、安全の為に
セーフティーバーが装備されている。
セーフティーバーはベンチプレス使用者の
安全を守る設置機具!
持ち上げきれず、力尽きて潰れても
セーフティーバーが設置してあればバーが
バーベルを受け止める
「俺がベンチプレスのフォームを見せるから
姉ちゃん、解説お願い!」
「任しといて、和真のフォームに付いて
解説します。 先ずは背中を…ベンチ台に
接触していますけど、腰の少し上あたりが
指一本分空いてます!」
理恵さんは僕等に見せる様に和真君の腰の
少し上の隙間に手のひらを少し差し込んで
見せた。
「この状態をブリッジと言います。
先ほどチューブダンベルで背中を意識した
のと同じ様に背中を意識して下さい!」
特に肩甲骨まわりを引き締めて、ベンチ台に
背中を支えられてるイメージを持って下さい。
理恵さんの説明が、僕がベンチプレスに持っ
ていたイメージと全く違う
僕はベンチプレスの時、背中のことを全く
考えていなかった。
「次は和真の胸の高さに合わせて
セーフティーバーを調節します」
必ず、自分にあった高さにする様にと
理恵さんから注意が入る。
「次に、バーベルラックの高さです。
和真ちょっと手を上げてみて…」
バーベルラックにバーだけ置かれている…
上げた手はギリギリ届いてなかった。
「コレは極端な例ですけど、自分にあった
高さにしなければなりません!
ラックの調節するから和真起きて!」
「あいよっ!」
軽いかけ声を発し、和真君はひょいと
起き上がりベンチ台に座る。
安全第一なので和真に起きてもらいましたと
言い、バーをラックから持ち上げて外し
足元に置く理恵さん。
バーだけで20キロあるけど危なげなく外し
ラックの調節をしてバーを設置し直し
和真君に再度フォームを取れと指示。
国際基準のバーは握る場所にマークが付い
ている。
「バーの握る場所から伸ばした手が
拳1つ半出る様にラックの高さを調節
します!」
和真君は両手を伸ばし、バーを握り
ラックからバーを持ち上げたまま動かない?
「今、和真はバーを軽く握ってます!
ギュッと握り締めると肘と肩の関節に
締め付け…ロックが掛かります。
本来、胸と背中で受け取る重量が肘と肩の
関節に流れてしまいます!
肘と肩の関節を痛める理由の1つです!」
理恵さんは、バーは軽く握るって言うけど
握り締めないと力が入らないし
ふらつきそうで怖い。
理恵さんにそう言って見たら
「腕立て伏せをするのに指に力を込めて
やりますか?
指に力は込めないです。
和真、手を開いて!」
「あいよっ!」
嘘だろ? 和真君の手の平、開いちゃったよ!?
大丈夫なのか?!
「OK和真、ラックにバーを戻して!」
「あいよっ!」
和真君はバーをラックに戻して起き上がった。
「姉ちゃん、後は俺が説明するよ!」
「はいよっ! 任した!」
ベンチプレス台の後ろに立っていた理恵さん
僕等の方へ戻ってきた。
「バーをガチンと握り締めて持つんじゃ
無くて、バーを手の平で受け止めてる
イメージで指は軽く握って持ってます。
腕の力で持ち支えるのでなく、腕を通して
背中で受け止めてます!」
そう言った後、和真君にバーの握りを
開くのは真似しちゃ駄目です!
と念押しされた。
「それではこれからベンチプレスを
始めますよ、順番は俺からで次に雷兎さん
そして茉莉花さんからの姉ちゃん!
本日は余裕のある重量で10レップ3セット」
和真君がそう言って俺のベンチプレスを
観察してくださいと言いベンチ台に
仰向けに寝る
「和真、補助いる?」
「俺、今日は軽くだから大丈夫!」
バーをラックから持ち上げ、下ろしながら
息を吸い込む…バーが胸に触れた一瞬
ピタリと動きが止まり、次の瞬間
フーっと息を吐きながらバーを挙げる
止まることなく10レップ1セットを終える
「こんな感じてやって見てください!」
僕に近づき右手を上げた和真君?
もしかして、僕も右手を上げるとパチンと
タッチされた。
そして和真君はベンチプレス台の後ろに立ち
補助についてくれた。
「ヨロシクお願いします!」
僕が挨拶すると和真君は、あいよって言い
ニカッっと微笑む。
10レップの間に色々とアドバイスが入り
1セット目が終わる。
次に茉莉花さん、補助に姉ちゃんが入る
「息を吸い込みながら胸に触れたトコロで
一瞬止めて息を吐きながら上げましょう
はい、止まらず続けて!」
茉莉花さんも10レップの間にアドバイスを
受け取る!
「ワタシもやりたい…」
直ぐ側のベンチ台
(フリーウェイト、ダンベル)のベンチ台に
座るミリアがボソッと呟く
流石に無理だろうと僕はミリアに言うが
「できますよ、フリーウェイトじゃなくて
マシンの方で!
ベンチプレスの後、女性陣は
ベンチプレスマシンで追い込みます!
やり方はその時に教えるからちょっと
待っててね。」
和真君にそう言われてミリアは嬉しそうに
「ウン、教えてね!」
ミリアの笑顔に和真君はモジモジしてる。
「任せてよ!」
ニカッっと微笑むと、ドゥンと胸を拳で叩く
和真君!
ドラミングか?
ゴリラじゃあるまいし…でも凄い音だった。
理恵さんのベンチプレスは和真君が補助に
入り何事もなく終わる。
「次は重量を増やしますが、皆さんは
普段10レップを何キロでやってます?」
和真君の問いに、僕は60キロで10レップを
4セット、母さんが35キロを8レップを
2セット、ミリアが50キロ5レップを
3セットしていると伝えた。
「今日のやり方じゃないですよね!?」
和真君の問いにそうだよと答えると
「雷兎さん、1セットだけいつものやり方で
やってもらえますか」
和真君のお願いに僕はバーだけでいつも
通りにやってみた。
「「反動だ!」」
理恵さんと和真君が同時に声を上げる
僕のベンチプレスは胸で弾ませて上げる
反動を使うやり方だ…
パーソナルトレーナーがやって見せて
くれたやり方で、ブリッジも高く
和真君が教えてくれたフォームとの違いが
ハッキリしている。
「これからは俺が教えた方法でやって行き
ましょう!」
そう言って和真君は母さんとミリアに
二人はどの様なベンチプレスですか?
と尋ねる。
「私とミリアはブリッジは和真君が
教えてくれたのと同じだけど…
胸までバーを下ろしてないわ」
バーを握る手が90度の直角になるところで
止めて上げるを繰り返しているのと
茉莉花さんは言う。
「と言う事は三人共、大胸筋をフルに使うの
今日が初めてになっちゃうのか…
茉莉花さんは筋肉痛になっても大丈夫?
仕事に影響ありませんか?」
ちょっと心配そうに言う和真君…
外科医だから気になるよね。
「大丈夫よ! 今日からニ休だし、それに
続けて8連休有給休暇取ったから!」
ニパッっと笑顔でVサインを出す母さん
やる気満々だ!
「わかりました、それでは各自10キロ
減らした重量で10レップ1セット
雷兎さんから茉莉花さん、次に姉ちゃん
最後に俺の順でいきます!」
20キロのバーの左右に10キロと2.5キロ
のプーレト、そして2.5キロの留め具で合計
重量50キロのバーベルが完成!
「バーを握ってもすぐ上げない!
握ったらベンチ台の背中の位置取りを
シッカリと決めて、納得いったら
ハイッ、持ち上げましょう!」
和真君の指示通りにバーを握る、グッっと
握らず手の平で受け止める様に軽く握る!
1セット目で受けたアドバイスを実行する!
ラックからバーを押し上げる!
持ち上げるのでなく押し上げる
息を吸い込みながら胸元までバーを受け止める
胸元までバーを受け止めると胸の筋肉…
大胸筋が右は右ヘ、左は左ヘ引っ張られ
背中の左右の肩甲骨まわりの筋肉はギシリと
バーベルの重量を受け止める
「ハイ、押し上げて!!」
和真君の掛け声に合わせて僕は
「フーーーッ!!」
息を吹き出しつつバーベルを押し上げる!
押し上げるに連れて大胸筋がギシリと凝縮
「ハイ、繰り返して!」
2回、3回、4回、5回目でちょっとキツイ
6回、7回目がキツイ!
「潰れそうになったら補助に入ります!
一緒に押し上げましょう!」
8回、まだいける、9回目、オラッ!!
10回目…ふぐぅぅぅっ
途中、壁ができたかの様にビクともバーベル
が動かない!?
「補助入ります!」
僕が握るよりもバーの内側を下から
押し上げてくれる和真君。
「ハイ、押して、押して!」
夢中で押し上げる、押し上げる以外を
考えられない!!
ガシャッっとラックにバーベルが収まる。
「おつかれさんです。サッ、壁の姿見まで
行きましょう!!」
フゥフゥ荒い息を宥めながら、言われた
通りに壁の姿見前に行く。
壁一面が鏡張りの姿見だ。
僕の大胸筋が張っていて筋が浮いてる!?
和真君は僕を見てニカッっと笑顔で
「おめでとうございます、やりましたね
初パンプアップ完了です!!」
これが僕の初パンプアップだった!
宜しくお願いでヤンスよ!




